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傍観記者シリーズ~ダブルラブストーリー~

 大抵の場所において女性はおまじないというモノが好きである。かく言う私もその手の類のものは好きで公園で見つけた四つ葉のクローバーは今でも大切なお守りである。
 さて、世の女性がおまじないに込める願いとしてやはり恋愛は外せないだろう。今回の記事もとある二人の男女の恋を成就させるために、おまじないの材料を捜して冒険者が四苦八苦するというお話である。
 事の起こりはある若い兜職人が彼女に身に覚えのない浮気を疑われ、疑いを晴らしたければ西の森にあるという誰も見たことがない恋愛のお守り「天使の輪」を捜してこいと言われた事だった。もちろん街の外に一人で出るなんて出来るわけもなく彼は冒険者を三つ目の巨人亭にて雇うことにした。ここまででも十分に不幸だったのだがやがて彼はそれ以上の不幸があることを知る。何しろ自分が雇った冒険者の仲が険悪を通り越して憎悪に満ちあふれていたのだからたまったものではない。女性に言い寄るのが趣味の女性と、その女性を毛嫌いし、機会があれば抹殺をたくらむ彼女の被害者との間に挟まれた依頼人と他の冒険者の気苦労は相当なものだっただろう。しかしこの記事を書いている私はその光景に笑いを禁じ得ない。
 結局この時は誰も欠けることが無く無事目当てのものを見つけることが出来たようであるが、もしこの次があればその結果はどうなるのか?想像はふくらんでいくばかりである。

「結局『天使の輪』ってどんなものだったのかしら?」
記事の清書を終えると私はこの話をしてくれた彼に尋ねた。
「聞いたところによると天使の輪って奴は白蛇の抜け殻だったそうだよ」
それを聞いて私は随分と嫌そうな顔をしたのだろう。彼はとても不思議そうな顔で私を見ていた。
「ロマンティックとはかけ離れた代物ね。よくそんなもので彼女が納得したわね」
あたしの問いに彼は耳をひくつかせ肩をすくめながら言った。
「形なんて関係無いのさ。何しろ誰も見たことがないんだ。それにロマンティックな逸話をつけて君のために頑張ったんだよって殺し文句をつければ一発だよ」
重要なのは形じゃないとは言うけれど私などはやっぱり形も整ったものの方がいいと思う。

傍観する記者:ミミザ=エールウィンド
文:レム睡眠


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