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傍観記者シリーズ~第三次外周区攻防戦~

 天静の月11日、この日は歴史に刻まれることになるだろう。この日の早朝、ガウディ近辺に陣を張っていた妖魔軍を殲滅するべく傭兵主体の部隊が進軍した。世に言う「第三次外周区攻防戦」である。蒼天騎士団がその戦力をリオンに割き、ガウディ全体の防御力が低下していた中、この街の運命は彼らにゆだねられたのであった。
 戦闘そのものは朝日が昇るまでに決着がついたそうである。しかしその短い時間の中での戦いの内容は一つとして尋常なものは無かった。中央の部隊の前には世にも恐ろしいジャイアントが立ちふさがり、左翼は人員不足からか極端な不利を強いられた。そんな中、右翼では状況の打開を狙って敵の指揮官であるダークエルフを奇襲しようとして動いていた一団があったらしい。残念ながらその試みは失敗に終わったそうだが彼らのその大胆な行動に私は敬意を表したい。結局右翼は狂発したダークエルフの魔法により崩壊し、左翼は苦しい戦いを凌ぎきった。そして中央に出現したジャイアントは後に「血化粧の死神」「不屈の蒼」と並び称される二人の英雄の活躍によって倒されたそうだ。我々はからくも勝利を収め、朝日も彼らを祝福したのであった。

「ジャイアントだが、この二人だけの力で倒したと言うわけではないらしいね」
徹夜で記事を書き上げた私が珈琲を飲んでいると最近我が家で朝食を取ることが日課になっている彼が話しかけてきた。
「まあそれはそうでしょうね。あれだけの混戦だったわけだし」
彼らが卓越した戦士であることは誰もが認めるところである。それにわざわざ士気をそぐような記事を書く必要はないだろう。人々の希望のためにも、そして記事の売り上げのためにも。
「そうそう、朝日が昇る頃ににたくさんの傭兵達が声を聞いたらしいな。この戦いは俺たちの勝ちだって言う謎の声をね。あれはやっぱり噂の本陣攻撃隊の連中が魔法で話しかけたのかな?」
それは興味深い話である。何しろいつの間にか打ち破られていた本陣を攻撃した部隊の話は全く流れてこなかったからだ。
「今回の作戦に合わせて別働隊が組織されてたんだろうけど、一体どんな戦いだったんだろうな」
相棒の言葉に私は想像の羽を広げる。恐らくかの三部隊に負けず劣らず壮絶な戦闘だったのだろう。

傍観する記者:ミミザ=エールウィンド
文:レム睡眠


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