何時の頃からガウディからシーポートまでの街道で乗合馬車が行方不明になる事件が発生するようになった。やがてこの事件がこの街道付近の砦に住み着いたゴブリン達による襲撃であることが明らかになる。彼らは王を抱きその総勢は五十体を数えたそうだ。
リオンに対して戦力を割いている今、ガウディにゴブリンに対して割ける戦力の余裕はなく、討伐は困難を極めるものだと考えられた。ゴブリンの王は春になるまでは安穏としたその生活を謳歌できるはずであっただろう。しかし、この砦に巣食っていたゴブリンの王はわずか八人の冒険者達によって一晩で平らげられることになった。
冒険者達は少数精鋭で砦に攻め込み、一気にゴブリンの王を打ち倒したらしい。その戦い方は実に単純明快、堂々と入り口から踏み込み力ずくでねじ伏せる。彼らの前に立ちはだかったゴブリン達は次々にその命を散らし王への道が切り開かれた。王はその巨体をゆらし、巨大な斧を振り回しながら抵抗したが、さしもの王も彼らの攻勢の前に倒れ伏すこととなり、無事に街道の大掃除は終了した。
「一人頭五体以上の割り当て。ホブゴブリンやシャーマンも居ただろうによくこなせたもんだな」
「それだけの勇者が集まったって事なんでしょ。良いニュースじゃない」
あたしは筆を置きながら今日ものんびりコーヒーをすすっているクロに話しかける。
どんな戦力が集まったのかは今となっては解らないが頼もしい話であることは間違いない。
あたしは明るい記事が書けたことに満足しながら自分のカップにも注がれていたコーヒーに口を付けたのだった。
傍観する記者:ミミザ=エールウィンド
文:レム睡眠