天聖暦1048年 緑薫の月 千年都市ガウディ
黄昏時は、短い。
その限られた時間の中でヒトは、橙とも紫とも言えぬ空に何を思うのだろうか。その光景にいやに感情を掻き毟られるような感覚を、ヒトは憶える。
不安になるような、泣きたくなるような、ふと気を緩めれば『記憶』の底から何かが溢れてしまいそうになるような…そんな情感。
それは『騎士王』も同じだったのだろうか。ヴェガに視線を落としていたが、彼の背を通り越してどこか遠い所を見つめるような…そんな視線を空に向けている。すでにヒトではない…それも、幽魔だとか、そういった類の域にいるものにとって、過去を思い起こさせる情景は、ある意味で耐え難いものなのかもしれない。
「何度、この光景を見ても心は慣れないものだ。そうは思わないか、小僧…」
『血化粧の死神』と呼ばれるヴェガを小僧と呼ばわる『騎士王』は、終わり行く黄昏を眺めながら言った。
「ざけんなよ・・・・」
自身を値踏みするかのような『騎士王』の視線にヴェガは激昂する。
我が身に降りかかった墓石の欠片や、足元に崩れ落ちた墓石の塊を足でどけつつも立ち上がる。幽鬼を思わせるような、その立ち上がり方はそれだけで見る者に恐怖を与えただろうが、今対峙するのは『騎士王』。
自身に何も恐れるものはないとでも言いたいのか、ヴェガが立ち上がるまでの間、何もせずに剣を片手で持ち佇んでいる。
「…黄昏が終わる…胸を締め付ける痛みとも別れが来ようというのに…私は、少し心残りに感じている」
さあ、渾身の一撃を仕掛けるには早い方が良い、と続ける。
ヴェガが圧倒的な武力を前にしても退かぬ、と。闘うという意思があるのならば、と。
「心が折れぬなら、刃が折れぬなら…汝、我の敵足り得るだろう…来い、小僧ッ!」
今までとは違う、『騎士王』の身体から溢れ、剣の切っ先から溢れるような気迫をヴェガは感じながら、足元の感触を確かめる。
手にした得物の重みはしっかりと感じられる。
蹴られた頭部や腹部へのダメージは残っているものの、無視できる範囲のものだ。問題はない。後、やるべきことは必殺の一撃を『騎士王』に打ち込むのみ。
「・・・・・!!」
ちょうどよく足元に転がっていた…否、立ち上がると同時に、そのように動かしていた岩塊を足甲で蹴り飛ばす。
岩塊は狙い違わず、『騎士王』の眉間へと向っていく。だが、『騎士王』は動かない。動く必要がないと言うのか。
「自身を取り巻くあらゆる状況を利用し、圧倒的戦況の不利を覆そうとする意気は良し…だがッ!」
『騎士王』が何事か小さく呟き、その手甲で岩塊を弾き飛ばす。
しかし、その振り払った手は『騎士王』のガードを開かせる一手。そのことは『騎士王』は承知していただろう。だからこそ、あえて賞賛を送ったのだ。悪くはない、と。
だが、その奇策を労されようとも、それを看破し、打破してこその『騎士王』。
「くたばれ・・・!!死神13【デスサーティン】」
一拍の後に、ヴェガは彼我の距離を詰めんと、疾駆する。水平に構えた大鎌が怪しく輝く。
ぐん、と自身の腕が軋む音をヴェガは聞いた。肩から腕が丸ごと引き抜かれそうになるような感覚を受けながらも自身の腕をギリギリの限界まで行使しての一撃。
その一撃は自身の攻撃の中でも最速最高の一撃だったのだろう。
事実、『騎士王』は回避する間もない。
刹那の後に訪れるのは斬撃の衝撃のみ。
「私に『詠唱』の時間を与えたのは下策だったな…しかし、良い一撃だった」
そう、確かにヴェガの一撃は最高の一撃だった。
『騎士王』の鎧のカードを砕き、首を刈るはずだった。しかし、大鎌の刃は鎧を砕くに留まり、首筋の部分でどうにもこれ以上進まない。手に残る感触は、まるで鋼を撃ったかのような…
「我が鎧…『アカガネ』を砕いたのは見事…私が『鋼化』を唱えなければお前の勝ちだったな。だが、もう時間がない。残念だ。だが、認めよう。最早、私に『次』はないが…また、この時に訪れよ。違う『騎士王』がお前を試そう…」
いつのまにか、大鎌の柄を取られていた。しまった、と呟くより早く手甲に包まれ、さらに『鋼化』によって、さらに硬度を増した拳がヴェガの頬に叩き込まれようとしていた。
重い拳だ…そう思った瞬間、突然、頬に来るはずだった衝撃が軽くなり、掻き消えた。
ヴェガが空を見上げれば、空は星々が燦然と輝き、黄昏は終わり、完全に夜が訪れていた。
目の前には『騎士王』の姿もなく、ただ、壊れた墓石があり、静寂だけが墓地を包んでいた…
黄昏時は、短い。
その限られた時間の中でヒトは、橙とも紫とも言えぬ空に何を思うのだろうか。その光景にいやに感情を掻き毟られるような感覚を、ヒトは憶える。
不安になるような、泣きたくなるような、ふと気を緩めれば『記憶』の底から何かが溢れてしまいそうになるような…そんな情感。
それは『騎士王』も同じだったのだろうか。ヴェガに視線を落としていたが、彼の背を通り越してどこか遠い所を見つめるような…そんな視線を空に向けている。すでにヒトではない…それも、幽魔だとか、そういった類の域にいるものにとって、過去を思い起こさせる情景は、ある意味で耐え難いものなのかもしれない。
「何度、この光景を見ても心は慣れないものだ。そうは思わないか、小僧…」
『血化粧の死神』と呼ばれるヴェガを小僧と呼ばわる『騎士王』は、終わり行く黄昏を眺めながら言った。
「ざけんなよ・・・・」
自身を値踏みするかのような『騎士王』の視線にヴェガは激昂する。
我が身に降りかかった墓石の欠片や、足元に崩れ落ちた墓石の塊を足でどけつつも立ち上がる。幽鬼を思わせるような、その立ち上がり方はそれだけで見る者に恐怖を与えただろうが、今対峙するのは『騎士王』。
自身に何も恐れるものはないとでも言いたいのか、ヴェガが立ち上がるまでの間、何もせずに剣を片手で持ち佇んでいる。
「…黄昏が終わる…胸を締め付ける痛みとも別れが来ようというのに…私は、少し心残りに感じている」
さあ、渾身の一撃を仕掛けるには早い方が良い、と続ける。
ヴェガが圧倒的な武力を前にしても退かぬ、と。闘うという意思があるのならば、と。
「心が折れぬなら、刃が折れぬなら…汝、我の敵足り得るだろう…来い、小僧ッ!」
今までとは違う、『騎士王』の身体から溢れ、剣の切っ先から溢れるような気迫をヴェガは感じながら、足元の感触を確かめる。
手にした得物の重みはしっかりと感じられる。
蹴られた頭部や腹部へのダメージは残っているものの、無視できる範囲のものだ。問題はない。後、やるべきことは必殺の一撃を『騎士王』に打ち込むのみ。
「・・・・・!!」
ちょうどよく足元に転がっていた…否、立ち上がると同時に、そのように動かしていた岩塊を足甲で蹴り飛ばす。
岩塊は狙い違わず、『騎士王』の眉間へと向っていく。だが、『騎士王』は動かない。動く必要がないと言うのか。
「自身を取り巻くあらゆる状況を利用し、圧倒的戦況の不利を覆そうとする意気は良し…だがッ!」
『騎士王』が何事か小さく呟き、その手甲で岩塊を弾き飛ばす。
しかし、その振り払った手は『騎士王』のガードを開かせる一手。そのことは『騎士王』は承知していただろう。だからこそ、あえて賞賛を送ったのだ。悪くはない、と。
だが、その奇策を労されようとも、それを看破し、打破してこその『騎士王』。
「くたばれ・・・!!死神13【デスサーティン】」
一拍の後に、ヴェガは彼我の距離を詰めんと、疾駆する。水平に構えた大鎌が怪しく輝く。
ぐん、と自身の腕が軋む音をヴェガは聞いた。肩から腕が丸ごと引き抜かれそうになるような感覚を受けながらも自身の腕をギリギリの限界まで行使しての一撃。
その一撃は自身の攻撃の中でも最速最高の一撃だったのだろう。
事実、『騎士王』は回避する間もない。
刹那の後に訪れるのは斬撃の衝撃のみ。
「私に『詠唱』の時間を与えたのは下策だったな…しかし、良い一撃だった」
そう、確かにヴェガの一撃は最高の一撃だった。
『騎士王』の鎧のカードを砕き、首を刈るはずだった。しかし、大鎌の刃は鎧を砕くに留まり、首筋の部分でどうにもこれ以上進まない。手に残る感触は、まるで鋼を撃ったかのような…
「我が鎧…『アカガネ』を砕いたのは見事…私が『鋼化』を唱えなければお前の勝ちだったな。だが、もう時間がない。残念だ。だが、認めよう。最早、私に『次』はないが…また、この時に訪れよ。違う『騎士王』がお前を試そう…」
いつのまにか、大鎌の柄を取られていた。しまった、と呟くより早く手甲に包まれ、さらに『鋼化』によって、さらに硬度を増した拳がヴェガの頬に叩き込まれようとしていた。
重い拳だ…そう思った瞬間、突然、頬に来るはずだった衝撃が軽くなり、掻き消えた。
ヴェガが空を見上げれば、空は星々が燦然と輝き、黄昏は終わり、完全に夜が訪れていた。
目の前には『騎士王』の姿もなく、ただ、壊れた墓石があり、静寂だけが墓地を包んでいた…
参加者:ヴェガ
投稿期日:特に設けません。次のアクションメールが届くまで
最大アクション数:6アクションまで(ifなどの分岐アクションも1アクションとして捉えます)
ヴェガは『ナイトオブナイツ』との戦闘を終えました。すでに時刻は夜。周囲にはやはりヒトはいません
調査をするのか、このまま帰るのか、それはヴェガの行動にお任せします。
帰る場合には一端、ミッションを中断という形になります。再開する場合には、またアクションメールを送ってくだされば、再開となります。
またこの場合には、アクションメールなどは不要です。
アクションメールが届き次第更新します。
メールの送り先:gmml@tmohgw.twinstar.jp
メールの件名:「シェイド・フェイド」
※アクションの書式につきましては、従来のHeaven's Gateの書式に依るものとします。
例)
PC名:〜
PL名:〜
返信メールアドレス:〜@〜
今回の方針:〜
PC名:「PCの台詞」
<PCの思考>
(PCの行動)
その他、質問がありましたらこちらまでお寄せ下さい。
GM:サニロ
投稿期日:特に設けません。次のアクションメールが届くまで
最大アクション数:6アクションまで(ifなどの分岐アクションも1アクションとして捉えます)
ヴェガは『ナイトオブナイツ』との戦闘を終えました。すでに時刻は夜。周囲にはやはりヒトはいません
調査をするのか、このまま帰るのか、それはヴェガの行動にお任せします。
帰る場合には一端、ミッションを中断という形になります。再開する場合には、またアクションメールを送ってくだされば、再開となります。
またこの場合には、アクションメールなどは不要です。
アクションメールが届き次第更新します。
メールの送り先:gmml@tmohgw.twinstar.jp
メールの件名:「シェイド・フェイド」
※アクションの書式につきましては、従来のHeaven's Gateの書式に依るものとします。
例)
PC名:〜
PL名:〜
返信メールアドレス:〜@〜
今回の方針:〜
PC名:「PCの台詞」
<PCの思考>
(PCの行動)
その他、質問がありましたらこちらまでお寄せ下さい。
GM:サニロ