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球状硝石の採集 第三話「ソネル村にて」

<朝礼>

珀錫の月2日・晴天

抜けるような青空の下、子供たちが外で遊んで回っている。
少し離れた場所から巻き割りの音が聞こえる。

朝のうちから皆はオルトに呼び出される
防寒具の受け渡しと、連絡があるそうだ。

ルカ:「やー、昨日はモテモテだったね。取り囲まれた上に、
    エル君の好きなタイプはどんなのかなぁ?あっはっはー
    とかおばちゃんに聞かれちゃってさー。あれなんて答えてたっけ」
   (冗談っぽく笑いながら、昨晩のやり取りでエルをからかっている)

レン:「エルるん、何があったですか~?」
   <レンがお謳歌ってる間にそんな事あったですか~。>
   (ルカの冷やかしに興味津々といった感じで二人を見る。)

エル:「やー、参ったねー。お姉さん達のパワーは凄いよねーっ。なんかこーいうのって久々で楽しいよね?癒されるー。」
   <…好きなタイプー…とか言われても…ねえ?…ねえ?>
   (後頭部で両手を組み、笑顔で返答すると曖昧な返事を返して誤魔化した)


オルト:「さて、かさばるので早めに配らせてもらいますね。」

オルトは各自に防寒具を手渡していった。
大体サイズどおりになっていたが、
レンだけはサイズが大きめの物になってしまった。

レン:「にゃぁ…おっきぃですぅ~。 ガウディで買える物とはやっぱり保温性とか違うですか~?」
   <違わないなら自分のの方が動きやすいですけど…。>
   (取敢えず着込むと、ちょこまかと辺りを走って動きを試す。)

オルト:「そうですか…すみません。これは前の調査の時に学院の調査隊が持ってきたものなので…1番小柄な女性モノなんですが。
     性能は特に通常のものとかわりありませんね。」
    (すまなそうに頭をかいて応えた)


多少寒い風が吹くが、天気が良いおかげか外に居てもそれほど苦にはならない。
もちろんそれは、風を避ける壁があるからかもしれないが…。


アーク:(ぼんやりと空や周りの景色を眺め、オルトに尋ねる)
    「この辺だと天気や道なんかはどんなんだろうねぇ
     すぐに変わったり、進みにくくなったりするもん?」

オルト:「雨もなかなか降らない地域なので、そう荒れることはないでしょう。
     ただ、風が強く吹くかもしれませんね。足場の悪いところでの突風には気をつけたいところです。」
    (行く先と思われる上のほうを眺めて応える)


アーク:「あー、やっぱ昼間はなんかいろいろしっくりこないや
     出発までどっかで休ませてもらいたいんだが
     どこにいりゃいいかな?
     つぅかもう馬車乗ってたほうがいいんかな」
    (あくびをしながら再度質問)

オルト:「馬車は私たちが戻ってきてから荷物を積んで、
     ガウディに戻るための準備を始めます。
     明日はここを出るときから徒歩になりますので間違えないようおねがいしますね。」
    (また少し考えつつ応える。)

オルト:「さて、明日の荷物ですが、保存食と水、酒、その他こちらで用意した荷物については今日の夕方にカーター殿の家の広間で受け渡します。
     杖は玄関脇に木の棒の束がありますので、どれでも好きなものを持っていくように、とのことです。
     明日の食料は明日の朝、カーター殿が用意してくれるという話です。 保存食以外に食事があるのは嬉しいですね。」
    (保存食の味を思い出したのか、苦笑いを交えた。)

オルト:「私はこのあと教会に身を寄せている学院の駐在員に報告と打ち合わせがあるのでそちらに向かいます。
     明日は日の出のころには出発になりますので今日は無理をしないようにしてください。
     明日のメンバーはあなたがた6人と、ガイドのポーツさんで合計7名となります。
     本当は私も調査がてら同行したかったのですが、『採集を優先させて欲しいので足手まといになるな』ということです。」
    (残念そうに息を吐く。)

オルト:「連絡事項は以上です。 明日はよろしくお願いします。」
    (そう言って、皆を見渡すと、その場をあとにした。)

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自分たちが昨晩とまった部屋のテーブルの上に
ホリィは紙を何枚も広げてなにやら作業を行っていた。

ホリィ:「ふーっと、・・・こんなもんでいいかなァ。わんつーさんしー・・・、っと。よしよし。」
    (手持ちの紙を使い、昨晩話した女性数にいくつかの余裕を持たせた数の折り紙の白い花を作った)

ホリィはなんとかかんとか人並みに見られる程度の花準備することができた。    


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<ティーバのお宅訪問>

レンは、昨日のカーターの言葉から話に聞いたティーバの家に行き、
昔話を聞きだそうとしていた。

レン:「こんにちは、レンって言います。 カーターさまのお家でお世話になってるですぅ。
    この辺に伝わる昔話を教えて欲しいですが、今ってお時間だいじょぉぶですか?
    あのね?硝石を採りに行く近くに遺跡があるとかって聞いたですよ~。
    そぉいうのも噂とか伝承って何かあったりするですか~?
    あ、レンに出来る事があればお手伝いするですぅ。」
   <ついでに遺跡が見つかったら面白いですぅ♪>
   (家を訪ねて、にこぱぁっとご挨拶。 昔話や噂、伝承。何でもいいのでワクワクと訪ねる。
    遺跡については情報があったら面白いな~程度。 何か手伝えそうな事があれば聞きながら手伝うつもり。 )

老女:「ほうほう、カーター殿の…。」
   (うなずき、軽く首をかしげる。)
   「あーん、昔話?
    そうじゃなぁ。遺跡というと、化粧都市のはなしかの?
    暇なら…そうじゃな、そこの芋の皮でも剥いてくれんかの。」
   (ボウルの上に山になっている芋を指差し、どうやらこの人の主食のようだ。)

   (レンが皮を剥いている横に座る)
老女:「化粧都市というのは、あっち側の山の上のほうにある巨大な遺跡のことでな。
    まわりをぐるっと山脈に囲まれていると言われとる。
    あまりにも巨大なもので、入り口が500あるとも1000あるとも言われているんじゃ。」
   (言いながら編み物を始める。)

老女:「化粧都市には、普通の場所じゃ捕まるような連中、縛り首になるような連中も隠れて生き残っているそうじゃ。
    一攫千金を狙う山師や詐欺師、それから犯罪者のような連中、そのへんを合わせて『化粧』と読んでいるんだとか。
    おかげで毎年何人もの連中が行ったきり帰ってこないそうじゃ……。」
   (ほっほっほ、と笑って、置いてある茶を傾ける)
    


レン:「後…狼さんが出たり、猪さん出たり。 洞窟にはコウモリさんが出るって聞いたですけど、
    出やすい時間とかってあるですか? 避けるのに何か効果的な物とかあるです???」
   <何かあるかな? あるといいなぁ?>
   (仕事は忘れてないのか、獣の動向についても尋ね、念の為避けるのに良いものが無いかも聞く。)

老女:「狼やら猪、コウモリなんかは夜に動くと言われておるな。 夜は極力、歩き回らんほうがえぇ。
   (今度はレンの手に毛糸を持たせて、別の編み物(…多分、失敗作だと思われる)を解きほぐしている。)

老女:「よぉーし、こんなもんかの。」
   (巻き終わった毛糸を球にし、ニコニコとしながら片付けた。)

レンはその家でランチをご馳走になった。 

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ホリィ:「ふんふーん。ふふーんふ。・・・お、いたいたー。」
    (鼻歌交じりで村を散策。昨晩の女性を捜し歩く。)

行く先の川原には洗濯物のかごを持ったマダム。

ホリィ「やーや、昨日は色々アリガトねー。俺この村好きになっちゃいそうよん?
    ・・・ぁあ、これは貴方に似合うと思ってさ。
    うん、やっぱ貴方のようなマダムにはこの白いバラがよく似合うよ。
    って、ちょっと俺ってばカッコつけすぎー?
    ・・・ぁ、えるるんも宜しく伝えてくれって言ってたよ。昨日は本当に楽しかったってさ。」
    (昨晩のおばさんを見つけるとにこやかな笑顔で近づき話す。ホリィは折り紙のバラ一輪を消費した?)

マダム:「あらぁ、まぁまぁ、バラだなんてガラじゃないわぁ。」
    (そう言いながらも結構嬉しそう。)

マダム:「すごいわね。わざわざ紙で作ってくれたの? 流石都会の男はセンスが違うわねー。
     うちのダンナにも見習わせたいくらいよ。」
    (ホリィを肘でつついてからかったあと、あっはっは、と楽しげに笑うと胸元のポケットに挿しこんだ。)


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<アーキスの調査>

遊ぶでもなく、働くでもなく
かといって部屋へ戻って寝るでもなく
アーキスはぼーっと突っ立っていた。

アーキス「・・・・・・寒っ・・・」
(朝食後、外で一服しつつぼけーっと遊ぶ子供を眺めている)

冬の寒空の下、時折吹く風が足元を通り抜けていく。
寒い。

アーキス<・・・暇だ・・・・調べ物でもしてみるか・・・付いて行けばよかったか・・・・>
(煙草を咥えたまま、しばしなんか考えてる)

考えた結果、アーキスは歩き始めた。
少なくともぼーっと立っているよりは暖かいだろう。
暇もつぶれて一石二鳥だ。

アーキス「・・・・・・・・・」
(煙草を捨て、貰ったチーズを齧りつつ教会目指して歩き始める)

教会はある程度離れていても一発でわかる外見をしていた。
見慣れた聖印と、建物の雰囲気がいかにもそれっぽい。
そして普通の村民の家より金がかかっていそうだ、と思った。

アーキス「・・・たのもー・・・冒険者のアーキス・・偉いのだれ?」
(教会につけば、扉を開け適当に声をかける)

扉をあけると12,3歳程度のローブを着た子供が居た。
彼はアーキスの問いに頷いて奥へと駆けていった。

アーキスはそのまま奥の部屋へと通される。
奥の部屋では20代後半と見られる女性と、40歳そこそこの男性、
そしてオルタネータが話をしていた。


アーキス「・・・ぶっちゃけ暇でね・・・今回目指す洞窟と結晶に・・話に聞く遺跡・・・この辺の歴史なりなんなり調べたいと思って・・・資料とか記録があるとすれば此処だと踏んだのだけれど・・・」
(来訪の理由と記録が見たいという目的を告げてみる)


男性:「おや……まぁ、ここなら学院の駐在員のかたが常駐しているので、確かに資料はありますが…。」
   (女性とオルタネータのほうへ視線を向けながら。)

オルト:「ここにある資料くらいなら問題ないでしょう。見ていただいて結構ですよ。」
    (頷いてみせる。)


アーキス「・・・どもども・・・そいじゃ・・よろしく・・」
(お礼を述べて資料・記録漁りの調べ物で暇を潰す)

アーキスは教会に居る

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<資料(概略)>
・このあたりの歴史
このあたりは長年、牧畜と狩りによって暮らしてきたが
世帯の増加に対して牧畜スペースも狩りの得物もそれほど多くは無かった。
そのため、狩りに出てしばらくの間ライミ山で暮らし、得物をガウディに売って帰ってくる出稼ぎが増えたが
そのまま帰ってこなくなる例が多くなっている。
最近では村に残る男連中はほとんどが世帯主、長男のみとなり
牧畜・狩り以外の稼業が求められる。

・遺跡
この地域の洞窟で人口のものと見られる通路が見つかった。
残念ながら通路は落盤のためどこにも通じて居ないが
地域柄、一連の化粧都市遺跡の方面と関連がある可能性がある。
今回見つかった洞窟の球状硝石も自然にできたものではなく
遺跡の関連物の一種ではないかという見方も強い。
とはいえ遺跡の入り口を探す予算は既に尽きているため
遺跡捜索としての調査はしばらく行えそうに無い模様。

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ホリィは炊事場のほうへ向かうと、料理をしているおばさんを見かけた。

ホリィ「やーぁ。昨日は楽しかったよん。それにアレ、あのイモ。あれとか俺大好き。
    これはアレ。この花のようにいつまでも枯れることなくこの寒さの中で一層の輝きを見せる、
    そんな神秘的な貴方にこそ似合うと思うんだ。なーんてねー。俺からのささやかな気持ちってことで。
    ・・・ぁ、えるるんも宜しくだってさ。えるるんばっかで俺ってばちょっと妬けちったぜィ。」
    (昨夜の料理を作ってくれたおばさんを発見→にこやかに会話突入→折り紙の水仙を消費した?)

おばさん:「あらありがとうー。 っと、ちょっと手が濡れてるからそこに置いてもらえる?」
     (ニコニコとしてエプロンで手をふきながら)

おばさん:「エルくんはねー。あれはいじりがいがあるもんね。 構いたくなるタイプていうか。
      ホリィさんはもうちょっと大人なカンジだものね。ありがとう。」
     (そう言いながら折り紙の水仙を受け取った。)

おばさん:「それじゃ、これが私からのささやかな気持ち。」
     
はい、とか言ってホリィはソーセージを一本渡された。
茹でたてのソーセージは熱くて手がやけどするかと思ったが、流石に茹でたてだけあってジューシィだった。


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<カーター編>

エル:「っと。レンもカーターさんとこに行くんだ?俺もちょっと行こっかなー。…って、アレ?居ないんですけど。寂しいんですけど。」
   (辺りをキョロキョロと見回しながら、とぼとぼとカーターの家へと向かう)

レンについていこうかと思いきや、思いっきり置いてきぼりをくったエルもまた、カーターの家へと向かった。


エル:「こんにちはーっ。昨日は良い夜をありがとうございました。いつもあんなに賑やかなんすか?これならカーターさんも毎日が楽しそうだっ。」
   (カーターの家を訪ねると笑顔で昨晩の礼を述べる)

カーター氏:「おぉ、どうも。 いやいや、あんなににぎやかなのは久しぶりですよ。 お客人をにぎやかにお迎えするために親戚を呼びました。」
      (エルの挨拶にニコニコとして答える)


エル:「やー、実は何かお話を聞けたらなーっと思いまして。
   僕、剣が大好きなんですよー。や、物騒なお話に聞こえちゃうかもしれませんが、そういう意味じゃなく、こう…剣って象徴だと思うんですよね。シンボルといいますか。
   その剣が作られた過程には色々な意味があってー…倒すために生まれてきたのか、それとも守る為に生まれてきたのか…はてさて、誰かの為に生まれてきたのか…。
   …あ、ちょっと熱くなってしまいましたけど、伝説の剣とか、へっぽこな剣とか何かご存知かなと思いまして。
   や、カーターさんは領主さんともお知り合いとのお話なんで、色々と見聞されてるのかなーっと。」
   (剣の話をしている時は拳を握り熱弁を振るいながらも、熱くなっている自分に気付きクールダウンしつつ尋ねる)

カーター氏:「ほぅほぅ…流石は冒険者殿ですね。ここに住まう人々は元々が狩猟やら牧畜を生業としていますが、
       あまり戦いの経験はありません。 山に近い隠れ里だからですかね… ごくたまに、ゴブリンの手合いがはぐれて顔を出す程度です。
       しかしここに多少の食料があっても、ひとたび治安が悪くなるとガウディまで物資を運ぶこともできません。
       本来は、武装した方々との付き合いもあったほうが良いのでしょうが…。こんな土地ではなかなか難しいですね。
       男手がもう少し多ければ良いんですが。」
      (苦笑を交えて応える)
       

エル:「あらー…そうなんですかー。残念…。でも、これだけ平和でのどかな村ですもの。武器なんて物騒なモノ、持つ必要が無いですよ。
   逆に、この村で暮らしている皆さんは幸せな生活が送れているんだなーって思いました。…カーターさんという名主のおかげですねー。」
   (残念そうにしながらも、自分のことのように嬉しそうに笑顔を見せた)

カーター氏:「いえいえ、私などちょっとしたいざこざの時に顔を出す程度です。
       この村が平和なのは山奥で忘れられた存在だからに他なりません。
       一時、ガウディが攻められたころなどは私たちも生きた心地がしませんでした。
       そんな折になにもできないのはまた…情けないものでした。」

そんな話をしていると、カーター氏を呼ぶ声がする。

エル:「っと、もうこんな時間ですかっ?!やー、急に押しかけてしまってすみませんー。時間が経つのは早いものですねー…
   また宜しければお話させてくださいねー。」

カーター氏:「いえいえ、こちらこそ。久しぶりにこうやってお話ができてよかったですよ。」
      (にこやかに言うと、呼ばれた声に応えて部屋を出て行った。)

一礼してカーターを見送ると、エルは自室へと戻っていった。

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今度はおつかいでカーター邸に酒を持ってきたおばさんを捕まえる。

ホリィ:「やぁや。昨日はホントありがとね。長旅で疲れてたところにこんな美人さんがもてなしてくれたんだから、
     ここが伝説のヘブンズアイルかと思っちゃったってば。
     って、まぁこれは誰かさんの受け売りなんだけどね。
     ・・・え?いやいや、本人は恥ずかしがってるから名前は出せないんよ。
     まったく、あいつシャイなくせに上手いこと言うよなー。
     あ、俺も負けてないよ?これは俺からの気持ち、貴方のような情熱的な女性にこそ似合うと思ってね。」
    (昨晩一番テンションの高かったおばさんには折り紙のアヤメをプレゼント)

おばさん:「え? あー!ホントに?」
     (ホリィが差し出したアヤメを凝視して)

おばさん:「ヘブンズアイルだなんてホント口が上手いわねー。 そうやっていつも女の子口説いてるんでしょ。」
     (けらけらと笑いながら受け取って、ホリィの話を聞く)

おばさん:「この村の男手は出稼ぎや狩りで出て行ってそのまま帰ってこないのも多いからねぇ。
      ホリィさんみたいなのが居るとモテモテだよ。もうここに住んだらどうだい?」
     (自分で言いながらはっはっは、と楽しげにわらい、本気かどうかはわからない。)


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<娘編>

カーター氏から娘の部屋を聞いたレンは、すぐさまその部屋へと向かった。

レン:「こんにちは、レンって言うですよ~。謳歌いです。 身体の調子はどうですか~?」
   (扉から顔を覗かせ、様子を伺う。 大丈夫そうなら今まで行った先の風景とかお話するつもり。)

娘:「…あら、こんにちは。 レンちゃん?」
  (14,5歳ほどの少女が、レンの様子を眺めて首をかしげる)

彼女は部屋の中で起き上がり、本を読んでいた。
昨晩は顔を見せなかったが

娘:「挨拶するって言ったんだけど、パパが『夜遅くなるからダメだ』って言って許してくれなかったの。
   今日は一緒にご飯できるはずよ。」
  (嬉しそうな顔を見せた。)

レン:「ライミ山の森の中とか、 南の島のウォンジアとか、色んな所に行ったですぅ。
    コレは紅玉の森の落ち葉なの。普段紅葉しない葉っぱでも赤く染まって不思議なんだよ。
    ウィルベルはまだ弾けないですけど、コレはライミ山に住んでる魔獣さんに貰った牙で作ったですよ~。」
   (落ち葉の中でも綺麗で珍しい形の物を選んで一枚手渡す。
    ウィルベルも見せて、迷子になったり色々だったライミ山のお話や、
    夏を過ごしたウォンジアの自然について話したり。
    その間も目を配り、必要以上に疲れさせないように気をつける。)

レンが身振り手振りを交えて話す様子を、少女は頷きながらニコニコと聞いていた。
赤い落ち葉については、大事なもののように箱の中に入れていた。

娘:「ありがとうね、レンちゃん。」
  
夕飯に呼ばれると、二人は仲良く食堂のほうへと向かった。
良い匂いが漂ってくる廊下を歩く間も、少女は楽しげにレンの話を聞くのだった。

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ホリィが納屋をぶらぶらと歩いていると、小さな子供らと遊んでやっている少女を見かけた。

ホリィ:「いよッス。昨日はありがとねー。
     いやいや、君があともう5歳上だったらおにーさんほっとかなかったってば。ホントホント。
     ・・・えぇ?じゃあ5年後に?ハハハ、じゃあおにーさん楽しみにしてるよ。
     あ、そうそう。これは俺から君へ。
     一足早いけど春が来ましたー、みたいな?君ならこんなサクラが似合う子になれるさ。」
    (少女らしい年代の子と楽しくお話。折り紙の桜を消費した?)

少女:「あーっ、ホント? コレ紙なの? すごい! 紙の花なんて貰ったこともない。」

受け取った折り紙を凝視してもぞもぞ。
どうやら折り紙というものを初めて見たようだ。
紙が貴重品で普段ほとんど触らせてもらえないせいか、材質一つとっても大騒ぎをしている。

少女:「これどうやってやるの? 開いていい? でも怖いから開いてみて。」

ようやく「折り紙」という技術に関心が向かったのだろう。
今度はホリィに仕組みを聞こうと折った花を開いてみて、とお願いするのだった。

   (一通りホリィに遊んでもらうと)
少女:「……うん、じゃあまた来てよ? 今度は春に。」
   (笑みを浮かべると、折り紙の桜を大事そうに鞄の小さなポケットの中に入れた。)


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<ポーツ家にて>

「あっちに歩いていけば、子供らの声がするからすぐわかると思うよ。
 12人家族なんだ。それなら見たらわかるだろ?」

ポーツの家を人に尋ねたところ、こんな返答がかえって来た。
確かに見つけた家は、外までがやがやと子供らの声が聞こえてくるような家だった。

ルカ:「こんにちわ、と。ガウディから着た冒険者なんだけど、
    今回洞窟までガイドをお願いすることになってるポーツさん、でいいのかな?
    あたしはルカ。よろしくね。」
   (ポーツの居場所を人に尋ねて出向き、にっこり笑って挨拶を)

顔立ちだけなら30代後半程度と思われる男が「おぉ、おぉ」と声を挙げて手を打った。
丸い鼻に多少えらが張った顔。鼻の下のヒゲはヒトが良さそうに見えるが
ヒゲから髪からがやたらと白髪だらけのために、実際より余計に老けて見える男だった。
そういえば、昨日の宴席に居たような気もする。

ルカ:「あ、聞きたいこととかは明日山に向かいながら話しても良かったんだけどさ。
    どーせ今日はすることないし、ちょっとお話でも出来たらいいかなぁと思って。
    押しかけてごめんね。」
   (相手の都合を尋ね、忙しくなさそうなら続けて話を聞く)

ポーツ:「おぉ、かまわんとも、何、半分は私のせいで今日一日あけてもらっているところもあるんでな。
     色々準備もせにゃならんからあんまり長く話しているわけにもいかんが、あぁ、そこら辺に座ってくれ。」
    (入り口はいってすぐ横の部屋にある子供用のベッドを指差して言う。)

こうする間もポーツの向こう側では子供らが追いかけっこをしている。

ルカ:「二通りあるルートで多分林の方を行くことになるかとは思うんだけど、
    崖と狼以外に、特に注意しないといけないようなとこはあったりするかな。
    洞窟に出るらしいコウモリも気になるなぁ。実際に襲われたことってあるの?」

ポーツ:「ふむ、林のほうか。 注意するのはあとは猪だな。
     三日前に、弟が大猪を見かけたって言ってきたんでな。
     いかんな、昨日言おうと思っとったのに、酒を飲んで忘れてしまった。」
    (自分の額をぴしゃりとやって苦笑をもらすと。誤魔化すように笑った)

ポーツ:「コウモリは実際に襲ってくることもある。 多分今回の硝石なんか持っていたら見かけた連中がまた寄ってきそうなきがするのぅ。」
    (腕を組んで、頷いた)

ルカ:「それと順調に行けば多分二往復出来ると思うんだけど、一回目が終わって
    帰って来た後、疲れに効くっていうソネル温泉に行けるといいなーとか考えてて。
    もし行くことになったら、そこまでの案内もお願い出来ないかなぁ。
    昨日話したおばちゃんがポーツさんなら絶対知ってるって言うからさ。」
   (軽く笑って、温泉まで連れて行ってもらえないか尋ねる。
    もし相手がちょっと渋っている風とかなら、「お願い!」と手を合わせて頼んでみる)

ポーツ:「ソネル温泉か…構わんが、それならうちの子達も連れて行って構わんかな?
     いや、家内がな。何日も子供の面倒を見ないと五月蝿いんだよ。」
    (構わんかな?と言いながら有無を言わさない風に続けていき、後半はヒソヒソとした声で)

ルカ:「前回学院が硝石の調査に来た時も、ポーツさんがガイドを?
    結局あの時は全部割れちゃって大変だったそうだねー。
    今回はそうならないように頑張るよ。」

ポーツ:「そうだな。遺跡探しのときからだからもうオルタネータさんとも何度も一緒している。
     あの時は、コウモリに襲われるわ、狼に襲われるわで大変だったな。」
    (うんうん、と頷きながら)

ポーツ:「昔はそんなことはなかったのに、最近になって妙に獣の類が人間を襲ってくるようになったんだよな。」
    (首をかしげながらブツブツという)

ルカ:「と、そうだ。前回行ったとき困ったこととか、
    何か準備しといた方が良かったものとかももしあれば教えてもらえると助かるかなぁ」
   

ポーツ:「準備しといたほうが良かったもの…
     一番準備しておくべきだったものは……用心棒だな。」
    (ルカのほうを軽く指差してにやり、と笑うと、はっはっは、と笑って続けた。)

そうこう話をするうちに、家の奥のほうから怒声が聞こえてきた。
どうやら奥さんが何か言っているらしい。

ポーツ:「それじゃ、私はこれから忙しくなるんで、また明日。」

ルカはとばっちりを受けないうちに、ポーツの家をあとにした。


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昼過ぎごろ、窓の奥に本を読む女性の姿が見えた。
ホリィは窓を叩いてあけてもらう。

ホリィ:「いよーッス。昨日はホントありがとね。お陰さんで楽しい夜を過ごさせて貰っちゃったよ。
     てわけで、これは俺からの俺のお返し。
     ・・いやァ、一応探してはみたんだけど流石にこの季節だと花が見つけられなくてさ。
     折角だからいつまでも覚えていて貰えるようにってことで一つね。
     ま、君の前ではどんな花も霞んじゃうんだけどねー。
     ・・とか言うとキザ過ぎみたいな?いやいやホントホントー。」
    (妙齢の女性には折り紙のコスモスをプレゼント)

女性:「あら……ありがとう。
    この季節じゃ花はなかなか無いけど……こういうのもいいわね。」
   (折り紙のコスモスを見て少し驚いてみせると、微笑んで花のにおいをかぐ真似をする。)

女性:「あはははは、まぁ、あんまり信用ならない気もするけど、ありがたく受け取っておくわ。」
   (軽口を言いながらも大事そうに本にはさんでいる。)


ひととおり花を配り終えたホリィの手元には、
二つだけ花が残されていた。

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