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第九話

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フィア:「・・・・?」
    <絶対。に?・・・気のせいかもしれないけれど、>
    (何か引っかかったように、つかの間、眉を寄せる)

瞬間、言霊が湖を震わせ、森をざわめかせる。
城にも届いているのではないか…と思う程大きな咆哮だ。

着地した後も風は収まらず相変わらず冒険者達へ吹き付ける。
この状態が続くようであれば防寒具を身に纏っていても凍死してしまうかもしれない。

ユーリ:「…木の後ろにでも隠れてろ…。」
    <…風が武器なら…私に庇いきれるのか…?>
    (ニーディや後衛に一言だけ警告しつつ、槍を地に突き立て、ランタンを庇いながら竜の行動を警戒。)

フィア:「・・・っっ!」
    <これが、あの・・・竜・・・?>
    (とっさに足を踏み出し、ローブの後ろ側にニーディをかばう)

ナーク:「わわっ 大きいなー。」
    (眉間に皺をよせ、弓を放てるよう番える用意をする)

シェーン:「...あれが噂の竜ですか...。」
     <かなり怒ってる...やっぱりあの三人のおかげでしょうか...>
     (竜を見据えつつ、自分の配置に移動)

メルディア:「さてさて、大ボスのお出ましね。魔法の生き物は苦手なんだけど」
       (ニーディと竜の間に立ちふさがる感じでガード)

竜の目の前にメルディアを中心にユーリとシェーンが脇を固めるように配置する。
後衛はゼロにナーク、そしてニーディを強風から庇うフィアがいる。
竜は着地してから身動きをとらず、こちらの様子を伺っているように見える。

ゼロ:「・・私たちは・・攻撃する気はありません。・・貴方に会いに来たのです。
     ・・どうか話を・・聞いてください。」
   (攻撃してくる気配の相手に向けて視線を外さずに呼びかける)

ゼロの言葉に竜は唸り声と共に牙を剥く。
竜の周囲に漂う霧は濃くなり、一歩、二歩と冒険者達に近づいてくる。

メルディア:「怒ってる・・・わよね。ニーディ、彼は何に怒ってるのかしらね。
       分かればなだめもできるんだけど」
       (ニーディにあの竜をなだめられないか聞いてみる)

ニーディは首をゆるゆると横に振る。
瞳を潤ませて蒼を見つめる、竜の歩みは止まる事を知らない。

メルディア:「やってみるか」

メルディアが手持ちのナイフを取り出し構えた瞬間、フィアの声がメルディアを制止させる。

フィア:「・・・待って。彼女と会話が通じるかも知れません」
    <敵意・・・でも殺意ではない・・・この竜の正体は・・・>
    (蒼と翡翠に半ば目を奪われるように見つめながら、目の前の存在に集中しようとする)

ゼロ:「・・少し・・力を・・貸して下さい・・ね・・。」
   <彼女に精霊を沈める力があるのであれば・・もしかしたら・・これで安定した
    ・・交信が少しで・・できるかも・・。>
    ニーディの肩に手を置き、相手の気配を読み取ろうと精霊交信を試みる。
    可能であれば相手の存在する位置や属種などを)

二人が感じるのはエイラの湖、まるで湖の中に居るようなひんやりとした感覚…
勿論湖の中に居るというのは例えだ。しかしそう言っても過言ではないほど辺りは"水"で包まれている。
ゼロなら直感的にわかるだろう、精霊魔法似通った感覚の物がある…ウォータースクリーンだ。
フィアなら持つ知識と経験から推測ができるだろう、クリエイトミストではない…しかしこの霧には力を感じる。
これはそういう力を扱える者、自ずと答えが導き出される。
目の前に居る竜はただの幻想に他ならない。

高密度の力が模ったもっと身近で形のある者、水の精霊だ。
時折霧に混じって風の息吹を感じる。どうやら風の精霊の力も強いようだ。

しかし…これほどの力を操る精霊である。
万が一精霊感知、精霊交信を失敗しようものならば精神が衝撃を受けただでは済まなかっただろう…

『――――そう、ニーディが選ぶだけはあるみたいね。』

ゼロの頭に声が響く、瞬間ゼロの目の前に光が溢れ出した。

ナーク:「うおっ まぶしっ」
    (急な閃光に両腕で目を隠す)

ゼロの目の前に浮かぶはウィルオーウィスプ、先程ゼロが召喚した精霊だ。

フィア:「・・・ニーディ・・・貴女は、“このひと”に会いに来たんですね?」
    <いまここで、わたし達がするべき事は何?>
    (確かめるようにニーディを見やり、いつでも宙に文字が描けるように指先に力を込める)

ニーディ:「う…うん。」

もぞもぞとフィアの腕から離れてメルディア達の前へと進み出るニーディ。

シェーン:「...ニーディ、大丈夫?」
     (ニーディに声をかけつつ、竜を目の前にした反応・様子を観察してみる)

ニーディは振り返り頷く。
光の精霊に照らされ浮かび上がる少女と白い霧の竜。
一瞬だが…この冷たい空間の中、シェーンはその光景を幻想的だと感じたかもしれない。

ニーディ:「聞こえた…やっと聞こえたよ。 でも…
      ニーディが選んだわけじゃないよ、ニーディと一緒に…ここまで来たの。」

シェーン:<果たして人間の声が通じるかどうか...>
     「...聞いてください、私達は無闇にあなたを狩りに来た訳ではありません。
      この森がどうして霧で覆われたのか、この霧を晴らす方法はあるのか、
      答えを求めに来ただけです。」
     (竜に向かって積極的に攻撃する意志はないことを呼びかける)

ゼロ:「・・この地域の人々は霧に手を焼いています・・。・・この霧と貴方が・・
    共にあるのなら・・・貴方もいつまでもこの地にいる訳ではないでしょうから・・
    移動する手伝いを・・させて頂きたいのです・・。」

ナーク:「寒いんだからなんとかしてよー」

『これも星の巡り合わせ、かな……ニーディが居るんじゃこの姿で居ても意味ないか。』

竜から発せられる声…高めの音域、アクセントから女性というより女の子、に似た声が風に乗って冒険者達に伝わってくる。
竜が前足を浮かせ羽ばたく。すると纏っていた霧が一斉に分散し、白き竜から人影が一人浮かびあがってきた。

精霊:「久しぶりね、ニーディ。 そして初めまして…名も知らぬ者達よ。
    あぁでも名前言わなくていいからね、知ろうとも思わないから。」

明るい声で毒を吐くのは小柄の少女。
蒼色の瞳にサイドポニーテールでまとめている若葉色の髪の毛。
ポニーテールを結んでいる部分には黄色いリボンが巻かれている。
白色のブラウスに藍色のロングスカートを履いており、街にいる少女となんら変わりはないが
決定的に違う箇所は背中に生えている半透明の二対の羽である。

ユーリ:<…さて…人の言葉が理解できるかは解らんが…。>
     「…お前はこの湖で何をしている…?
      …お前が居るためかは解らんが我々は濃霧で難儀している…。
      …この霧と無関係なら構わんがお前が原因なら早々に立ち去ってもらいたい…。」
    (質問し、砦の人間たちの思惑をどこまで知っているか、相手に何か思惑があるかを測ろうとする。)

精霊:「貴方達の言葉を一つ一つ丁寧に返して行くのは骨が折れるわ…簡単に答えてあげる。
    …答えは否。」

精霊:「この霧は私自身…安寧を司る霧、この地で荒れ狂う精霊を鎮める為の霧よ。
    そして私はこの霧を維持してエイラの地を護る義務がある…
    はいそうですか、と霧を退くわけにはいかないわ。」

厳しい口調で三人の言葉を一蹴する精霊。
だが精霊交信を行っているゼロにある種の感情が流れ込んでくる。

……「悲痛」である。

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原因は竜ではなかった…竜など居なかった。しかし竜でなかったとしても気を抜いてはいけない。
冒険者達の目の前に居るのは湖全体を覆う程の霧を発生させる、冒険者を吹き飛ばす、紛れもない力の持ち主なのだから…。
この地の安寧を願う精霊…冒険者達は近づきつつある真理にどのような行動を見せるのか。

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