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第四話(城・湖 チーム)

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城と村と分かれる分岐点で馬車を止める。
城の方角を見る。道は途中白で遮断されており前を見ては進めないだろうと思う程の濃霧が立ち込めている。
馬が鼻を鳴らして体を奮わせる。寒いからなのか、それとも―――。

ユーリ:「………」
    (霧の境界面を歩いて不審なものがないかを確認)

ユーリは霧が境界線よりこちら側…街道側へ進行してきていないことを確認した。
霧は微々たる程度だがゆっくりと、東から西へ動いてるのがわかる。
濃霧の規模が大きい為その動きが移動によるものか停滞しているものかはわからない。

分岐する道に対し、二手に分かれ調査をすることにした冒険者達。
メンバーは次の通りだ。

城・湖チーム:ユーリ、シェーン、ナーク
村チーム  :メルディア、ゼロ、フィア

ユーリ、シェーン、ナークは馬車に乗り、濃霧の中に身を投じる事となった。
メルディア、ゼロ、フィアは馬車を降り霧のない道を進む事となった。

**********【城・湖 チーム】**********

道中までの速さとは比べ物にならないくらい遅い速度で馬車は進む。
馬を走らせるというより歩かせるといった表現の方が正しいだろう。
しかし走らなくて正解である。
この城へと続く道は森を切り開くことによって作られたもので
未だ木の根が残っていたり凸凹があったりなど走るには良い環境とは言えない道である。

スレイル:「遅いた思うが我慢してくれ、馬に転ばれて帰りが遅くなるよかましだろ?」

手綱を握るスレイルが苦笑する。首には厚手の布を巻いており、ガウディを発った時よりも服装が暖かそうだ。

シェーン:「......」
     <さて...色々目撃情報はあるけれど...>
     (霧の中を進む道中、周囲から不審な物音や気配がないか警戒する)

車輪が回る音、馬の歩く音、ブルルッと馬の息遣いが聞こえる。
不気味な程他の音はない…そう、鳥の囀りさえも。
もし一人で歩いていたなら孤独を通り越して身の危険を感じただろう。

そうして馬車は森に挟まれた道を抜ける。急に周囲の気温が下がったような気がした。
馬車が止まる。スレイルが振り返りニヤッと笑みを浮かべ言葉を紡いだ。

スレイル:「…着いたぞ、長旅ご苦労だったな。
      ここが対妖魔軍最前線を守る予定となる要塞、エイラフォートだ。」

濃霧の為全景を見る事はできないが、湖にゆらりと巨大な影が浮かび上がっている。
恐らく城なのだろう。

スレイルが馬車から降りると城の方から二人の男が近づいてきた。
一人は屈強な体付きの男、190cmはあるであろう体格に、
この寒空の下だと言うのにも関わらず半袖で寒そうな格好をしている。
もう一人はほっそりとした体格で背中まで伸びているだろう長い栗色の髪を後ろに束ねている。
右目には眼帯をつけており、口の周りに髭を生やしている。

眼帯の男はスレイルの顔を見るなりニカッと笑って背を叩いた。

男:「ようスレイル、久しぶりだな!物資は無事だろうな?」

スレイル:「大丈夫に決まってんだろ、何せ今回は優秀な護衛がついていたからな。
      紹介しよう、こいつはガータン。このエイラフォート修繕工事の責任者だ。」

ガータン:「おう、聞いた話より大分人数が少ないが…まぁ調査の方をよろしくな。
      後ろの奴は付き添いだ。主に外装の修繕担当をしている。
      聞きたい事があれば俺達がわかる限りの事を答えよう。」

付き添いの男は小さく会釈をする。

シェーン:「すみません、冒険者ギルドの依頼でこの霧の原因調査に来た者です
が...。前情報で竜を見た方がいると聞いて、後でお話を聞かせていただきた
くて...今こちらにはいらっしゃいますか?」
     (近くで野営をしている工事関係者がいれば尋ねてみる)

ガータン:「竜、か…俺もついこの間までは竜なんて幻想だの見間違いだの思ってたんだがな。
      今とっておき詳しい話が出来る奴等が砦にいる。
      …ま、知ってるかもわからねぇがあんたらと同じ冒険者だな。
      もう帰ろうとしているみたいだから遅れないうちに聞きにいくといい。」

舌打ちをするガータンの指す冒険者、冒険者ギルドから雇われた面子だろう。
ガータンの表情に蔭りがあるが何かあったのだろうか。

シェーン:「そうですか...ありがとうございます。あ、ところで...
      道中の宿場町で他の工事関係者の方から、森の中で子供を見たとも聞いたんですが...。
      どんな子だったか...見かけたことあります?」
     (ふと思い出したように質問を追加する)

ガータン:「ガキ?…あー、前居た奴等がそんなことを言ってた気もするが
      一蹴して仕事させてたな。
      悪いがガキの事についてはわからねぇ。そっちの兄ちゃんは何かあるか?」

ユーリ:<…まぁ、一応聞いておくか…>
     「…水上の移動手段はあるか…?
      …居るなら操船できる人物も教えていただきたい…。」
     (湖を眺めた後、質問)

ガータン:「あぁ、割と大きめな船がある。エイラ湖調査でも使われた奴だ。
      必要ならすぐにでも用意させよう。…操船はそうだな、ゴンザ、お前やれ。」

ゴンザ:「マジッすか!?ちょっと待ってくださいよ、外装の指揮は誰が」

ガータン:「俺がやるよ、だからお前は湖出る時船主な。」

きっぱりと言い放つガータン、ゴンザと呼ばれた筋肉質の男はしょぼんと肩を落とした。
見かけによらず気が弱いのかもしれない。

ガータン:「しかし、お前さん達二人で調査か?ギルドもやけに人員ケチってんだな。」

ガータンがそう零す、…二人?

・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・

ナーク:「ほっほぉ。霧・・・だねぇ。懐かしいっちゃ懐かしいねー。
     ちゃかちゃかっとキャンプ立てるか~。この先ぐらいでいいんだよねー?」
    (ちゃっちゃかと湖の方へ進むと適当な場所でキャンプ設営開始)

キャンプセットを用いてテキパキとテントを張る。森の近くに立てた為風も強くなく吹き飛ぶ事はないだろう。

ナーク:「ふふ~ん・・・っと。枝枝えだー。~♪~~♪」
    (鼻歌なんぞ歌いながら焚き火用の枝などを拾っている)

霧の影響か、落ちている枝はどれも湿気ていた。
火を起こすにもそれ相応の労力が要るだろう。
枝の束はテントの横に置かれる。

ナーク:「秋といえば・・・・・・・・・・・・・・・。食材探しだー!!」
    (枝をキャンプまで持ち帰ると、再び森に分け入って食べれそうな木の実や野草を発見したらどんどか拾いにかかる)

木の実はちらほら落ちているがどれも実が小さく、成長は芳しくないようだ。
野草に関しては季節や濃霧の影響もあり見かけることができなかったが
木の実はヒシ、ギンナンの実を拾う事ができた。

ナーク:「んで、水水ー。・・・るるるー。あれから、変わったかなー。」
(キャンプセットの中から飯盒を取り出して湖に向かい水を汲む。汲み終わったら湖畔に腰を下ろして精霊感知を行う。)

遠くからスレイルが呼び掛けているのがわかる、ユーリとシェーン、スレイルの近くには二人の男が立っていた。
振り返り戻ろうとした時、気付く。

湖の周辺だから当たり前な水の精霊、いや土の、風の精霊達の濃度が濃い事に。
以前希薄だった精霊力も今では満ち溢れているかのように感じ取れた。

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ユーリ、シェーン、ナークはエイラフォートへとやってきました。
君達を出迎えるのは修繕工事責任者のガータンと付き添いのゴンザ。
彼等曰く、竜の重要な目撃者は今砦内に居て帰り支度を進めているらしい。
他にも湖へ出る為に船と船主を用意してくれるようだ。
冒険者は全員で6人だという話をスレイルがする。
ガータンもなるほどと頷き、伝書鳩を持ってくると村の方角へ飛ばした。
ナークは自由気ままに野営を楽しんでおり、スレイルから白い目で見られる。

冒険者達と共に乗せていた物資は修繕工事に必須だったものらしく、そそくさと他の従業員達によって運ばれた。
スレイルは暫く砦に滞在するというが…

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