「なにをやっているのですか?」
久々の再会となる場面で彼は子供達にフクロにされていた。
広場の一角、雪の上に大の大人が寝転がり、腕に足に子供達が群がり
殴る蹴る関節を極めると…はたから見ればリンチなのだが、
やられている本人はギャーだの、ホゲーだの非常に五月蝿いにも関わらず、
怪我らしい怪我を全くしていないようだ。途中途中で「悪役らしい台詞」を
言っている所を見ると、結構余裕があるらしい。
周囲の通行人の目も、子供とじゃれている程度の認識しか無いらしく、
自警団員らしい人物の姿も見えたが止める気配はまったく無い。
「客が来たからマタな」
日も傾いて、そう言って彼が立ち上がろうとすると、
「クーガの癖にナマイキ」などとトドメの一発かまして逃げる子供達を
視線で見送り改めて彼と向き直る。
私の名前はコクマ=ビナー、記録ギルドに属する者。
そして今目の前で立ち上がろうとしている青年の名は
クーガ=アディール、「咎人の剣士」「邂逅せし者」の二つ名を持つ重戦士である。
記事のネタに困っていた私は、色々とネタを持ってそうな古い友人を久々に尋ねて
彼に会いに来たのだが…彼の口からどんな話が聞き出せるのか、先ほどの光景を見て
不安を感じている。
記事:コクマ=ビナー