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クーガ=アディールの章

地吼の月 千年都市ガウディ

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。

かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一人の男が訪れていた。
身につけるは闇に溶け込むような漆黒の甲冑に、同じ色をした両手持ちの大剣。
武道の達人ならずとも、彼が並ならぬ雰囲気を漂わせていることに気付くだろう。

クーガ:「邪魔するよ…???冒険者ギルドで間違いないよな?」
     (自分の知るイメージとのギャップに戸惑いながら一応確認)

受付:「…まあ正確には違うかもしれんが、基本的にやってる事はあっちと同じだよ」


受付の男はしゃがれた声でそう言うと、登録の件についてクーガに告げた。

クーガ:「クーガ=アディール、歳は30、男、重戦士だ。
     それらしい仕事はあるかい?」
     (グルリと室内を見回しながら簡単な自己紹介をしつつ仕事の有無を確認)


受付:「クーガ=アディールと。そうだな…今はお前さん向きの仕事はなさそうだな。
     ああ、これまでどんな仕事をしてきたか聞かせてくれるかい?」
    (登録の用紙にペン先を走らせながら問う)


クーガ:「ん〜なにから話せばいいかね…結構色々やってるよ
     冬でも枯れない花園があるって事で行ってみたら妖精の国で、
     そこで妖精の国に進入した妖魔を退治したり
     貴族に売られそうになった妖精を国に送ったり
     人魚の依頼で暴れた海竜を沈める為、遺跡の異常を調査して
     レッサーデーモンを退治したり
     魔導器に取り込まれて変質した人間を弔ったり
     ああ、冒険者の幽霊の願いを聞いたりもしたなぁ
     …なんか、マトモな人間の依頼が少ないな」
     (少し凹みながらも頭をノックして更に記憶を掘り返す)


受付:「…そりゃまた、酒場でじっくり聞きたいような話ばかりだな」

受付はするすると事項を書き上げると、やや呆れたように髪を指先で掻いた。

クーガ:「紅の民って七剣関連の少数民族らしいんだが、彼らの生き残りの依頼で
     ガウディに来てるガイアードの騎士ともやりあったなぁ、
     最後は騎士団や盗賊ギルドも出張って来て、船の上で大チャンバラだった。
     リオン陥落後のレジスタンス活動も手伝ったよ、ガウディへの密書輸送とか、
     対妖魔軍リオン攻防戦とかね
     あとは・・・ゲルズ島って所に墜落したワイバーンを倒したり
     雪が酷い時あったろ?あの時も暴れたね。後は…死霊術師の呪いを解呪する為
     翡翠の森へ行って枝折って来たり。まだあるんだけど…え〜と
     山に篭った妖魔軍の残党狩りとか、畑荒らしのコブリン退治とか
     ガウディの北のなんだっけ?小さな町…あそこで紅獅子の騎士ともや りあった。
     それと・・・人間を取り込む煤退治とかかねぇ」
     (思いつく限りズラズラと上げる)


受付は唖然とした表情でクーガを眺めていたが、やがて急いで近くの棚を漁り始めた。
やがて一冊の資料を取り出し、何度かめくると、納得の表情で息をつく。

受付:「ああ、クーガ=アディール…『咎人の剣士』ってのはあんたの事か。
    いかんねえ、街でも屈指の勇士だというのに、わしも年をとったもんだ」


眼鏡を額まで上げ、目をゴシゴシとこすると、受付は残りの事項をさらさらと書き上げた。

受付:「登録はこれで完了だ。貼り出してある依頼で気に入ったものがあったら申し込んでくれ。
    後、ここは色んな事情で本部じゃ受け付けられない依頼も受け付けることがあってな。
    その時は、白紙の依頼用紙を張り出しておくから、直接聞きに来るといい」


言うと、受付は書き上げた資料を登録者の冊子にまとめはじめた…
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