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星輝の月

北方貴族撤退

ついにサーゲオルーグの北方において戦いを続けていた「ノーザン血盟」の同志たちの軍隊がリオンへと撤退した。
いつかは撤退を余儀なくされると言われ続けてきた北方のゲリラ戦であったが、現実にその報を聞くと……如何に人類種が切迫した状況へと追い込まれているのかを痛感せざるを得ない。
それに、今回の北方の貴族への容赦の無い徹底的な弾圧は、かつての「北方の虐殺」の再現に他ならず、妖魔軍の侵攻は、死都サーゲオルーグが本格的にリオンやガウディのような「港」を持つ都市を目指して動き出すため、後続の憂いを断ったことを意味するのではないだろうか。そう考えるのが妥当のような気がする。
これまで、千年都市ガウディはシーポートの支えもあって幾度となく妖魔軍の侵攻を退け続けてきている。その実績は、過去の最大の城塞都市ラングレイすらもすでに越えているという声が高い。解放都市として対妖魔王国の最前線の名が高鳴るに連れ、ガウディには傭兵だけでなく、その傭兵を巧みに操り、指揮する者たちが多く育成されている事実を物語っている。
しかし、今回の「北方の虐殺」の再現は傭兵都市リオンに対して妖魔軍の矛が向いたことを示している。「ノーザン血盟」によって北方の民が集結を始めているリオンではあるが、昨年の「赤雪の虐殺」によってその軍事力が低下している事実は否めないところであろう。

これまでガウディが妖魔王国に対する最前線であったが、今後はリオンもまた妖魔王国に対する最前線となることは必至であり、今後、ガウディ・シーポート・リオンという三つの「解放都市」の結束こそが、「サーゲオルーグ王国」という……もはや失われてしまった王国を復興するために必要であり、欠かすことのできない要の都市となることに疑いを持つ者たちはいないだろう。
そして、今回のリオンの陥落に際し……ついにゼクスセクス王ウェイカー=ルシト=シャーランドはその重たい腰を上げた。
「スクリーナとシーポートの交易を今よりもさらに盛んにすることにより、「解放都市同盟」を積極的に支援することとする」
「サーゲオルーグ王国の」解放都市同盟……と告げなかったのは、もはやサーゲオルーグ王国という国の存在を認めなかったからなのか、それとも、あえて口にしなかったのかまではわからないが、この発言を得るためにシーポートのニル卿等がどれだけ水面下で動いていたのかを知ることはできそうに無い。
だが、スクリーナとの積極的な交易が行えるということは、ゼクスセクス王国のタフェン砂漠に眠る多くの遺跡から発見される武具や魔導器を手に入れることができるだけではなく、ゼクスセクスの地でくすぶっていた多くの傭兵や冒険者たちがシーポートやガウディへ、そしてリオンへと運ばれてくることを示している。
何よりも大きいのは、鍛冶技術や魔法技術を持った者たちが多く「解放都市同盟」を支えるために派遣されてくるという事実だ。

大陸に住む人類種の誰もが気がつき始めているのだろう。
「八国戦国時代のように、天聖暦が生まれた時のように……人類種が結束しなければ、絶滅の危機を避けることができないかもしれない」
そんなそら恐ろしく不吉な事実に…

記事:ウェイト=オン=サンク


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