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冒険者登録

受付

 ガウディの中心部より随分離れた所に、その古い建物はあった。
周囲には市民階級の家が雑多に立ち並び、少し視線を巡らせれば外壁が間近に見える。
この辺では大通りにあたる道に面しているのだが、周囲と比してもやや異質な雰囲気である。
出入りする者もまばらで、これが何の建物なのかとすぐに判別つく者は少ないだろう。
答えを求めるなら、扉の近くに掛けてある木製の看板を見に行かなければならない。
 少しの階段を上った先、そこには申し訳程度にこう記されていた。

 『旧冒険者ギルド』

 この建物がまだ新しかった頃、ここは冒険者ギルドの拠点として活動していたのだという。
今の冒険者ギルドのように、かつてここも多くの冒険者と依頼人で賑わっていたことだろう。
本部が今の冒険者ギルドに移ってからも、ここは冒険者ギルド派出所として活動している。
しかし、往時の様な賑わいは無い。ただ、静謐の中にその姿をとどめているのみである。

 ギルドの中に入ると、図書館のような静かさに驚くことだろう。
扉の開閉する音が室内でやけに響く。室内は薄暗く、窓からの明かりが数条、床に眩しい光を落としている。
それでも、改めて室内に目を向ければ、そこが一応冒険者ギルドの体を成している事が分かる。
話し合いの為のテーブルに椅子、依頼用の掲示板、地図、本棚、その他諸々が広い空間を贅沢に使っていた。
依頼用の掲示板にあるものは、どれも本部で見たものか、子供の使いばかりな様だが…

 「依頼を受けに来た冒険者かね?」

 しゃがれた声を掛けてきたのは、奥にある受付のカウンターで書き物をしている男である。
 やや小柄で、年齢は初老といった所だろう。背は丸く、動きもさほど敏速とはいえない。
ぼさぼさにした黒髪まじりの白髪の上にベレーを乗せ、鼻には黒ぶちの丸眼鏡を乗せている。

 「ここで依頼を受ける気なら、冒険者の登録手続きをしてもらわなくてはならんよ。
  本部の方で登録してるかは知らんが、あっちと情報を共有している訳じゃないからな」


 言うと、受付の男は少し書き物の手を止めて、自分の肩を片手で軽くもみ始めた。

募集人数:制限なし
投稿期日:期限なし
最大アクション数:制限なし

参加必要条件:MOHGにキャラクター登録がしてある事

旧冒険者ギルドに登録すると、メモリーミッションに参加する為のスキル・ステータス値が得られます。
次回に、基本成長分のMePをお渡ししますので、ローカルルールを見ながら成長させてください。
 また、受付は登録時、「過去の業績」をキャラクターに尋ねてきます。
その際、キャラクターが以前の「Heaven's Gate」で体験した冒険(CMやMM)の話をすると、
その数や内容に応じて追加MePが得られる事があります。
 その他にも、受付は「市販されていない武具」を装備している場合、その由来を尋ねてくる場合があります。
その内容により、その装備品の数値を通常品より増減させる場合があります。
 (ただし、アピールポイントにてその武具の詳細が記されている場合は除く)

メールの送り先gmml@tmohgw.twinstar.jp
メールの件名:「冒険者登録」
※アクションの書式につきましては、従来のHeaven's Gateの書式に依るものとします。

その他、質問がありましたらこちらまでお寄せ下さい。
多数のご参加お待ちしております。

システムGM:きい

クーガ=アディールの章

地吼の月 千年都市ガウディ

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。

かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一人の男が訪れていた。
身につけるは闇に溶け込むような漆黒の甲冑に、同じ色をした両手持ちの大剣。
武道の達人ならずとも、彼が並ならぬ雰囲気を漂わせていることに気付くだろう。

クーガ:「邪魔するよ…???冒険者ギルドで間違いないよな?」
     (自分の知るイメージとのギャップに戸惑いながら一応確認)

受付:「…まあ正確には違うかもしれんが、基本的にやってる事はあっちと同じだよ」


受付の男はしゃがれた声でそう言うと、登録の件についてクーガに告げた。

クーガ:「クーガ=アディール、歳は30、男、重戦士だ。
     それらしい仕事はあるかい?」
     (グルリと室内を見回しながら簡単な自己紹介をしつつ仕事の有無を確認)


受付:「クーガ=アディールと。そうだな…今はお前さん向きの仕事はなさそうだな。
     ああ、これまでどんな仕事をしてきたか聞かせてくれるかい?」
    (登録の用紙にペン先を走らせながら問う)


クーガ:「ん〜なにから話せばいいかね…結構色々やってるよ
     冬でも枯れない花園があるって事で行ってみたら妖精の国で、
     そこで妖精の国に進入した妖魔を退治したり
     貴族に売られそうになった妖精を国に送ったり
     人魚の依頼で暴れた海竜を沈める為、遺跡の異常を調査して
     レッサーデーモンを退治したり
     魔導器に取り込まれて変質した人間を弔ったり
     ああ、冒険者の幽霊の願いを聞いたりもしたなぁ
     …なんか、マトモな人間の依頼が少ないな」
     (少し凹みながらも頭をノックして更に記憶を掘り返す)


受付:「…そりゃまた、酒場でじっくり聞きたいような話ばかりだな」

受付はするすると事項を書き上げると、やや呆れたように髪を指先で掻いた。

クーガ:「紅の民って七剣関連の少数民族らしいんだが、彼らの生き残りの依頼で
     ガウディに来てるガイアードの騎士ともやりあったなぁ、
     最後は騎士団や盗賊ギルドも出張って来て、船の上で大チャンバラだった。
     リオン陥落後のレジスタンス活動も手伝ったよ、ガウディへの密書輸送とか、
     対妖魔軍リオン攻防戦とかね
     あとは・・・ゲルズ島って所に墜落したワイバーンを倒したり
     雪が酷い時あったろ?あの時も暴れたね。後は…死霊術師の呪いを解呪する為
     翡翠の森へ行って枝折って来たり。まだあるんだけど…え〜と
     山に篭った妖魔軍の残党狩りとか、畑荒らしのコブリン退治とか
     ガウディの北のなんだっけ?小さな町…あそこで紅獅子の騎士ともや りあった。
     それと・・・人間を取り込む煤退治とかかねぇ」
     (思いつく限りズラズラと上げる)


受付は唖然とした表情でクーガを眺めていたが、やがて急いで近くの棚を漁り始めた。
やがて一冊の資料を取り出し、何度かめくると、納得の表情で息をつく。

受付:「ああ、クーガ=アディール…『咎人の剣士』ってのはあんたの事か。
    いかんねえ、街でも屈指の勇士だというのに、わしも年をとったもんだ」


眼鏡を額まで上げ、目をゴシゴシとこすると、受付は残りの事項をさらさらと書き上げた。

受付:「登録はこれで完了だ。貼り出してある依頼で気に入ったものがあったら申し込んでくれ。
    後、ここは色んな事情で本部じゃ受け付けられない依頼も受け付けることがあってな。
    その時は、白紙の依頼用紙を張り出しておくから、直接聞きに来るといい」


言うと、受付は書き上げた資料を登録者の冊子にまとめはじめた…

ラサグリス=タブラルビオの章

地吼の月 千年都市ガウディ

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。

かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一人の少女が訪れていた。
三つ編みにした、色の薄い金の長い髪が、紺色の外套と共に風に揺れている。
外套が翻るごとに、彼女の得物である黄金の虎を模した格闘用の手甲が見え隠れしていた。

ラサ:(旧ギルドの様子を見ながらゆっくりとした歩調で入ってくる)

そこで、ラサは受付の男から依頼を受けるなら登録が必要である事を告げられた。

ラサ:「…うん、依頼ていうか、なんか登録しとけーみたいなことを
    言われたから来たんだけど」
   <登録したのって2年前…手続きとか忘れてる…>


受付:「ある程度、素性を明らかにしておかないと色々と不便でな」

言うと、受付は新しい用紙を前に置き、ペンを構えて聞く態勢である。

ラサ:<最初は名前?名前だよね。うん、名前>
    「私はラサグリス=タブラルビオ。軽く略してラサ。
    2年前は三つ目の巨人亭によくお世話になってた」

受付:「ラサグリス=タブラルビオと。
    ああ、これまでどんな仕事をしてきたか聞かせてくれるかい?」
   (登録の用紙にペン先を走らせながら問う)


ラサ:「今までした仕事?えー…説明するの?まあ、いいけど。
    初めてしたのは 『妖魔基地を探るための調査隊』かな。うん。
    なんか遺跡を基地にしたみたいなところであそこ、菫色の回廊っていうんだってね。
    後で知ったんだけど」
    (後なんだっけ、と頬をぽりぽり掻きながら)


受付は時折頷きながら、ペン先を走らせている。

ラサ:「後は地方貴族を領土まで送ったり、大雨が降って止まなかった時に
    精霊アウラを見つけたり。ああ、その時に雷の精霊…名前は忘れたや。
    そいつと一戦構えたり…オフィスコ奪還戦争にもいったりしたね」
    (後半の法は思い出すのも嫌な思い出なのか、微妙な顔をしている)


受付:「精霊と一戦とはまた、豪儀だな」
   (書き記しながら愉快そうに笑っている)


ラサ:「思い出せるのはコレ位かな。あ、どっかの島の遺跡にもいったよ。
    犬の石像が襲ってきて追っかけられた。お、なんか良い感じに思い出してきた。
    それに街中の人たちに浮かんだ呪いの紋の騒動。あれの解呪のために
    なんとかの樹… 名前は忘れけど、その樹の枝を取りに行ったりしたね。
    『咎人の剣士』も一緒だったよ」

受付:「『咎人の剣士』なら、さっき登録に来たぞ。何かと縁があるな。
     …ところで、その武器は?この街に売っているものじゃなさそうだが」
    (書き記す手を止め、黄金の虎を模した爪を軽く示す)

ラサ:「うぇ、一気に喋ったら疲れた…うん?この手にしてるの?これは…」
    (手にしている黄金の虎を模した手甲に視線を落とし)


受付は「これは?」といった表情で見ている。

ラサ:「…誰にも言ってはいけないよ?これは『黄金虎』…別名『真なるタイガーファング』。
    カイン=フェルノーズの12の武具のうちの一つ。
    今はすでに亡き『黄金虎』ギリアムから私が受け継いだ物」

受付:「黄金虎…か、ふむ」

ラサ:「まあ、このせいで『牙を継ぐ者』って言われるようになったんだけどね…
    ギリアムっていうのはシーポートを北に行った村で一杯弟子を取って道場開いてたんだ。
    私が逢いに行ったときにはもう長くはなかったんだけど…
    色々会って私が継ぐことになったんだ」

受付:「『牙を継ぐ者』、か…そうか、お前さんが。つくづくわしも年だな、実に事情に疎くなった」

近くにあった資料を手に取り、ひとつの事項に目を留めると、受付は息をついた。

受付:「ところで、その頭にしてるのと身に着けてるのも特注品か何かかな?」
    (気をとりなおして問う)


ラサ:「この額当てと皮鎧?額当ては防御のルーンを刻んだ鉄板を入れた布って
    だけなんだけど、まあ、邪魔にならないような頭部を保護する武具って所かな。
    ああ、この皮鎧は海獣の皮を使ってる。茶斑色の海獣だったらしいよ。
    それをなめして作ってもらった。動きやすいし、重宝してる」
   (大体こんな所かな?という表情をして)

受付:「海獣の皮か、この辺じゃ見ないわけだな」
   (ペン先を走らせている)

ラサ:「言い忘れたかもしれないけど、私はイリオーンの信徒。
   だから、ちょっとだけ癒しの魔法が使える」


受付は、頷きながらさらに用紙に書き足した。

ラサ:「コレ位でいいかな。喉乾いた…」

受付:「ああ、登録はこれで完了だ。貼り出し中の依頼で気に入ったものがあったら申し込んでくれ。
    後、ここは色んな事情で本部じゃ受け付けられない依頼も受け付けることがあってな。
    その時は、白紙の依頼用紙を張り出しておくから、直接聞きに来るといい」


言うと、受付は書き上げた資料を登録者の冊子にまとめはじめた…

オディール=ラミティアの章

地吼の月 千年都市ガウディ

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。

かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一人の女性が訪れていた。
女性といっても、黒い外套とフードで身を包んだ姿であり、その挙措と雰囲気でしかそれを知る術はない。
黒艶のする鉱石の杖を手にし、背には不似合いなほど大きな長包みを負って、室内に姿を消す。

ディー:「ここで間違いございませんね……」
    (小さな呟きと共に、ゆっくりとした歩みで店内に入ってくる黒ずくめの影)


室内は森閑としており、とても本部と同じギルドとも思えない。

ディー:(店内に入ると目深に被ったフードを外してから、受付と思われしカウンターへ足を向ける)
    「こんにちは。
     知人から、依頼を受けるためにはこちらで登録しなければいけないと伺ってきたのですが……」

受付:「ああ、本部で登録してるなら申し訳ない事だが、似ているようで別物なんでね。
    じゃあ、名前から聞かせてもらえるかな」
   (言いつつ、新しい用紙を脇から取り寄せてペン先にインクをつける)

ディー:「オディール=ラミティア。ご覧の通り、魔術の徒を生業としておりますわ」
    (自分の着ている黒衣と、黒曜石の杖を相手に示しながらそう言う)

受付:「オディール=ラミティアと。
    これまでどんな仕事をしてきたか聞かせてくれるかい?」

ディー:「……そうですわね……。こちらに来て初めての仕事が地下水路の大蜘蛛退治でしたわね。
    懐かしいですわ。この仕事が終わったときに、ちょうどサーゲオルーグが陥落したんでしたっけ……」
    (4年ほど前のことを、懐かしみながら徐々に思い出したことを語る)


受付は軽く頷きながらペン先を走らせる。

ディー:「ドッペルゲンガー騒ぎや魔導器の回収、食人植物が生息している森に薬草を取りにいったり……。
     後は、悪魔召喚の儀式を阻止したり魔法実験の手伝いをして、
     その失敗で出来たブレードゴーレムを倒したりもしましたわね」
     (今となっては良い思い出となっているのか、くすくすと笑いながら話す)

受付:「ブレードゴーレムね、それはまた剣呑な名前だな」
   (時折インクを補充しながら書き進める)

ディー:「後は、そうですわね……。ワイン運びや高級レストランの給仕みたいなアルバイトみたいなもの……。
     それに、精霊とも何度か接する機会がありましたわね。
     門から出てくる四大精霊を延々と追い返したり、具現結晶という研究材料を取り
     に行った先で森を守る精霊と戦闘になったり……。色々…色々ありましたわ」
    (最後の精霊と言う言葉だけ、何か嫌な思い出でもあるのか顔をしかめた)

受付:「具現結晶?・・・ふむ」


顎をつまんで少し考える風だったが、受付はふとディーの背負う包みについて問うた。

ディー:(背中の包みを指差されれば)
    「……え?この包みの中…ですか?中は大剣が入ってますわ。
     精霊から譲り受けた……いえ、違いますわね。彼女から、預かっている長剣ですわ。
    本来なら私なんかじゃ、重くて持てないんでしょうけど軽量化の魔法がかかってるのか、
    この通り簡単に持てますわ」

受付:「そうか、何かと精霊に縁があるらしいな。・・・その手にしている杖は?」

ディー:「杖は私の師から譲り受けたものですわ。何でも私は黒曜石という媒体と相性が良いとかで、
     わざわざ師自ら作ってくださいましたの。黒衣の方も、一緒にいただいた品です」

受付は頷きながら、用紙に書き込んでいく。

ディー:「だいたい、この程度でしょうか?もし、何もなければ、これで失礼させていただきますわ」

受付:「ああ、登録はこれで完了だ。貼り出し中の依頼で気に入ったものがあったら申し込んでくれ。
    後、ここは色んな事情で本部じゃ受け付けられない依頼も受け付けることがあってな。
    その時は、白紙の依頼用紙を張り出しておくから、直接聞きに来るといい」


言うと、受付は書き上げた資料を登録者の冊子にまとめはじめた…

マルロ=ライブレッドの章

地吼の月 千年都市ガウディ

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。

かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一人の少女が訪れていた。
ポニーテールにした長い黒髪。勝気そうにきらめく瞳。そしてびっくりするほど(略)
冒険者、というよりは狩人のような弓一つの軽装で、古めかしい木造りの扉に手をかける。

マルロ:「……『旧』とはいえ、えらいさびれようね…ちゃんと冒険者ギルドやってんのかしら?」
    (その外観に呆れたような半眼で呟くと、旧ギルドへと入っていく)
そこで、マルロは受付の男から依頼を受けるなら登録が必要である事を告げられた。
 
マルロ:「マルロ……マルロ=ライブレッド。17歳の、弓使い」
    (かるく腕組み、どこか小生意気な調子で自己紹介をする)

受付:「マルロ=ライブレッドね。
    これまでどんな仕事をしてきたか聞かせてくれるかな?」
    (用紙にペン先を走らせながら問う)


マルロ:「んー、どこだったかしら……とにかく、どっかの遺跡で大きな目玉のガーディアンと
     お宝争奪戦を繰り広げたことがあったわね」
    (頬に手を当て、記憶をたどり始める)

受付:「大きな目玉のガーディアンね…」
   (ひとつ首を捻り、さらさらと書き進めていく)


マルロ:「あと、え〜と…ガウディからどっかの村まで人を護衛した仕事もあったわ。
     その途中の森で、霧でできた大きな牛の化け物に追っかけられたりしたわね。
     そうそう、誘拐されたどっかのお嬢様を助け出した仕事もあったわ。
     私の弓術が冴え渡り、見事無事に助け出したのよ。
     あとは、えっと、どっかの倉庫に巣くったスライムを千切っては投げ、千切っては投げの大乱闘……」
    (やたら『どこか』の多い武勇伝(?)を思い出しては答える)

受付:「そりゃまた、えらく粘り気のあるスライムだな。他にはあるかい?」
   (面白そうに頷きながら用紙に書き込んでいく)


マルロ:「まー、そんな感じ?」
    (ひとしきり話おえると、にっこりと笑った)


受付:「分かった。登録はこれで完了だ。貼り出し中の依頼で気に入ったものがあったら申し込んでくれ。
    後、ここは色んな事情で本部じゃ受け付けられない依頼も受け付けることがあってな。
    その時は、白紙の依頼用紙を張り出しておくから、直接聞きに来るといい」


言うと、受付は書き上げた資料を登録者の冊子にまとめはじめた…

ウォーレン=ダルディスの章

地吼の月 千年都市ガウディ

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。

かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一人の少女が訪れていた。
いや、少女というのは必ずしも正しいとは限らない。見るものが見れば、彼女がグラスランナーだとすぐ気付くだろう。
とはいえ、他のグラスランナーが見ても「うん、女の子だね」というには違いないだろうが…

レン:(不安そうな様子でギルドの入り口を行ったりきたりするちみっこ1人)
  <…おかしいな…酒場の親父さん、この辺に職安あるって言ってた気が…>


いつもは快活に揺れているであろう金の髪、緑の瞳もどこか不安に翳っているようだ。
レン:(意を決した様子でギルドの扉をくぐる)
   「こんにちは???えっと…あの…仕事、探してるんですが。」
   <どう考えても…職安じゃ…ないよねぇ???図書の仕事ってここの書類整理の事???>

   (内心追い返されるかとドキドキの様子)

受付は視線を上げ、眼鏡を掛けなおし、やがて視線を下に落とすと、ようやく気付いたようでひとつ咳払いをした。

受付:「ここで依頼を受けるつもりなら、冒険者としての登録をしてもらなければならんよ。
    …まずは名前から聞かせてもらえるかい」

    (脇から新しい用紙を取り寄せ、ペンにインクをつけ直す)

レン:「レン。ウォーレン=ダルディス。歌謳いです。
   えっとね?初めてはなんか不思議なお祭り?のお歌を作る仕事だったです。」

  (ギルドの雰囲気に気圧され緊張しきり。
   言っちゃっていいのかな〜と不安になりながら初めての仕事を話し出す。)

受付:「祭の、歌…?」
    (やや戸惑った表情を浮かべ、ペンの尻を顎に押し付ける)

レン:(ゴソゴソと楽譜『箱庭の伝承歌』を取り出して見せる)
   「新しく結界を作り直すお仕事で、お歌を担当したの。凄く不思議な所だったんだよ。」

受付:「ん?ほう…。…ふむふむ、いいものを見せてもらったよ」
    (眼鏡を上げて、しばらく楽譜をぺらぺらと眺めていたが、ひとつ頷いて返却する)
  
レン:(緊張が解けてきたのか面白おかしく関わった仕事を話始めた)
  「次が…なんだっけ???なんか…通り魔がでて…色々調べて…
   みんなから注意されてたんだけど三つ目でお使い頼まれたら、
   かち合っちゃって。しかも自警団には子供と間違われて補導されかかるし散々で。
   元気になって酒場にいったら親玉が見つかったとかなんとか…あの時は死ぬかと。
   あ〜…あと武闘大会でお歌謳ったの。アレは気持ちよかったぁ〜〜〜。
   あとね?芸術家のためにお花を取りにもいったんだよ?
   ネズミ退治についてったらレンより大きいネズミだったり、その後怖いことが起こったりで…。

  (悲喜こもごも、当時を思い浮かべての百面相つき)

受付はその様子を面白そうに眺めながらも、ペン先を紙面に滑らかに滑らせていく。

レン:(一気にまくし立てるもどれも冒険の役には立たない事実。しゅ〜んとちぢこまっている。)
   「…こ…こんな職歴なんですが…何か…お仕事あったら呼んでください…です。」
   <お歌の仕事なんて…酒場で見つけろって感じだよね〜〜〜>
受付:「よし、登録はこれで完了だ。仕事は時々貼り出してあるから、気にしないで受けに来てくれ。
    後、ここは色んな事情で本部じゃ受け付けられない依頼も受け付けることがあってな。
    その時は、白紙の依頼用紙を張り出しておくから、直接聞きに来るといい」


言うと、受付は書き上げた資料を登録者の冊子にまとめはじめた…

アーキス=ウェーバーの章

地吼の月 千年都市ガウディ

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。

アーキス「・・・・・・・ふむ」
     (扉の前で建物を見上げている)


かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一人の少年が訪れていた。
一切の光を吸収するかのような、照り返しの無い闇色の外套を纏い、指には美しい蒼色の指輪が見える。
少年、と思われるが、少女、といわれても首肯しかける様な中性的な、端正な顔立ちをしている。

アーキス「・・たのもー・・・っと・・・」
     (誰に遠慮するでもなく入り、部屋の中を一瞥)

部屋の中は薄暗く、森閑としているが、それでも一応ギルドとしての機能は保っているようだ。
やがて、アーキスに気付いた受付が、依頼を受けるなら登録が必要な旨、声をかけてくる。

アーキス「・・アーキス・・15の魔導師・・・登録を希望したいのだけれど・ ・」
     (受付に近寄り、言葉少なく申し込む)


受付:「アーキスと。…これまで受けた仕事とか、聞かせてもらえるかい?」
   (用紙にとりあえず名前だけ書き込み、アーキスを見ている)
 
旧冒険者ギルド内での、受付とアーキスのやりとりは続いている。

アーキス「・・・請けた仕事・・・片っ端から上げるときりがないのだけど・・・」
      (考え込み)

受付:「そんなにあるのか?」
    (一瞬手を止めたが、念の為に用紙をもう一枚追加する)

アーキス「・・小さいもので近場でのお使いや・・護衛と調査?・・をそこそこ ・・ ・
      ライミに行って薬草取ったり・・この街の地下から・・鐘を取ってきたり・・・
      お使いに行った先で・・フレッシュゴーレムみたいなのとやりあったり」

      (指折り数えて話していく)

頷きながら受付はペン先を走らせていく。

アーキス「・・・ていうか・・規模は変わってもやることは大して変わらないかも。
       ・・・藍鋼やアダマンの採掘に行ったり・・護衛ついでに儀式に立ち会ったり ・・
      古の黒竜と会ったり・・古い砦の調査に行ったり・・。・・・可哀想な有翼人と戦ったこともあったか。
       ・・・ああ、後は・・外周区の方で・・ゴブリン砦に殴りこんで50匹殲滅したり・ ・本陣突っ込んだり。
       ・・・雷の精霊ともちょっと張り合ったり・・・」

      (とりあえず、思い当たったのを口にしていく)

受付の呆れたような、唖然とした表情は見ものだっただろう。
最近では、クーガの事跡を尋ねたときに見せた表情にもっとも近いかもしれない。
何かとギャップを感じているのかもしれないが、ペン先を休めないのはさすがというべきか。

アーキス「・・それと、依頼じゃないけれど・・魔導器と封魔師について調べたり・・・
      特殊なエメラルド採掘に行って売りさばいたり・・・精霊の国に観光に行って精霊王と茶したり・・・
      外周区に振る紅い雪を調べに行ったり・・・まぁ、どこまで信じるかは任せるけれど・・・こんなところ。
      ・・・・魔導師と名乗ったけれど・・知識だけなら多少は付与方面もある・・・これでいい?」

      (話し終わった、と小さく息を吐き)

受付:「あ、ああ。登録はこれで完了だ。貼り出し中の依頼で気に入ったものがあったら申し込んでくれ。
    後、ここは色んな事情で本部じゃ受け付けられない依頼も受け付けることがあってな。
    その時は、白紙の依頼用紙を張り出しておくから、直接聞きに来るといい」


アーキス「・・・それじゃ・・・お邪魔しました・・・」
     (回れ右して、ギルドを後にする)

それを見送ると、やがて受付はひとつ首を振って、書き上げた資料を登録者の冊子にまとめはじめた。
お決まりの台詞は、さすがにもう出てこない様子だった…

ミール=セントプーレの章

地吼の月 千年都市ガウディ

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。
かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一人の女性が訪れていた。
艶やかな黒い髪に赤い瞳。片眼鏡をした左目は、白目まで全て赤い。女性らしい体つき。が、(略)
魔獣を象った瀟洒な片眼鏡もそうだが、特に七色に光る宝石のついた翼型の額冠が目を引く。

ミール:「旧冒険者ギルド・・・か。旧?」
     (首を傾げつつ扉を開く)


彼女の姿を認めた受付が、依頼を受けるなら登録が必要である旨伝える。

ミール:「ハーイ。ええ・・・っと、登録が必要なのね。」
     <面倒だわ・・・>

     (などとはおくびにも出さずスマイル)

近くに来たミールに視線をやると、受付は一度眼鏡をかけなおし、改めて見直した。
そして手近にあった資料を手元に引き寄せると、ぱらぱらとめくり一つの項目に目をとめる。
それに対しては言及せず、新しい用紙を引き寄せてペンを手にし、名前を問う。

ミール:「名前はミールよ。ミール=セントプーレ。下の・・・盗賊ギルドにも
     世話になってるわ。身軽さと足には人よりちょっと自信があるの。」


受付:「ミール=セントプーレと。
     ああ、これまでどんな仕事をしてきたか聞かせてくれるかい?」

    (ペン先を走らせながら問う)

ミール:「仕事か・・・ちょっと待ってね今思い出すから。
      えーっとまず、廃屋の調査をやったわね。それがガイアードとかの密偵騒ぎって
      あったでしょ?アレに絡んでてねぇ。潜入やら戦闘やらで色々大変だったわ。」

     (大げさなジェスチャーを交えながらしみじみと)

受付は頷きながら書き進めていく。

ミール:「で・・・あー、これあんまり言いたくないんだけど・・・王都にも行ったわ。
     いえ、元王都ね。 『生還者』・・・って言えば解るかしら?
     帰ってきてからそう呼ばれるようになったんだけど、さ。 まあそんな感じ。
     あそこでは何度死ぬと思ったかわかんないわ。」

     (溜息をつきながら苦笑気味に)

受付は、ちらっと資料に視線を落とすと、得たりと何度も頷いた。
最近名のある冒険者の登録が相次いでいたので、付け焼刃で勉強していたに違いない。

ミール:「それから、菫色の・・・なんたらって遺跡にも行ったわね。
      あ、ここは2度ほど行ったわ。1回目は調査で。確かこの時も密偵と遭遇したわね・・・。
      2回目は、妖魔基地の調査で。前回基地を見つけて報告したら、案の定調査依頼が
     出てねー。 その時に尻尾が九つある狐の魔獣と会ったわ。遺跡の守護者なんですって。
     狐なのに喋るのよ?」

      (すごいわよね、とか言いながら)

受付:「喋る狐か…鍋にはしにくそうだな」
    (妙な感想を述べ、ペンを紙面に走らせる)

ミール:「座礁船の調査にも行ったわね。この短剣はその時の戦利品。あ、船の中で人魚に会ったわ。
     人魚なんてお話のなかのものと思ってたから私びっくりしちゃって。
     お話といえばアレね、風の精霊とも会ったわ。私マホーとかさっぱりだから縁がないモノだと
     思ってたけど、案外会えるものよねぇ。
     あとダークエルフとも会っちゃったわね・・・。仲間がケンカ売るもんだからかなりひやひやしたわ。
     外周区攻防戦の宣戦布告ってやつ?ああそうそう、その時妖魔軍の投石器を壊しにも行ったわ。
     それから・・・巨大アリと戦ったりとか、ああ海獣と戦った時は軽く死に掛けたわねぇ。牙がすっごいの。
     放火魔追ってたら。ソイツがヤバい麻薬で精霊使ってたってのもあったわ。
      あと下水で巨大スライムと戦ったり戦わなかったり・・・」

     (思い出すようなしぐさも妙に芝居がかっていたり)

受付:「前に来た『咎人の剣士』もそうだが、お前さんもなかなか人外のものと縁があるねえ。
     …ところで、その身に着けているものは特注品かなにかかい?」

    (面白そうに笑って話を聞きながら、ミールの装備品を指す)

ミール:「この長手袋は・・・ある人からもらったのよ。依頼の報酬としてね。
     初めて会ったとき縛りみたいなのを感じたから、なんらかの上位種だったのは間違いないわね。
     白亜、とか言ってたかしら。あ、この宝石もその人に貰ったのよ。
     片眼鏡は鍛冶屋で作ってもらった物ね。けっこう奮発したから、かーなーり、スゴイ。わよ?」

    (くすくすと笑いながら)

受付は白亜、という言葉に少し考える風だったが、やがてペン先を動かし始めた。

ミール:「まぁ・・・こんなとこかしらね。他にもちょこちょこ受けてた気がするけど多すぎて思い出せないわ。」
     (どう?と首を傾げてみせた)

受付:「ああ、登録はこれで完了だ。貼り出し中の依頼で気に入ったものがあったら申し込んでくれ。
    後、ここは色んな事情で本部じゃ受け付けられない依頼も受け付けることがあってな。
    その時は、白紙の依頼用紙を張り出しておくから、直接聞きに来るといい」


言うと、受付は書き上げた資料を登録者の冊子にまとめはじめた…

マリア=エンジェルスの章

地吼の月 千年都市ガウディ

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。

かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一人の少女が訪れていた。
くるりと巻いた桜色の髪、青緑の瞳で幼げな顔立ちをしているが、その出で立ちは完全に戦士のものだ。
特に右腕に着けたバックラーから見え隠れしている、右手の甲の奇妙な紋様が目を引く。

マリア:「どもー、こんにちはーっと。冒険者の登録しに来ま したー。」
     (あたりをキョロキョロとしながら相手の出方を待っている。)

受付:「ああ、じゃあこっちに来てくれ。まずは名前から聞かせてくれるかい」
    (言いながら新しい紙を引き寄せ、ペン先にインクをつける)

マリア:「私はマリア=エンジェルス。冒険者やってるよ。 」

受付:「マリア=エンジェルスと。冒険者か、これまではどんな仕事を?」
    (名前の欄にさらさらと記入して)

マリア:「今までした仕事っていうと、あんまり覚えてないんだけど…。
     たしか、グランブルー商会とのお仕事でなんとかって島の遺跡の前で
     石でできた狼と戦ったりしたかな。その次の時には、その遺跡の中に入って
     石でできた格闘家とかサソリ男とかと戦ったりもしたよ。あとなんか大掛かりな仕掛けもあってね。
     最後は遺跡ごと崩れてきたから逃げ出すのに大慌てだったんだ。もう大変だったよ。
     サソリ男に肩とわき腹をやられてて、血も出てるのに走らなきゃいけなくて、
     脱出する船に戻 ったころには顔色真っ青。あの時はもうホント死ぬかと思ったね。」

     (自分で語って、うんうん、と頷き)

受付:「ゴーレムの類か?そりゃまた、災難だったな」
    (書き進めながらふむふむと頷き)

マリア:「あとは、誘拐された良家のお嬢様助けるためにごろつきとケンカしたり。
     巨大なゴーレムとの戦いを援護したり。護衛の仕事で霧のミノタウロスと戦ったり…
     狼と戦ったり、ゾンビと戦ったり、ゾンビと戦ったり、ゾンビと戦ったり…
     まぁ基本荒事しかやってないやねー。戦士は体張ってナンボだから。」

     (あははははは、と笑う。)

受付:「ははは、まだ若いのによく分かってるな」
    (笑いながらゾンビゾンビと書き連ねる)

マリア:「そうそう、忘れちゃいけないのがこの印の話。なんかサイテーなヤツに呪いを受けちゃって、
     まぁ、ソイツ自身はやっつけたんだけど。…見た目にも恥ずかしいっしょ?
     コレのおかげでちょっと変わったゾンビとかと戦ったり、翡翠の森に行って
     なんかヤバい木の枝採ってきたりして、ホント大変だったんだから。
     …酒場で会った仲間のおかげだね。こうして生きてるのも。」

    (右手甲の紋章を見せて、苦笑しながら語る。しかし後半は少々懐かしげにも見える。)

受付:「そうか、いい仲間を持ってるみたいだな」
    (言って顔を上げると、ふと首飾りに目をやる)

マリア:「ちなみにこの首飾りはその呪いを受けたときに貰ったんだ。ちょっとしたお守りみたい。」
     (爪か嘴のようなものがついた首飾りを見せる)

受付は得心いったように頷き、空欄に何か追記している。

マリア:「覚えてるのはこんな感じかな。
     時間が有り余ってたらもうちょっとあること無いこと話せたんだけど。」

     (けらけらと笑い、相手の様子を観察している。)

受付:「ああ、登録はこれで完了だ。貼り出してある依頼で気に入ったものがあったら申し込んでくれ。
    後、ここは色んな事情で本部じゃ受け付けられない依頼も受け付けることがあってな。
    その時は、白紙の依頼用紙を張り出しておくから、直接聞きに来るといい」


言うと、受付は書き上げた資料を登録者の冊子にまとめはじめた…

ヴェルガード=サー=エリクソンの章

地吼の月 千年都市ガウディ

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。

かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一人の男が訪れていた。
漆黒の髪に瞳、逆十字の銀刺繍が施された外套を含めて装備全てが黒で統一されている。
それと比を成す様に肌は抜けるように白く、闇に浮かぶが如きコントラストを描いていた。

ヴェガ:「しばらく見ねぇうちに・・・変わったもんだねぇ・ ・・」
    (ゆらりと敷居を跨ぎ中に入れば、大鎌の柄を肩にかけながらギラついた目で辺りを見回す)

受付:「ここで依頼を受けるつもりなら、冒険者としての登録をしてもらわなければならんよ」

がらんとした室内の奥から、受付の声がした。

受付:「そうだな、名前から聞かせてくれるかい」

ヴェガ:「俺は・・・ヴェガ・・・。昔は、ヴェルガード=サー=エリクソン・・・なんて名だったな。
     今は傭兵だ・・・。系統で言うなら重戦士ってやつだな・・・。歳は29。
     こんなもんでいいのか・・・?今、仕事の入りはどんな感じだ・・? 」

    (得物や装備を軽く受付に見せつつさらりと自己紹介を済ませ、辺りの張り紙などを軽く見回す)

受付:「ヴェルガード=サー=エリクソン、と。・・・まあ、今は見たままの感じだ」
   (言いつつ、風貌と大鎌に目を留めると、近くにあった資料を引き寄せてめくっている)

依頼はそこそこあるようだが、とても冒険者の仕事と思えないものがほとんどだ。
多少目を引くようなものといっても、ライミ山での茸狩り程度のものである。

ヴェガ:「俺は傭兵だからな・・・。基本は戦か妖魔や化け物の類の討伐だな。オフィスコの奪還戦やら、
     第二次外周区攻防戦、そこでは別働隊だったな。で、第三次外周区攻防戦では最前線で殺ってたり、
     アンウィル跡地あたりの妖魔の砦の奇襲作戦でゲルツって隊長の部隊で戦闘のど真ん中に
     突撃したりってとこだな。ダークエルフやらジャイアントやらの首飛ばした時は・・・・中々スッキリしたぜ・・・」

    (淡々と語りつつ、最後の言葉の際は口の端を吊り上げてやや歪んだ笑みを見せる)

書き物を進めながら、受付は一瞬思わず首元をすくめた様だ。

ヴェガ:「後は第三次外周区攻防戦の後に街中に侵入した死にぞこないのダークエルフと
     そいつが召還したサラマンダーやら、海からあがってきた海獣やら、冬に出現した氷狼やら、
     赤子を誘拐した雪女やら、いきなり中央広場に沸いた騎士まがいの亡霊退治やら、
     どこぞの島・・・モルト島・・・だったか・・?の骸骨退治やら・・・・、街中で暴走した精霊を
     ひたすら追い返すってのもあったな・・・」

     (1つ1つ思い出すように指折り数えながら受付に告げていく)

これまでに幾つか聞いた話もあるのだろう、その部分は実にスムーズに書き進めていく。

ヴェガ:「それ以外は、船上でどこぞのスパイとやりあったのだとか、死んだ魔術師の作品だかの
     デカイゴーレムだとか・・・。変わったとこだと、妖魔基地の調査って名目で行った北にある
    「菫色の回廊」ってとこで尻尾が9つある狐見たりだとか 、森を枯らすとかいう死霊退治んときに
     ユニコーンに会ったな。御伽噺で聞いたこたあったが、実物を見たのは後にも先にもあれっきりだな・・・。
     ああ・・・、そういやあ田舎の魔女退治って名目で、翼をもがれた有翼人の女も・・・
     殺ったことがあったな・・・」

    (時折声をかみ殺しつつ思い出し笑いなども交えて受付に説明 し、
     最後はフッとどことなく憂いを帯びた表情を見せる)

受付:「ふむふむ、傭兵業だけじゃなく、冒険者としても腕を鳴らしていた訳だな」
   (幾度か頷きながら、用紙の欄を埋めていく)

ヴェガ:「ガウディいたときはこんなもんだな・・・・。後は2年半程傭兵として妖魔戦線を転戦・・・ってやつだな・・・」
     (一頻り話し終えればギラついた目で受付を見据えて次の言葉を待つ)

受付:「なるほど。ところで、その…」
    (得物は、といいつつ大鎌を指す)

ヴェガ:「これか・・・?確かにこんな得物を扱う奴ぁそういねぇだろうねぇ・・・。
     真銀製の上物だったが、武器やの隅に転がってたぜ・・?」

    (口の端を吊り上げながら、妖しげに輝く刃を相手の視界の正面に入れながら説明)

受付:「そ、そうか。その外套は?曰くありげだが…」
    (刃の光に、慌てて言葉を継ぐ)

ヴェガ:「これは昔、鍛冶屋に特注で作らせたモンだ・・・。
     真銀の糸で編んでるから、ショボい鎧よりよっぽど堅いぜ・・・?」

    (そう言って何かの攻撃を弾くように軽く外套の裾をはためかせる)

頷きながら受付は残りの欄を埋め終えると、顔を上げた。

受付:「じゃあ、登録はこれで完了だ。貼り出してある依頼で気に入ったものがあったら申し込んでくれ。
    後、ここは色んな事情で本部じゃ受け付けられない依頼も受け付けることがあってな。
    その時は、白紙の依頼用紙を張り出しておくから、直接聞きに来るといい」


言うと、受付は書き上げた資料を登録者の冊子にまとめはじめた…

サゲク=イルーユの章

地吼の月 千年都市ガウディ

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。

かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一人の男が訪れていた。
少し長めにした黒髪に同じ色の瞳。大きな淡い緑色のローブをまとい、手には杖を携えている。
その所作、歩き方など、どこかのんびりとした、泰然とした雰囲気を漂わせている。

サゲク:「ここが冒険者ギルド。で、間違いなかったはずだけど」
     (場所を確認してから、扉を開けて中へと入る)

ギルドの中はとても静かで、冒険者や依頼人といった人影も特に見当たらない。
全体的に古びているが、施設として必要なものは揃っているようだ。

サゲク:(ギルド内をゆっくりと眺めて歩き、一回りしてから受付の方へ)
     「ここで登録ができると聞いたのですけれど、よろしいですか?」

受付:「ああ、冒険者としての登録だな。そこに座ってくれ」

言うと、受付はサゲクに椅子をすすめて新しい紙を手元に引き寄せる。

サゲク:「とりあえず、名前から。サゲク=イルーユです。
     職業は精霊使いをやってます。と言ってもまだ駆け出しですが」

    (最後は少し苦笑しながら、簡単に自己紹介をする)

受付:「サゲク=イルーユと。なに、どんな凄腕も最初はみんな駆け出しさ。
    …で、これまではどんな仕事を?全くしてないって訳でもないんだろ」

    (用紙に名前を書き込みながら)

サゲク:「仕事ですか。そうですね。大雨があったときに河川の修理をやりましたね。
      後は大雪の時に雪かきとか。冒険者の方から見ればこう言うのは
      面白みの無い仕事かも知れませんが、こう言う仕事はやっていて楽しかったですよ。
      何というかそう、『この街のためになった。』って感じがするのですよね〜。」

     (うんうん、と何やら一人納得しながら、受付の人に仕事の話を語っている)

受付:「自分の丈にあった仕事を選ぶのは重要なことだな」
    (頷きながら書き進めている)

サゲク:「他にもありますよ。精霊使いをやってまだ駆け出しとは言えね。
      小さな村に起こっている殺人事件を解決する仕事ですかね。
      その時は最終的に風使いと戦闘になって。
      後は船の護衛で海賊とも戦ったこともありますし、ガウディを守るための
      妖魔達との戦争に参加したこともあります。冒険者らしい仕事と言えば仕事なんでしょうが……。
      …他にもあったかも知れませんが、思い出せるのはそんなところですかね。」

     (続きを言うのを止めて、少しの間他の仕事も思いだそうとするも、思い出せずに話をまとめた)

受付:「よし、登録はこれで完了だ。貼り出してある依頼で気に入ったものがあったら申し込んでくれ」
    

サゲク:「ありがとうございました。」
    (登録を終えたのでお礼を一言)

受付:「ああ、後、ここは色んな事情で本部じゃ受け付けられない依頼も受け付けることがあってな。
    その時は、白紙の依頼用紙を張り出しておくから、直接聞きに来るといい」


言うと、受付は書き上げた資料を登録者の冊子にまとめはじめた…

ライト=フィークスの章

地吼の月 千年都市ガウディ

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。

かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一人の男が訪れていた。
身には魔法学院の制服を着け、学院の制帽の下からエルフ特有の尖った耳が見える。
肩にかかるほどの金色の髪に青く澄んだ瞳。その表情や雰囲気はとても穏やかなものである。

ライト「失礼します。」
   (ゆっくりとした足取りで冒険者ギルドの扉をくぐっていく)

室内はとても静かで、ライトが開いた扉の開閉する音がやけに響く。

ライト「ここで冒険者登録を出来ると聞いてきたのですが間違いないでしょうか?」
   (受付の前まで行きゆっくりと話しかける)

受付:「ああ、じゃあ、そこに座ってくれ。まず、名前から聞かせてもらおうかな」
    (カウンター前の椅子をすすめると、新しい紙を手元に引き寄せる)

ライト「私はライト=フィークスと申します。魔術師をやっています。」
   (笑顔を浮かべながら自己紹介していく)

受付:「ライト=フィークスね。…これまではどんな仕事を?」
    (名前の欄にペン先を走らせながら)

ライト「今までやった仕事ですか・・・。この町に着てから数年経ちますし
    いろいろなことをやってきましたねぇ」

   (少しの間考え込む)

受付:「思い出せる範囲で構わんよ」
    (ペン先を止め、言葉を待っている)

ライト「この町の中でやった仕事では酒場の屋根を直したり
    迷子探しでゴブリンにさらわれた子供を助けたり高級レストランで給仕をやったり
    巨大な怪獣や三つ頭のケルベロスと戦ったり下水道に落ちた指輪を取りに行って
    スライムと奮闘したり墓地のゾンビ騒動を調べに行ってダークエルフに会ったり
    本に取り付いた悪霊と戦ったり一番思い出に残るのは雷の精霊と空中戦をしたことですかね。」

    (一つ一つ過去を思い出すように話していく)

受付はふむふむと頷きながら紙面にペン先を走らせていく。

ライト「町の外に出て行ったときは湖に薬草を取りに行って精霊に会ったり
    遺跡の探索に行ってゴーレムと戦ったり目を見ると体の自由を奪われる
    一つ目のガーディアンと戦ったりゴーレムを作るのを手伝って、その後始末をしたり
    とある村のお祭りの手伝いをしたり物資の海上輸送の護衛で海賊と出くわしたり
    いろいろなことをやってきましたね」

   (昔のことを懐かしむように今までの仕事をあげていく)

受付:「なるほど、確かに色々だな。…他にはあるかい?」
   (感心したように一つ頷き)

ライト「魔術師ですので魔術全般と霊薬に関する知識がそこそこ、
    あとは、古代語が多少理解できますね。
    こんなものでよろしいでしょうかね?」

    (一通り話し終え一息つく)

受付:「ああ、登録はこれで完了だ。貼り出してある依頼で気に入ったものがあったら申し込んでくれ。
    後、ここは色んな事情で本部じゃ受け付けられない依頼も受け付けることがあってな。
    その時は、白紙の依頼用紙を張り出しておくから、直接聞きに来るといい」


ライト「依頼を受けるときはまたお世話になりますね。では、失礼しますね。」
   (軽く頭を下げギルドを後にする)

見送ると、受付は書き上げた資料を登録者の冊子にまとめはじめた…

アースクラインの章

地吼の月 千年都市ガウディ

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。

かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一つの影が訪れていた。
影、としか表現するのは難しいだろう。男か女か、そもそもどういう種族なのかも窺い知れない。
袖が長めの闇色のローブを身につけ、フードを目深に被って、露出の一切無いその姿では。

とりあえずそれが男である、と知れたのは、扉を開けて開口一番、言葉を発したからである。

アーク:「・・・ここで冒険者ギルドの仕事が貰えるって聞いてきたんだが、間違いないかい?」
    (静かに扉をくぐり、周囲を見回しながら尋ねる・・・)

がらんとした室内に言葉が響く。やがて、奥の受付カウンターから声が聞こえた。

受付:「ここで仕事をする時には、冒険者としての登録をしてもらわなければならんよ」

アーク:「ん?あぁ、こちらでも登録が必要なのか・・・。名前はアースクライン。通称はアーク。
     得意分野は調査や探索。荒事はあまり得意じゃないが、できないこともない。
     ・・・一応、この稼業で10年以上食わせてもらってる。
     まぁ その割には、あんまり派手な仕事はしてないんで、名前は売れてないんだけどね」

    (名乗りを上げた後、フードの中で自嘲気味にくっくっと苦笑)

受付:「アースクライン、と。・・・ああ、これまでどんな仕事をしてきたか聞かせてくれるかい」

名乗りを聞いて受付は少し動きを止め、すぐに手を動かして用紙に名前を書き込んだ。
仕事の内容を尋ねながら、側にあった資料を引き寄せて開いてみている。

アーク:「んー。それこそ数だけはこなしてきたから、いろいろあるけど・・・」
    (思い出すように首を傾げてすこし考え込む)

受付はひとつの項目に行き当たったようで、眼鏡を掛けなおしてそれを見ている。

アーク:「さっきも言ったけど、得意にしてるのは調査とか探索関係だから、あまり行かない街とか、
     いわくありげな森とか、謎の遺跡とか、いろいろ行ったね。
     それこそガウディの地下からネティアの神殿みたいな遺跡とか、ライミ山にネス山、
     緋色の迷宮、タミンガルドの古社、クルーニクス、化粧都市、竜ヶ峰。
     あと・・・外では言えないけど、宵闇んときに太陽の聖殿ってとこにも潜ったね。」

    (思い出しつつ話し、最後は小さく付け加える・・・)

受付:「太陽の・・・また、とんでもない所まで行ったもんだな」
    (ペン先を紙面に滑らせながら呆れた様に言う)

アーク:「あとは・・・と、食ってくために、まだ無事だった頃のサーゲオルーグに行く郵便配達の護衛とか、
     占領時のセンティア方面向かって整備に行く連中の護衛とか、外周区攻防戦のときには、
     工作兵の真似事で敵の攻城兵器の進軍阻止とか、敵陣中のダークエルフ殺りに行ったりとか、
     ゴブリン王率いる50匹のゴブリン砦にカチコミかけたりとか、荒事もいろいろやったなぁ。」

    (首の角度をさらに深め、つらつらと思いつくままを繋げてゆく)

受付:「・・・得意じゃないこともないらしいな、荒事も」
    (首を振りつつ書き進めていく)

アーク:「・・・やったといえば、ガウディを騒がせた血霧や煤、口から火を噴く魔獣、
     黄金都市のすべてを食らい黄金に変える錬金術とか、霧の街のゾンビと巨人とか、
     蟻と獅子を足したような化け物とか、死霊騎士みたいなのともやりあったっけ。
     あと、レッドライングリフィンの雛と卵を守ったり、西方の離れ小島に小さな鐘持ってって
     泉の聖獣の試練受けたり、あとは・・・んー・・・忘れた。他にもあったはずだけど、
     10年以上もやってりゃ全部思い出すのはムリだな・・・。ふぅ・・・」

    (記憶が尽きたのか苦笑を交えつつ、長かった報告を終えるようにため息をひとつ)

受付:「またお前さんも人外のものと縁があるねえ・・・群を抜いているが」
    (書き終えた後、幾度か首を振りつつ言う)

アーク:「あとは・・・一応、裏の組織にも繋がりもあるし、少しなら顔がきくから、
     そっち関係絡みのヤバめの仕事も請け負えると思うよ。
     ただし、あとあと裏と揉めないよう、話をつけてからだけど。」

    (口元に人差し指を立てつつ、小声でぼそりと付け加える)

受付:「・・・ああ、分かった。ここは特殊な依頼を受ける事もあるから、その時は頼むよ」
    (少し考えてから、頷いて言う)

アーク:「いろいろ思い出して話し込んじゃったけど、こんなもんでいいかな?」

受付:「十分だ、ああ・・・ところでそれは?見かけない品だが・・・」
    (言いつつ装備の一部を指す)

アーク:「んー。こいつはオレのメシのたねであり、生命線だからね。タダでは教えられないよ」
    (軽く首を傾けた後、横に振り、軽めの口調で答える)

受付:「そうか、安月給なものだから無理には聞けんな」

言って受付は笑うと、残りの事項を書き上げた。

受付:「じゃあ、登録はこれで完了だ。貼り出してある依頼で気に入ったものがあったら申し込んでくれ。
    後、ここは色んな事情で本部じゃ受け付けられない依頼も受け付けることがあってな。
    その時は、白紙の依頼用紙を張り出しておくから、直接聞きに来るといい」


アーク:「今後ともよろしく・・・では、また。」
     (扉の前で小さく頭を下げると、静かに外へ出て行く)

受付はそれを見送ると、開いていた資料をもう一度眺めて、ぱたんと閉じた。

受付:「名前が売れてないとか・・・さて、本気で言っているものかな」


呟くと、受付は書き上げた資料を登録者の冊子にまとめはじめた…

ラーディの章

地吼の月 千年都市ガウディ

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。

かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一人の女性が訪れていた。
慣れた者ならドワーフとすぐ知れるだろうが、細身であり鬚もないので少し時間が掛かるだろう。
身に着けているものはどれも逸品揃いだが、胸甲の下に着けた黒衣に浮かぶ霧状の輝きが印象的だ。

ギルドを訪れたラーディは、ここで依頼を受けるなら冒険者としての登録をしなければならない旨伝えられる。

ラーディ:(面白そうに辺りを見回していたが、促されるままに椅子に腰を下ろして)
      「んー。じゃあ、よろしく頼もうかな。えっと、登録って、何から言えばいいのかな……
      名前はラーディ。姓や字はなし。ただの『ラーディ』でいい。
      技能は、武道。仕事の方は、力仕事でも護衛でも調査でも、割と何でもやるね」


受付:「ラーディと。これまでどんな仕事をしてきたか聞かせてもらえるかい?」
    (名前の欄に記入しながら問う)

ラーディ:「冒険者としての経験は、確か3年位かな。
       ……うーん、振り返ってみてもあんまり派手な経歴はないねえ。
      調査の類なら、ガウディに忍び込んだ密偵の追跡、『鐘の人』を洗う水の調達。
      あとは、隊商の護衛とか、魔獣を召還してた外法師の捕縛とか、夜の精霊王の撃退とかかな」

     (指折り数えながら、過去の仕事を思い出す)

受付は頷きながらペン先を紙面に滑らせていく。

ラーディ:「冒険者の仕事とはちょっと違うけど、戦争にもちょっとは参加してたね。
      投石器の破壊とか、森林地帯の斥候とか……
      第三次外周区攻防戦では一翼を率いてたダークエルフを仕留めたよ。
      そういえば森林地帯の斥候でもダークエルフと顔つき合わせることになったし……
      縁があるのかねえ。黒でも白でも、エルフは向こうからあたしを避けるもんだと思ってたけど」


受付:「はは、そうでもないぞ、白と黒は正反対だからな。・・・他にはあるかい?」

ラーディ:「他は……んー、経歴じゃないけど、武道大会に二回ほど参加したことがある。
      『舞踏者』ノッゼに勝てたのは自慢だったりするけど……
      直後にクーガにけちょんけちょんにされたりしてるんだよね。あはははは」


受付:「そりゃあ、十分に誇れる戦歴じゃないか」
    (応じて笑いながら書き進めていく)

ラーディ:「なんか、自分の経歴話すのって気恥ずかしいね。自慢話は得意じゃないし……
      えーっと、こんなところで良いかな。後はまあ、仕事振りを見て判断してよ」

受付:「ああ、登録はこれで完了だ。貼り出してある依頼で気に入ったものがあったら申し込んでくれ。
    後、ここは色んな事情で本部じゃ受け付けられない依頼も受け付けることがあってな。
    その時は、白紙の依頼用紙を張り出しておくから、直接聞きに来るといい」


言うと、受付は書き上げた資料を登録者の冊子にまとめはじめた…

ミネス=ゼクリアスの章

地吼の月 千年都市ガウディ

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。

かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一人の青年が訪れていた。
短めにした茶色のふわふわ髪に、澄んだ青い空のような瞳の色で、温厚な表情をしている。
杖を手にしているが、その外観から職を言い当てるのは難しい。海鳥を象った額冠が印象的である。

ミネス:「ここかな?アークが言ってたところって...
     こんにちはー。こちらでギルドの登録していただけるって聞いたんですけど...」

     (扉を軽くノックして開きながら、中に入りきょろきょろと首をめぐらせて内部を探る)

内部はギルドの体を成してはいるが、特に依頼人や冒険者の姿は見られない。
やがて、声に応じてカウンターの奥から声が響いてきた。

受付:「ああ、ここでの依頼はここで登録してから受けられる事になってる」

ミネス:「あ、こんにちは。依頼を受けさせていただくために登録をと...
     何か必要なものってあるんですか?」

     (どこの風習か挨拶しながら軽く頭を下げて、にこりと微笑む)

受付:「そうだな、まず名前を聞かせてもらえるかな。それと、今までやってきた仕事もだな」
    (新しい用紙を引き寄せながら)

ミネス:「あ、はい。ミネス=ゼクリアスと申します。...今までの仕事ですか....」
    (名前を問われ答えつつ、仕事の話をしてほしいといわれて、
     右頬に人差し指をあてて、考えるしぐさ)

受付:「ミネス=ゼクリアスと。・・・」
    (名前を記してから、近くにある資料を引き寄せて見ている)

ミネス:「うーん。お仕事...そんなにたいしたことはしてませんけど...
     基本的には、探索や調査が得意ですね。
     遺跡とか、僕はアークと親しいのでよく組んでいま したから。
     アンウィルの調査にも行きましたし。ネス山の探索や、化粧都市、クールニクスの探索...
      あと、あまりおおっぴらにはいえませんけど、太陽の神殿の探索もしてます。
     ガウディの下水道の調査とかもしましたよ。
      雪山に上ったときは竜の背中に乗せてもらった...って、あ。
      すみません、これはそのう...記録しないでもらえませんか?」

     (右頬に指をあて、傾けながら話していたが、最後の部分で気付き、
      両手を軽く交差させるように振る)

受付:「・・・まあ、聞かなかった事にしておくよ。興味深い点なんだがね」
    (言いつつも、求めに応じてその点は記さず)

ミネス:「探索以外に護衛とかもしまたよ。一応魔法使えますからね。
     道路工事の護衛でセンティアまで行ったり、護衛というか、鐘をとある島に届けにいったり。
     あ、そういえば10代の頃に血霧退治に行ったりもしたんでした。
     結局退治なんて出来ませんでしたけど。
     後は...うーんごめんなさい。やっぱりたいしたことしてないので、思い出せませんね...」

     (腕をくみ軽く首をかしげながら、受付の人の頭上に視線を向けながら)

受付:「いや・・・結構大したもんだと思うぞ」
    (記してきた事項を見ながら、笑う)

ミネス:「うーん、何も参考にならなさそうなことばかりで申し訳ないです。
     魔術に関するお仕事があれば、お力になれると思います。
     こう見えても一応、古代語も読むことが出来ますから」

     (少しうつむき頭を軽く掻いた後、微笑む)

受付:「そうか、魔術に心得ありと言っていたな。・・・ところで、その額のは特注品かい?」
    (言いつつ、額冠を指す)

ミネス:「え?あ、この額冠ですか?これは知り合いから預かっている珍しいものなんです。
     その知り合いの方が、かなり前に開催されたタミンガルト魔導大会で優勝されたので、
     その賞品だったんですが...ちょっと諸事情で、お預かりすることになったんです。
     なくしたら困るので、いつも身に着けているんです」

     (額冠に触れながら、思い出すように遠くを見るような視線で...ふと顔をゆがめる)

受付は興味深そうにそれを見ていたが、やがてペン先を滑らせる。

受付:「・・・ん、その服は?見たところ、いわくがありそうだが」

ミネス:「...これですか?んーボッタクリ商店で買ったんです。掘り出し物なんですよー。
     ふわふわしてて軽いのに丈夫で、お気に入りなんです。」

     (お気に入りらしくにっこにことうれしそうな顔。
      布に触れると清涼な空気のような気配を感じられる)

受付:「・・・まあ確かにボッタクリだが、また正直だねお前さんは。
    ところで、先ほどからの話だと職業は魔術師でいいのかい?」

    (感心したように言うと、そう問い尋ねてくる)

ミネス:「あ、すみません。肝心なことをお伝えし忘れてましたね。
     いわゆる魔導師と呼ばれる部類ですけど、探索が好きで研究は苦手なんです。
     探索に必要な魔法は、一通り使えます。」

    (はっと気付き、あわてて告げる)

受付:「ふむ・・・よし、登録はこれで完了だ。貼り出してある依頼で気に入ったものがあったら申し込んでくれ。
    後、ここは色んな事情で本部じゃ受け付けられない依頼も受け付けることがあってな。
    その時は、白紙の依頼用紙を張り出しておくから、直接聞きに来るといい」


ミネス:「お忙しいところ、お時間を頂いてしまってすみませんでした。
     これから、どうぞよろしくお願いします。今日は、この辺で失礼しますね。」

    (にこ、と微笑んで頭を軽く下げると、扉へと近寄り 、
     扉を開けながらもう一度振り向き会釈して去っていく)

受付は、扉が閉まると感心したように何度か頷き、振り返って言った。

受付:「近頃の若者にはない、礼儀正しい青年じゃないか。なあエルテ君」

事務職員:「礼儀がなってなくて、大変申し訳ございません」

受付:「い、いや、別にそんな事は言ってないよ。い、いかんな自虐的なのは」

慌ててそう言うと、受付は書き上げた資料を登録者の冊子にまとめはじめた…

ゼロルド=サファイラルの章

地吼の月 千年都市ガウディ

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。

かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一人の男が訪れていた。
銀色の髪を短くし、その目にかかる程の髪の間からのぞく、黒と緑の色違いの瞳が印象的だ。
茶色の帽子に服、手にはロッドと、スペルユーザーである事をうかがわせる外見である。

ゼロ:「・・ココ・・・ですか。」
   
(茶色い帽子を少し上げ建物の外観を眺めながら呟く)

周囲の風景、外観、雰囲気、いずれをとっても違和感を感じざるを得ない。

ゼロ:「・・失礼します・・。・・こちらでも登録が必要と・・お聞きしてきました・・けど・・。」
   
(ホントにココで良いのだろうか、という表情できょろきょろしながら、
    相手に気が付くと微笑を向け)

やがて、奥のカウンターから声がする。

受付:「ああ、ここで依頼を受けるならこっちでも冒険者登録が必要だ」

ゼロ:「・・あ、やっぱり此方で良いんですね。」
   
(ほっとした表情に変わるとゆっくりと近づき会釈)

受付:「じゃあ、名前から聞かせてもらえないか」
    (側の棚から新しい用紙を取り出して)

ゼロ:「・・僕の名前はゼロルド=サファイラル、ゼロと呼んで下さい・・。
    一応エレメンタラーとして色々な事に首を突っ込んだ事があります・・。」
   
(帽子を取ると髪をくしゃくしゃと掻き上げ苦笑してみせる)

受付:「ゼロルド=サファイラルと。・・・これまでどんな仕事を?」
   
(名前を用紙に記入しながら)

ゼロ:「・・これまで、ですか・・。・・うーん・・最近はこの街を離れていましたので
    アレですが・・。以前、ライミ山に 何度か薬草を採りに行った事がありましたね・・。」
   
(ちらり、と壁に掛かった依頼の一枚に目を止めて思い出したように)

受付は話を聞きながらペン先を動かす。

ゼロ:「・・それからアウラ湖へも行きました・・。その時は精霊王の宴に偶然参加して・・
    飛び入りで芸をさせられたりも・・。・・精霊関係ですけど・・鏡の精に捕まった友人を
    助ける為に四苦八苦したり、 雪精霊に閉ざされたこの街で色々動いてたら
    向こうの銀世界に行ったり・・。 ・・あぁ、水精霊が留まった時も・・首を突っ込んで
    探し回りましたね。 それに風の精霊エアリエルと雷の精霊との戦いにも
    首を出そうとしましたけど ・・・その時は・・運良く他の方々が懲らしめて下さった様でした・・。
     ・・僕はどうも・・『精霊』が絡むと夢中になってしまうみたいです。」
   
(肩をすぼめ、ぽりぽりとこめかみ掻くと更に苦笑)

受付:「ああ、エレメンタラーと言ってたな。無理もないことさ」
   
(頷きながら紙面にペン先を滑らせていく)

ゼロ:「・・他には・・街の中では幽霊騒ぎを解決しようとして、しかられた事もありました。
    ・・それから・・北地区の貴族の護衛なんかも・・。近くの村までの護衛や、
    外周区の地質調査なんかもした事があります・・。 ・・あとは・・外周区と言えば、
    外周区での妖魔との戦いでは・・『舞踏者』ノッゼに誘われて本隊を奇襲したり、
    外周区の更に奥の森で黒エルフと出くわしたり・・。・・あ、黒エルフと言えば、
    この街中でも戦った事がありました。サラマンダーを召還されて・・。
    ・・・あの時も死ぬかと思いましたね・・。」
   
(思い出した先に口にしているようで、時々はっとした表情で取り留めもなく話し続ける)

受付は話を聞きながら文字を黙々と書き連ねていく。

ゼロ:「・・以前ギルド本部でハミルトンさんの依頼と言う事で少し離れた島に行った時、
    フレアビーストが出てきて・・。・・あの時も大変でしたね。その時ゴーマと名乗る
    妖魔の少年が・・フレアビーストを連れ去ったんですけどね・・。」
   
(ふぅ、と小さくため息をつき)

受付:「妖魔の?少年、ね」
   
(少し首をかしげ、ペンにインクをつけなおす)

ゼロ:「・・それから・・白亜の一族とも少しだけ・・。あの、グレディ商会が一夜にして
    陥没した荒れ地に変わった・・あの時にちょっと・・ですね・・。」
    
(ぎゅっと茶色の帽子を握りしめ、視線を落としどこか寂しげな表情に)

受付:「あれもちょっとした騒ぎだったな。ふむ」

ゼロ:「・・それから他の商会の依頼で・・物資搬送のための護衛である島に。
    そこで石像の狼襲われたり・・、遺跡から発掘されたのが変なゴーレムだったり・・。
    ・・ゴーレムと言えば、菫色の迷宮と呼ばれる場所に行った事もありました。
    ・・・そこで植物のゴーレムと対峙して・・この時はギルドのセッツァーさんに・・
    助けられましたね・・。」
   
(思い出しながらも懐かしみ、苦笑が少し緩やいで)

幾つか聞いた話なのか、受付はスムーズにペンを進めていく。

ゼロ:「・・後・・まぁ・・変な密偵っぽい人追っかけたり、迷子を捜したり
    魔術師の失踪事件に首を突っ込んだり・・・色々ですね。」
   
(握っていた帽子のシワを伸ばしながら、最後の最後で端折って微笑で誤魔化し)

受付:「なるほど、わかった。・・・ところで、その帽子と指輪は?見かけない品だが」
   
(気になる装備品を示して)

ゼロ:「・・この指輪は・・先程お話ししたゴーマから・・手渡された物で
    魔力が籠もっているようですね・・。なんでも・・フレアビーストのお礼だとか。
    ・・何をたくらんでいたのでしょう・・良く分かりませんが・・。」

受付:「例の、妖魔の少年とやらからかい?ほう・・・」
   
(再び首をかしげるが、とりあえず書き始める)

ゼロ:「・・この帽子は・・ライン・・白亜の方から頂きました。
    これを使って彼女と彼を救うはずでしたが・・・。
    逆にこの帽子に守られて助かった事の方が多いんです・・。」

受付:「じゃあ、登録はこれで完了だ。貼り出してある依頼で気に入ったものがあったら申し込んでくれ。
    後、ここは色んな事情で本部じゃ受け付けられない依頼も受け付けることがあってな。
    その時は、白紙の依頼用紙を張り出しておくから、直接聞きに来るといい」


ゼロ:「・・これで此方の登録は終了ですか・・?
    ・・・では・・機会がありましたら・・よろしくお願いしますね・・。」
   
(立ち上がり会釈をすると、帽子を被りながら木戸を潜って外へ足を運ぶ)

言うと、受付は書き上げた資料を登録者の冊子にまとめはじめた…

エルンスト=フォン=ハルトマンの章

天聖暦1047年天静の月 千年都市ガウディ

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。

かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一人の男が訪れていた。
バサバサとした金髪、やや沈みがちの群青の瞳。その姿は、どこか影のある雰囲気を醸している。
身に着けるものは金属鎧に長剣、盾と、傭兵風であり、品も使い込まれているようだ。

エル:「こんにちは……あ、あの。冒険者ギルドは、こちらでよろしかったでしょうか?」
   (躊躇いがちに開かれた入口から、戦士風の身なりをした男がギルド内へと入ってくる。
   思った以上に寂れていることに驚きを隠せず、入口の看板でも確認したのに受付の男性に
   もう一度尋ね)

受付:「ああ、頭に旧がつくが、冒険者ギルドだよ。やってる事はあっちと同じだ」

受付は書きかけの書類から目を上げ、エルの顔を見やる。

受付:「・・・お前さん、名前は?」
    (眼鏡をかけなおして)

エル:「申し送れました、私はエルンスト=フォン=ハルトマンです。
    仲間内では、よくエルとか呼ばれていたりしますね」

   (名前を聞かれると、一言断ってから名乗り)

受付:「エルンスト、フォン・・・ってえと、騎士様か貴族様の出かい?」
   (ペンの尻で側頭部をコリコリとやって)

エル:「ああ、いえ。今ではもう見てのとおり、没落貴族以下でしかありませんよ。
    まあ、その。昔に色々とありましてね」

   (自分の粗末な身なりを示しながら微苦笑して否定し)

受付:「訳ありって訳だな。ああ、今更なんだが、あんた冒険者かい?
    もし、ここで依頼を受けるなら登録をしてもらわなくてはならんよ」


エル:「冒険者というより……そうですね、一応は傭兵ということになるのでしょうか?
    あ、もちろん依頼を受けに来たことには変わりません。こんなご時世ですから、生活が
    苦しいもので………何か簡単な物でも、仕事を紹介していただけると助かります」

   (冒険者かという問いには少し自信なさそうに傭兵と答え、切実な目で依頼はないかと)

受付:「まあ、今のご時世じゃな。傭兵って話だったが、生活は苦しいのかい?」
    (書きかけの紙を脇にやり、新たな紙にさらさらと書き込み始める)

エル:「はあ、職業安定所にも行きましたが、それだけでは何とか食べていくのが
    やっとという有様ですから……それに、何か刺激もあったほうが人生は楽しめるでしょう?」

    (ここに来た理由を問われると、情けなさそうに呟き。かと思うと、冗談めかして付け加え)

受付:「違いない。刺激があってこその人生だな。・・・これまではどんな仕事を?」

エル:「そうですね、ほとんどは傭兵団に属して戦っていましたから、冒険者ギルドの方での
    仕事はあまり……ああ、小さい頃は冒険者ギルドで下働き、程度のことはしていましたが」

    (少し困ったように答え、暫くして特に経歴にもならないようなことを答え)

受付:「ふむ・・・他には?」
    (書き進めながら)

エル:「それ以外ですか? ……ううむ、傭兵団時代には常夜の頃に外周区で戦っていたぐらい
    ですね。ただその時に傭兵団は壊滅してしまったので、残念ながら今となっては証拠となる物や
    証言はありませんが…」

   (腕を組んで唸り。特筆するほどの仕事がないことに焦りを感じたのか、頭を掻き)

受付は頷きながら書き物を進め、続きを促す。

エル:「その後は、ガウディを離れて街道馬車や隊商の護衛についていました。場所ですか?
    そうですね……シーポートへの荷馬車が一番多かったと思います。後は変わったところでは、
    ヴォンジアへと行く船の護衛もしましたね。他には小都市の自警団の小間使い程度でしょうか。
    今までやった仕事といえば、このぐらいですね」

    (記憶を辿りながら、ゆっくりとした口調で丁寧に説明を重ね)

受付:「・・・よしと。登録はこれで完了だ。貼り出してある依頼で気に入ったものがあったら申し込んでくれ。
    後、ここは色んな事情で本部じゃ受け付けられない依頼も受け付けることがあってな。
    その時は、白紙の依頼用紙を張り出しておくから、直接聞きに来るといい」


エル:「あ、終わりですか? どうもありがとうございました。それでは、どうかよろしくお願いします」
   (登録が終わったのを見ると、深々と頭を下げて謝意を告げると、静かに立ち去り)

受付:「まあ色んな仕事があるから、頑張りなよ」

エルを見送ると、受付は書き上げた資料を登録者の冊子にまとめはじめた…

ナクリオン=アンザーの章

天聖暦1047年天静の月 千年都市ガウディ

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。

かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一人の少女が訪れていた。
やや長さは短いものの、特徴的な耳を見るにエルフである事は確実だが、それでも少女といえる年齢だろう。
髪は肩で切りそろえ、動きやすい薄青の服に膝丈までのパンツ姿で、手に弓を手にしている姿は狩人の様である。

ナーク:「ここが・・・冒険者ギルドだよね・・・」
     (扉を開けて地図を見ながら中に入る)

旧冒険者ギルドの中は薄暗く、依頼人や冒険者の姿も特に見受けられない。
目が慣れてくると、とりあえずギルドに必要なものは揃っているのがわかる。
さらにカウンターの奥には、受付らしき者が書き物をしているのが見えた。

ナーク:「受付受付っと・・・・。あのぉ、冒険者登録をしにきたんですけどー・・・」
     (地図を懐にしまうとおずおずと受付に向かって話しかける)

受付:「ああ冒険者の登録だな。まあ、そこに掛けるといい」
    (書物に向かう手を止め、カウンター前の椅子をすすめる)

ナーク:「とりあえず、私はナクリオン=アンザー。ナークって呼ばれてます。
     職業は一応弓を使った猟師(ハンター)です。
     小さいときから親の手伝いとかしてるから探索とかの技術と知識は少しありますよー。」

     (おずおずとしていたが、最後の方は緊張が解けてきたのかリラックスした表情になる)

受付:「ナクリオン=アンザーと。・・・これまでにはどんな仕事を?」
    (紙面にペン先を走らせながら)

ナーク:「仕事とかの話ですかー?そうだねぇ・・・。こっちに来てすぐくらいに神隠し?
     っていうのにあった時があってね。それを解決したよ〜。鏡の精霊っていうのかな?
     友達になったんだけど、そのこが一人じゃ寂しかったから人を呼んだんだって。
     まぁ、なんだかんだで皆街に戻れたんだよねー。これがその証拠の品だよ」

    (一通り話しをした後に、首から下げている鏡の破片を見せる。
     なんの加工もしていないので破片の端で怪我をしそうなものだが
     首元には傷が一切見受けられない) 

受付:「・・・また剣呑だな。大丈夫なのかい、それ?」
    (さすがに危なっかしそうな視線を破片に向ける)

ナーク:「これね。その鏡の精霊さんから貰ったの。
     なんの加工もしてないから精霊力は弱いけど、持ってると精霊さんの力で
     すこーしだけ護られるみたい。
     なぜか知らないけど私以外の人は身に付けてもなんの効果もないみたいだしね。」

     (鏡を受付の人に見せながら話す) 

受付:「精霊の加護付きの逸品か。ほう・・・。・・・他にもあるかい?」

    (少しの間感心したように見ていたが、やがて再び紙面に向かう)

ナーク:「他?他には遺跡捜索とか・・・。そうそう、ガウディが大雪で大変になったときに、
     街の人たちにご飯作ったりとかしたよ。そうそう、その時に私ギルドの偉いお姉さんに
     雪にもある程度耐えれるような簡易テントについて教えたらそのテント製作の
     トップに任命されたねー。キレイな人にほめられると嬉しいよ〜」

     (にこにこ笑顔で頬を掻きながら話す)

受付:「ふむ、本部の偉くてキレイなお姉さん、か。・・・」
    (少し考え、ちょっとだけ青くなると急いで先を書き進める)

ナーク:「こんなもんかなぁ〜・・・。これで登録は大丈夫??」
     (不安げに尋ねる)

受付:「ああ、登録はこれで完了だ。貼り出してある依頼で気に入ったものがあったら申し込んでくれ。
    後、ここは色んな事情で本部じゃ受け付けられない依頼も受け付けることがあってな。
    その時は、白紙の依頼用紙を張り出しておくから、直接聞きに来るといい」


ナーク:「よかった〜。じゃぁ、また時間があれば覗きに来ますねー。ありがとうございますー。」
     (安堵の表情でいい、頭をぺこり・・と下げてギルドを後にする)

受付:「ああ、しっかり稼ぎなよ」

言うと、受付は書き上げた資料を登録者の冊子にまとめはじめた…

エルディアス=イストの章

天聖暦1047年天静の月 千年都市ガウディ

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。

かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一人の男が訪れていた。
深い青色の髪、薄い青の瞳をした青年で、背に1本、腰に2本の直剣を提げている。
身に着けているものは比較的軽装だが、左右非対称の蒼い手甲が目を引く。

エル:「やー。やーっと見つかったー。こーんにーちわっと。…ここ、旧冒険者ギルドで合ってます?」
    (背に一本、腰に二本の直剣を携えた男は扉を潜ると職員に声を一言掛け)

事務職員:「は、はい。旧冒険者ギルドですが・・・」
       (書類を片付ける手を止めて振り返り)

エル:「おお。いやー、長い旅だったー。えっと、本部?の方で仕事もらおうとしたら
    管轄がこっちになったから、て言われたんですけど、受付行けばいいんすかね?」

    (ごきごきと首を鳴らし、腕を組んで伸ばしつつ)

事務職員:「管轄?え、ええ・・・こちらで依頼を受ける時はこちらでの登録が必要です」
      <たらい回しにされたのかしら・・・?>

       (奥の受付を手で示しながら)

奥には初老の受付員がおり、何か書き物をしている様子だ。
受付はエルの姿を認めると、視線を上げて眼鏡を軽く上に外した。

受付:「ええと、登録希望だね?まず、名前から聞かせてもらおうかな」
    (新たな紙を取り出して書き始める)

エル:「っと。エルディアス=イストっす。年は22ぐらい、職業は傭兵で、主に前衛張ってますー。
    重戦士っすね。剣大好きっ子の剣マニアです。あ、これポイントですよ!」

    (何やら書き留めている職員に剣マニアポイントをアピールしつつ)

受付:「エルディアス=イストと。・・・これまでにはどんな仕事を?」
    (スルーしながら)

エル:「お?今まで…すか?んーと、何やったかなー…。あっちゃこっちゃで鼠退治から始まり、
    下水道にお宝求めて潜ってスライムと出合ったり、菫色の回廊?に観光に行ったり…。
    あ、精霊の子供を助けにどっかに行ったこともあったなぁ。
    あの時はなんかまやかしみたいなの見せられて大変だったけど。
    後はギルドからのおつかいとか、こまごましたのを少々、うん、少々。」

    (天を仰ぎつつ、思い出しながら続ける)

受付は頷きながらペン先を進めていく。

エル:「後はサラマンダー退治、氷狼退治に火を吹く狼退治、貴族さんの村への護衛に、
    その村を襲ってきたゴブリンご一行退治、本から生まれた、ヒトを骨と化す蠅の女王退治…
    妖魔の住処?だか拠点だかの調査関連も数回行ってるね。あれ?調査だっけ?」

    (記憶にあやふやな所があるのか自問自答しつつ)

受付:「・・・なかなか物騒な事もやってるな」
    (ふと、首を傾げて側の資料を引き寄せてみている)

エル:「それからヒト相手も色々あるね。変な薬をやっちゃってるヒトが暴走したり、
    笛か何かでヒトを操る奴とか、殺人事件犯人探しとか。
    ある村で起きた、ヒトを風で真っ二つにする魔法使い?だかの退治とかもあったねー。
    変な妖魔もどきを召喚、ていうのかな?を使って悪さしている魔法使いとかもいたね。
    船上で海賊からの護衛もやったよ。」


受付:「なるほど、流石に荒事が多いな」
    (納得した様に頷き、書き進めていく)

エル:「他には外周区で妖魔達との戦争で死神さん…て通じないか。
    『血化粧の死神』ヴェガさんと背中合わせて最前線で戦ったっけ。
    魔導器から生まれた騎士っぽいのとかと戦りあったり、行き着けの酒場内の面子で行われた
    武道会に参加 したり…あー、うん、優勝は出来なかったけど、決勝までは行ったよ。
    俺らの部門、人少なかったからね。まあ傭兵だけども、戦い以外のことも色々やってるよ。
    生きてく上で選りすぐりなんて贅沢なこと出来ないしねー。」

    (からからと笑いながら)

受付:「もっともだ。・・・ところで、その蒼い手甲は?」

エル:「と、これはねー…あ、さっきの仕事関連で言ってなかったなぁ。
    魔導器を巡って関係者を拉致した奴らがいたんだけど、それの救出作戦の仕事を請ける際の
    報酬として、少女からの誓いの品…かな。…俺らみたいな前衛にはありがたく、
    多少の魔法抵抗力があるみたい。…忘れちゃならない大事なモノ、だね。」

    (蒼い篭手をさすりつつ)

受付:「その背中のは・・・ああ。市販品のデスト・・・」

エル:「お!この剣に目を付けるとはお兄さんお目が高い!これはフランベルジュ、ていう剣を
    改良したものでね?その美しいフォルムからは想像も付かないキレ味と、その傷跡は
    ズタズタになって縫合すらままならない剣なんだけど、弱点として刃が欠けやすいんですよねー。
    それを魔銀で作成し、魔力付与して強度を上げてあるんだけど、どうですかどうですか!
    デザイン、機能性、破壊力!もう製作者の愛を感じますよね?いや、感じざるを得ない!
    いやー流石、数々の冒険者や傭兵を見ているだけあって目が肥えてらっしゃいますね!
    どうですか?今度剣の歴史や機能性、デザイン性など意見交換として丸一日話しません?
    いや、一日で足るかどうか…二日…三日…うぅむ。」

    (剣の事を聞かれれば相手の意見を潰すかの如く捲くし立てるように口を動かし 、
    最後は腕を組み思案顔)

受付:「…登録はこれで完了だ。貼り出してある依頼で気に入ったものがあったら申し込んでくれ。
    後、ここは色んな事情で本部じゃ受け付けられない依頼も受け付けることがあってな。
    その時は、白紙の依頼用紙を張り出しておくから、直接聞きに来るといい」

    (色々と反論する気力も失せた様子で、淡々と棒読みで決まり文句を言う)

エル:「あ、完了ですか?いやー、長々とすみませんねー。あ、剣に関する調査、仕事などありましたら
    どうぞエルディアス=イスト、エルディアス=イストを宜しくお願いします!それでは!」

    (真剣な面持ちで告げた後、ニッ、と一つ笑み。
     自分の中でお仲間さんが出来たことに喜びを感じつつ嬉しそうにギルドを後にした)

受付:「・・・承ったよ」

息をつくと、受付は書き上げた資料を登録者の冊子にまとめはじめた…

リューア=リネスの章

天聖暦1047年天静の月 千年都市ガウディ

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。

かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一人の男が訪れていた。
瞳は黒く、同じ色のつややかな髪は腰の辺りまで長くして首の後ろで結んでいる。
服装は簡素ながら質の良いものが多く、剣士然としたものであり、特に腰の独特な形状の曲剣が目を引く。

リューア:「んちわー。あれ、居ないのかな。あのー。登録に来たんですけどー 」
     (ギルドの扉を開き、ぐるりと室内を見回しながら奥にまで届くように声を飛ばして)

静かな室内に声が響く。やがて、奥からしゃがれた声が聞こえてきた。

受付:「ああ。じゃあ、悪いがカウンターまで来てくれ」

リューア:「ああ、すんませんね。大声張り上げちまって」
     (ギルド受付に軽く頭を下げ後、自己紹介に入る)

受付:「冒険者としての登録でいいんだな。・・・まず名前を聞かせてくれるか」
    (新しい用紙を手元に取り寄せて)

リューア:「リューア=リネスと言います。向こうギルドでは10年ちょっと前から
      仕事をもらってました。あちらでは護衛や荷物運び、遺跡調査やちょっとした
      事件手伝いを主に受けていました。特に、身体を張る仕事にはよく手を上げてましたよ」

受付:「リューア=リネスと。・・・これまでにはどんな仕事を?」
    (名前を書き込むと、近くの資料を手元に引き寄せてみている)

リューア:「そうですね。有名どころでは、クールニクスや化粧都市の探索に参加しました。
      後は、王都行きの荷物の護衛に……ああ、宵闇んときには太陽の聖殿なんてところに
      もぐったこともありましたね。妖精の国に行ったなぁ。あっ。まだ鼻垂れん時は
      山賊退治に出向いて、鼻ひん曲がるような汚い山賊親父に押し倒されたことも
      あったんですよ。あれは苦い思い出だなぁ。後は血霧とか煤とか、そういうのにも
      首を突っ込んだことがありましたね。それから……昔の話になりますが、センティア奪還時に
      傭兵として戦場を一度経験してます。ああ、血なまぐさい話で申し訳ないんですが」

     (指を折りながら、それぞれの仕事・事件の断片を引っ張ってくる。
      最後の話は、いくつもの感情を重ねた複雑な表情を浮かべながらわずかに早口に話し終える)

受付:「なるほど、確かに身体を張る仕事が多いようだな。・・・その得物は?」
    (さらさらと書き上げると、腰の曲剣を指す)

リューア:「こいつですか?ちょっと話が長くなるんですが、あ、もちろん短くしますよ」
      (腰から鞘を抜き、受付の前で抱えるように見せて)

受付:「・・・ああ、よろしく頼む」
    (何かが蘇った様で深く頷く)

リューア:「こいつは仕事の流れで譲り受けたんです。打った方はすでに亡くなってましてね。
      ご家族にとっては形見なんですが、なんの因果か私が使わせてもらっています。
      しかも、かなり独特な製法で、今ではもう失われてしまった技術のようです。
      んなわけで、あまり見ない得物ではあるんですが」

     (鞘から抜き、ほんの少し刀身を見せる。刀身がキラリ)

受付:「まさか”刀”か・・・?まだ残ってたとは・・・」
    (少し身を乗り出して眼鏡をかけなおす)

リューア:「ぉっと。危ないですよ〜。こいつ、とてもよく切れるんです。不用意に触ろうものなら、
      指の二、三本、すぱっ!といっちゃいますよ?」

      (ひょいっと遠ざけて、おどけたように笑う)

受付:「はは、そいつは剣呑だな」
    (書類に新たな項目を設けて記している)

リューア:「さて、こんな所ですか。他に何かありますかね?」
     (馴れた手つきで刀身を収め、腰に差す)

受付:「ああ、登録はこれで完了だ。貼り出してある依頼で気に入ったものがあったら申し込んでくれ。
    後、ここは色んな事情で本部じゃ受け付けられない依頼も受け付けることがあってな。
    その時は、白紙の依頼用紙を張り出しておくから、直接聞きに来るといい」


リューア:「わかりました。それじゃ今後ともお願いしますよ」
      (受付の言葉に何度か頷き、最後に軽く頭を下げて、ギルドを後にする)

受付:「・・・『朱の舞踏者』か。本人にとっては、必ずしも心楽しい二つ名ではないのかもしれんな」

呟くように言うと、受付は書き上げた資料を登録者の冊子にまとめはじめた…

シェーン=ドゥルキスの章

天聖暦1047年天静の月 千年都市ガウディ

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。

かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一人の女性が訪れていた。
ダークブラウンの髪はショートカットにして、大き目の瞳は黒。表情、雰囲気から生真面目そうな印象を受ける。
腰には細身の剣を提げ、小柄な身体には闘士らしい動きやすそうな軽装を着けている。

シェーン:「冒険者ギルド・・・ここでいいようだけど・・・」
      (やけに大雑把に書かれた地図と看板を睨めっこしながら、扉の前に佇んでいる)

場所は市街地であり、入るのを躊躇しかける雰囲気ではある。

シェーン:「えーと、失礼します・・・」
     <ギルドにしてはずいぶん静か・・・>

      (地図をおもむろにしまうと扉をゆっくりと開け、中の様子をうかがいながら入ってみる)

中はとても静かで、設備は揃っているものの、依頼人の姿も冒険者の姿も見えない。

受付:「・・・依頼を受けに来たのかい?」
    (カウンターから呼びかける)

シェーン:「あ、こんにちは。えっと、冒険者登録を希望している者なんですが・・・」
      (男性の声に気付くと、受付の方に近づいていき登録に来た旨を伝える)

受付:「じゃあ、名前から聞かせてもらおうかな」
    (新しい書類を引き寄せる)

シェーン:「シェーン=ドゥルキスといいます。職業は傭兵・・・といってもまだまだ未熟ですが。」
      (やや謙遜しつつ自己紹介) 
 
受付:「シェーン=ドゥルキスと。・・・これまではどんな仕事を?」

シェーン:「えーと確か・・・初めて受けさせていただいたのは、確か引越しのお手伝いだったかと。
      ええ、酒場の知人に誘われて。ガウディから数日離れた町まで荷物を運んだり、
      荷馬車の世話をしたり、炊き出しの手伝い・・・もあったでしょうか。
      まあ、傭兵らしい仕事ではないですけど、楽しい経験でしたよ?」

      (当時のことを思い出しながら、どこか楽しげにゆっくりと話し始める)
受付:「町から町へか。えらく遠い引越しだったんだな」
    (頷きながら)
シェーン:「他には・・・港の倉庫の火事騒動を解決したり・・・確かこれはサラマンダーが
      原因だったかと。もちろん、完全に退治いたしました。
      それと共同墓地のゾンビ騒ぎの調査・・・まあ、少々てこずった仕事でしたけれど。」
      (ゾンビ騒ぎ調査のところで一瞬、明るかった表情が曇るが、すぐに元に戻って
      話し始める。しかし口調はどこか歯切れが悪い)

受付:「ゾンビか、ありゃやっかいそうだからな」
    (ペン先を進めていく)
シェーン:「後はどこだったかの村長のお嬢さんの誘拐事件とか、護衛の仕事もいくつかありましたね・・・
      ある貴族の方の護衛のときは村を襲ってきたゴブリン群団の退治ももれなく付いてましたが。
      まあ、それも特に問題もなく片付きましたね。」
      (再び元の口調に戻り、手を顎に当て思い出しながら話していく)

受付は頷きながら書き進めていく。
シェーン:「それと、第三次外周区の攻防戦もありましたか。本格的な戦争に参加するのはあれが
      初めてでしたから・・・さすがに不安もありましたが。私は右翼で戦わせていただいたんですが、
      まあなんとか妖魔の軍を蹴散らして生き残ることはできましたね・・・。」
      (感慨深げに思い出している)

受付:「なるほど。傭兵と戦争は切っても切れないからな」
    (ペン先を書類に滑らせていく)
シェーン:「大きな仕事で思い出せるのはそんなところですねぇ・・・。これでよろしいでしょうか?」
      (じゅうぶん話し終えた後、一息ついて受付に問いかける)
 
受付:「ああ、登録はこれで完了だ。貼り出してある依頼で気に入ったものがあったら申し込んでくれ。
    後、ここは色んな事情で本部じゃ受け付けられない依頼も受け付けることがあってな。
    その時は、白紙の依頼用紙を張り出しておくから、直接聞きに来るといい」

シェーン:「あ、ありがとうございます。
      では、またお仕事を請けさせていただく機会がありましたら、よろしくお願いします。」
      (受付に丁寧に一礼すると、その場を立ち去っていく)
受付:「ああ、その時はよろしく頼むよ」

言うと、受付は書き上げた資料を登録者の冊子にまとめはじめた…

リオット=イファーの章

天聖暦1047年天静の月 千年都市ガウディ

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。

かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一人の男が訪れていた。
高位の魔術師が身に着けるローブや帽子を身に纏い、手には杖を手にし、いかにも魔術師然としている。
外見的には中肉中背で、顔立ちなども目立たない感じであるが、直立した黒い前髪が特徴的である。

リオット:「失礼しますね。・・・へぇ、趣のある所ですね。」
      (ふらりと現れ、ゆっくりと周囲を見渡す)

森閑とした室内を眺めていると、カウンターの奥からしゃがれた声がした。

受付:「依頼を受けに来た冒険者かい?」

リオット:「あぁ、始めまして。登録が必要との事ですのでね。
      ま、登録して管理することが重要なのは冒険者も魔術師も、一緒ということですか。」

      (受付の前まで歩いてゆく)

受付:「全くもってその通りさ。・・・名前から聞かせてもらおうかな」
    (新たな書類を脇から取り寄せながら)

リオット:「名前ですか?リオット=イファーと申します。36になったおっさんですね。
     職は魔術師・・・と言えばいいのですかね。イマイチ真っ当な職には感じませんけど。」

     (少し肩をすくめつつ、息を吐き出す)

受付:「ここじゃあ一番真っ当な職の一つさ。・・・これまでにはどんな仕事を?」
    (名前を聞くと、首を傾げて資料を引き寄せ見ている)

リオット:「仕事ですかねぇ・・・それこそ幾つかこなした様なこなしていないような。
     まぁ思いつくままあげていきますよ。」

     (中空を見上げ、少し考える素振りをする。)

長くなりそうな雰囲気を感じたのか、受付は幾枚かの紙を用意している。

リオット:「最初はバカ貴族様に見初められた歌姫を歌姫ご自身の家族の下に送り届ける、
      と言う事を行いましたね。ザッチム、という女性でそれはとても美しい女性でしたよ。
      惚気はそれくらいにして他にはライミ山へ行きましたし、ネティアの神殿にも向かいました。
      後は・・・珍しい『刀』、と呼ばれる曲刀を作り職人に出会いました。
      ゴブリン達と戦ったこともありましたね・・・。
      後はアクアメタルという水に浮く非常に珍しい金属を手に入れたこともあります。
      そこで、この魔術書を手に入れたんですよね、確か。
      サーゲ・オ・ルーグ第2皇女・・・第3だったかな?その様な貴族様を護衛した覚えもあります。」

      (おぼろげな記憶を中空を見ながら思い出すように言葉を繋げてゆく)

受付:「歴々たるもんじゃないか・・・ところで魔術書とは?」
    (時折息をのみながら書き連ね、ふと尋ねる)

リオット:「ファイアーボールと呼ばれる上級魔術について書かれた物のようです。
      あまり公にすると接収されちゃうので口外してませんけどね。
      手に入れてから長年研究していますが・・・自分の物にするのは難しいようですね。
      そういえばそのときに他に禁術『ポリモルフ』というのも見つけましたし・・・
      エンシェントブレードとかいう剣も見つけたかな・・・
      ポリモルフはその時同行した神官さんが持っていってしまいましたね。
      エンシェントブレードは同じく、その時同行の剣士さんが持っていってしまいました。」

受付:「・・・そうか、それは書かないでおこう。他には何か?」
    (公にしていないと聞いて記述の手を止め、改めて問う)

リオット:「その他として・・・血生臭くなりますが雪村に向かい、炎が凍る氷結石・・・でしたかね。
      それを手に入れ氷狼と戦ったこともあります。センティア奪還に戦線に立ったことも。
      血霧とよばれる生命体と決戦を行ったこともあります。
      雪にまみれたガウディでは精霊の力を得たバカと戦いました。
      最後は・・・超高次生命体・・・ノーブルスカーレッドの女性・・・
      少女と行ったほうがいいのかもしれませんけど。とある冒険者の依頼でその方を助けに。
      今でも夢かと思いますが、この服がその証拠なのでしょう。」


受付:「『夜の貴族』の事か・・・助けに?・・・その服は?」
    (理解の範疇を超えているのか、ただ聞いてみている)

リオット:「その女性を助けに、という仕事で得たものです。あれは・・・過去だったんですかね、
      遥か遠い神話ともいえる程の過去。 今とは違う文明の栄えた時代です。
      変な格好といわれましてね、その服をいただいたのです。」

      (懐かしむようにふっ、と微笑む)

受付:「・・・現代では見ないデザインというか・・・まあ、地味だな・・・」
    (何となく感想を述べてみている)

リオット:「すごい体験でしたよ。そして後悔を残した体験でした。
      最後のあの時、なぜ魔術を使わなかったのか・・・とね。
      私は魔術師ですから、頼るものはそれしかないのに。・・・と、失礼。
      歳をとると愚痴っぽくなっていやですねぇ。」

      (苦笑を浮かべ、謝罪する)

受付:「・・・いや。しかし、それだけの事をしていれば名がありそうなものだが」
    (”早分かりガウディ二つ名辞典’1047版”を閉じたり開いたりしている)

オット:「長い事向こうで仕事させて頂いてますが二つ名はありませんよ。
      詰めが甘いのかも知れませんねぇ・・・有名にならない方が便利ではありますけど。
      長くなって申し訳ありませんが、これで宜しいでしょうか?」

      (受付に確認の言葉をかける)

受付:「・・・ああ、登録はこれで完了だ。貼り出してある依頼で気に入ったものがあったら申し込んでくれ。
    後、ここは色んな事情で本部じゃ受け付けられない依頼も受け付けることがあってな。
    その時は、白紙の依頼用紙を張り出しておくから、直接聞きに来るといい」


リオット:「それでは御機嫌よう。・・・さて、あの店にでも入ってみますかね・・・・」
     (ゆらりと体を動かしながらその場を後にする)

受付:「うーん・・・どこかにありそうなもんだが」

    (見送ると、辞典を隅から隅まで眺め始める)

事務職員:「・・・まだそんなものに頼ってるんですか?主任」
       (運んできた茶をカウンターに置く)

受付:「いや・・・話を聞くだに、二つ名のひとつもないのは驚きだなあ、とね」
    (言い訳しながら茶をすする)

事務職員:「リオット=イファーといえば、学院でもギルドでも知らない者はいない程の著名人ですよ。
       主任が彼の名前を知らない事の方が、よっぽど驚きです」

       (言い捨てて歩き去っていく)

受付:「・・・」

去り行く背を力なく見送ると、受付は書き上げた資料を登録者の冊子にまとめはじめた…

ブラム=シャドウの章

天聖暦1047年天静の月 千年都市ガウディ

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。

かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一人の少年が訪れていた。
褐色の肌に、銀色の髪。青い瞳を横切るようにタテゥーが走っており、精悍な印象を受ける。
身に着けるものは動きやすさを重視した簡素なもので、鉄拳を見るに格闘家であると知れる。

ブラム:「こんにちわ!冒険者ギルドの登録って…ここでいい?」
    (室内を眺めながらカウンターへ歩み寄る)

受付:「ああ、頭に旧がつくが、ここでもやってるぞ。・・・名前から聞かせてもらおうかな」
    (登録用紙を脇から取り寄せながら)

ブラム:「えっと…ボクの名前はブラム=シャドウ、15歳、師匠から習った格闘技が使えるよ」
     (古ぼけたアイアンナックルを見せ)

受付:「ブラム=シャドウと。・・・これまでにはどんな仕事を?」

ブラム:「コレまでの経験は…えっと…無くて、旅をしながら修行してたんだ…。
     経験無いと、やっぱりだめかな…?」
    <覚えてないって言うより…たぶんイイよね…。>

    (不安そうに初老の男を眺めて)

受付:「ん、登録そのものが初めてなのか?」

ブラム:「これからドンドン活躍して、立派な冒険者になるから御願いっ!」
    (恥なんて物は掻き捨てて頼み込む)

受付:「経験なんぞ最初は誰にもないに決まってる。これからしっかり働けよ」
    (登録用紙を書き上げる)

ブラム:「やったぁ!オジサン大好きーっ!お名前教えてよっ!」
    (飛びつかんばかりの満面の笑顔で)

受付:「い、いや別に名前はいいだろ」

受付は咳払いをすると、告げた。

受付:「登録はこれで完了だ。貼り出してある依頼で気に入ったものがあったら申し込んでくれ。
    後、ここは色んな事情で本部じゃ受け付けられない依頼も受け付けることがあってな。
    その時は、白紙の依頼用紙を張り出しておくから、直接聞きに来るといい」


ブラム:「頑張るからねーっ!よろしくねーっ!」
    (慌しく去っていった。)

事務職員:「初々しくていいですねえ」
       (駆け去る姿を眺めて)

受付:「・・・君にもあんな頃があったんだがなあ」
    (ぼそぼそと口の中で呟く)

事務職員:「何かおっしゃいました?」
       (スッと振り向く)

受付:「い、いや、私にもあんな頃があったなあ、ってな」

慌てて言うと、受付は書き上げた資料を登録者の冊子にまとめはじめた…

レオ=ウィンダムの章

天聖暦1047年天静の月 千年都市ガウディ

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。

かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一人の男が訪れていた。
風になびく金の髪に、細い目からのぞく深緑の瞳。鍛え上げられた肢体は細く若々しい。
身には現代では見られない形状の胸甲を着け、マント留めには片足飛翔流の紋章が見える。
肩には緑色の鞘に納まった大剣が担がれており、並ならぬ気配を漂わせている。

レオ:「…ん、ここだな。」
   (表札を見上げた顔を戻しながら剣を肩に担いで静かに入ってくる)

室内は特に冒険者や依頼人の姿は見えず、静かな空間だ。
やがて、奥のカウンターからしゃがれた声がした。

受付:「依頼を受けに来た冒険者かい?」

レオ:「いえ、先に登録をしてもらいに来ました。FFG本体以外からもご飯のネタがもらえるかと思ってね」
   (受付へ向かい、剣を手元に下ろして近い人に笑顔と声をかける)

受付:「登録だな。じゃあ、名前から聞かせてもらおうかな」
    (新たな用紙を引き寄せながら)

レオ:「名前はレオ=ウィンダム。冒険者。主に剣を使ってるから、剣士ってヤツですかね」
   (手元の剣を軽く持ち上げ)

受付:「ミッドナイトガルムのレオ=ウィンダムか。・・・これまでにはどんな仕事を?」
   (さすがに辞典をひくまでもないようだ)

レオ:「ケイレキ…としては、そうですね。初仕事で卵運びしたすぐ後にバレート会戦に行って、
    皇狼さんがアンウィル攻めた時に守りに行って、船乗りの島で貴族っぽい何かを倒すのをお手伝いしたり、
    魔獣のリツァーリやグリフォンと戦ったり、1028年にゃ街道補修の護衛をした後
    直接センティア奪還戦争に向かって、常闇の頃はミッドナイトガルムに混ざって南区門を開放したり
    親玉みたいなの倒したり、外周区警備と講習したり、妖魔の基地を焼き討ちしたりしました。
    他にも外周区でデュラハンやダークエルフと戦って地面が腐らせるのを防いだり、
    雪が止まなくなった頃は外周区警備の冒険者隊リーダーみたいなことをして…って、
    待った、傭兵さんみたいな仕事ばっかりだな」

   (指折り挙げながら考え込む)

受付は頷きながらペン先を紙面に走らせている。

レオ:「そう、遺跡はネス山やクールニクス、ネティアの遺跡に行って都市の崩落にも立ち会ったし、
    タフェン砂漠には二度行きましたかね。一度はサンドワームに潰されかかって危なかったなあ…
    あと緋色の迷宮と、何とかって盗賊の作った遺跡と、確かリオン沖だったと思うんですが、
    そこの遺跡でアクアメタルって鉱石をとりに行きましたね」

    (コレね、とアクアメタルを見せつつ)

受付:「ほう、 冒険者らしい事もしてるじゃないか」
    (書き進めていく)

レオ:「あとはまあ、護衛とかを主に。ポイズンジャイアントの相手をしたこともあります。
    ん〜…あとはどうも思い出せないんですね。
    …それぞれの詳細は話すと日が暮れるから良いですよね?」

   (苦笑して頭を掻く)

受付:「そうだな。・・・ところで、その剣は?」
    (書く手を止めると、担いだ大剣を示す)

レオ:「これ?これは、鍛冶屋さんで打ってもらった特注品でして。焔鉄って言う材質でできていて、
    霊体も斬れるようにマホウをかけてもらってます。斬れない相手は怖いですからね」

    (緑色鞘の大剣を軽く持ち上げて見せ)

受付:「なるほど、怖いもんなしだな・・・その鎧も見ない品だが」
    (書き記しながら鎧にも目をとめる)

レオ:「こっちは八国戦国時代の品だって話です。ホラ、十何年か前に七星魔剣がオークションに出されて
    話題になったことがありましたよね。その時に競り落とした品なんですよ。何と銀貨180枚」

    (マントを軽く払って手で撫でる)

受付:「そういえば、そんな事もあったな」
    (頷きながら書き記している)

レオ:「こんなトコですかね。とりあえず今日は登録に来たんで。よろしくお願いします」
    (人当たりの良さそうな笑顔と一礼を向け、静かに出て行く)

受付:「ああ、登録はこれで完了だ。貼り出してある依頼で気に入ったものがあったら申し込んでくれ。
    後、ここは色んな事情で本部じゃ受け付けられない依頼も受け付けることがあってな。
    その時は、白紙の依頼用紙を張り出しておくから、直接聞きに来るといい」


言うと、受付は書き上げた資料を登録者の冊子にまとめはじめた…

トーマ=ザルヴィッシュの章

地吼の月 千年都市ガウディ

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。

かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一人の男が訪れていた。
すらりと背が高く、黄緑の髪は腰まで伸ばし、深緑の瞳は物静かな光をたたえている。
尖った特徴的な耳から、種族はエルフと知れる。左の頬にペイントされた古代文字が特徴的だ。

トーマ:「…御免下さい。」
    <…ここ…でよろしいのでしょうか…。>
    (扉をゆっくり開けて、中へと入り)

静かな室内を見回していると、やがて奥からしゃがれた声がかけられた。

受付:「依頼を受けに来た冒険者かい?」

トーマ:「依頼を請けるにはこちらでも登録を行う必要があると伺いまして、
     失礼させて頂いたのですけれども…。」

    (視線を建物内部に巡らせ、応対されればにこっと笑んでお辞儀をする。)

受付:「ああ、それじゃ悪いがこっちに来てくれ。・・・まず名前から聞かせてもらおうかな」
    (脇から新たな登録用紙を引き寄せながら)

トーマ:「私はトーマ=ザルヴィッシュと申しまして魔術を扱う者です。
     あぁ、 霊薬の作製や古代語の解読も分野でしょうね…。」

    (訊かれた事に頷き、答える。)

受付:「トーマ=ザルヴィッシュと。・・・これまでにはどんな仕事を?」
    (名前を書き込みながら)

トーマ:「これまでは…左様ですね、酒場のマスターに頼まれて別の酒場のマスターへ
     お酒を届けたり、街の路地で妙な薬で変化した方を相手にしたり、いつぞやの
     長雨の折には河川の補修工事のお手伝いをして不思議な少女と出会ったり、
     高級そうなレストランのヘルパーをしたり、またある日の路地ではインプを
     追いかけたり、港の方で出たという漆黒の双頭犬を相手にしたり…。」

    (つらつらと述べ始め、双頭犬の所で少し黙る。)

受付は先を促すように頷きながらペン先を進めていく。

トーマ:「あ、えぇと他には、”紅姫”と呼ばれるリーリエさんという歌い手が落とした指輪を
     下水で捜して封じられているらしいグリーンスライムを相手にしたり、港外れの倉庫に
     監禁されてる方の救出をお手伝いしたり、魔導器で人々の力を奪う者と接触したり、
     とあるお屋敷で作られた三つ首狼の戦闘データを取る為の相手をしたり…、
     当時の複数の子ども誘拐事件と絡んでいたのですがお子さんが行方不明という事で
     捜して犯行グループの一部の相手をしたり、ガウディ内ではそういった感じですね。」

     (またある場所で言葉を切ったが、その前よりも早く話を再会し)

受付:「ほう、魔導器とはまた物騒だな」
    (ふむふむと頷いて書き進める)

トーマ:「街の外ではセームという村の依頼でローブゴブリン等を相手にしたり、パルマディア
     商家の方の依頼で別宅の様子−これまたゴブリンが居ましたね−を見に行ったり、
     鍛冶職人の方の鉱石買い付けの馬車護衛と目的の村で丁度発生した鉱山事故の
     鉱夫救出のお手伝いをしたり、グランブルー商会の方の依頼でとある村の祭事の
     お手伝いで祭器を作ったり…といった所でしょうか。」

     (終わりの合図に一つ頷いて見せる。)

受付:「なるほど、なかなかのもんだな」
    (軽く息をつく)

トーマ:「申し訳ありません、お疲れのようですのに長々とお話してしまったでしょうか。
     …懐かしくもあり、哀しくもあり…色々思い出したようで…。」

    (詫びて頭をぺこっと下げ)

受付:「ん?なに、これが仕事だからな」

受付は軽く自分の肩をもむと、ひとつ頷いて告げた。

受付:「登録はこれで完了だ。貼り出してある依頼で気に入ったものがあったら申し込んでくれ。
    後、ここは色んな事情で本部じゃ受け付けられない依頼も受け付けることがあってな。
    その時は、白紙の依頼用紙を張り出しておくから、直接聞きに来るといい」


言うと、受付は書き上げた資料を登録者の冊子にまとめはじめた…

リーヴェ=ラオンの章

天聖暦1047年天静の月 千年都市ガウディ

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。

かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一人の女性が訪れていた。
深緑の瞳に深紅の長髪。体格はドワーフのものだが、特徴である鬚はきれいに剃ってしまっている。
動きやすそうな服装に身をつつみ、腰の両側に曲剣をたばさんでいる。歩き方といい、どこか粗野な雰囲気がある。

リヴィ:「ここが旧、か。……本当にやってんだろうな?」
    (あまりの周囲の寂れように呆れつつ、とりあえず看板を信用して扉を開き中へ)

中はさらに寂れた様子であり、疑問は一層膨らんだ事だろう。

リヴィ:「よぉ、入るぜ!…本部のほうから、依頼受けるならこっちも登録しとけって言われたんだが……」
    (笑顔で扉を開け放ち、ギルド内を見回してからカウンターに歩み寄って)

受付:「登録か、じゃあ悪いがこっちまで来てくれ。・・・まずは名前から聞こうかな」
    (新しい用紙を手元に引き寄せつつ)

リヴィ:「リーヴェ=ラオンだ。ま、大体リヴィだけどな。傭兵をやってるぜ」
    (名を問われればそう答え)

受付:「リーヴェ=ラオンと。・・・これまではどんな仕事を?」
    (用紙に名前を書き込みつつ)

リヴィ:「ちょっと待てよ。思い出すから。 ……あー、アレだ、ガウディ来たての頃さ。
     なんか荷馬車の護衛をしたわな。 地下水路に沸きやがったでけぇ蜘蛛を潰したりさ、
     私はドワーフだが地下は嫌いだぜ、 依頼じゃなきゃぁ二度とあんな場所に入りたくないね。
     ――あ、こっちの話だ。金さえ入れば基本的に何でもやるぞ?」

    (一度溜息をつき、言葉を切って)

受付:「はは、そりゃ変わってるな。・・・他には?」
    (ペン先を進めながら)

リヴィ:「あとは……なんだっけ?大量の骸骨どもとやり合ったなぁ。
     ま、この通り生きて帰ってんだけどさ。次。ガウディに大雪降った時あるだろ、
     そん時は雪掻きに参加してたんだぜ。意外と慈善的だろ?」


あの時はひどかったな、といいつつ受付は用紙を書き上げた。

受付:「登録はこれで完了だ。貼り出してある依頼で気に入ったものがあったら申し込んでくれ。
    後、ここは色んな事情で本部じゃ受け付けられない依頼も受け付けることがあってな。
    その時は、白紙の依頼用紙を張り出しておくから、直接聞きに来るといい」


リヴィ:「よし、終わったか?じゃあ私は飯を食いに行くからな。あとはよろしく頼むぜ」
    (ひらひらと手を振って、ギルド内から姿を消す)

それを見送ると、受付は書き上げた資料を登録者の冊子にまとめはじめた…

ユーリの章

天聖暦1047年天静の月 千年都市ガウディ

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。

かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一人の少年が訪れていた。
長い黒髪に紅と金の異色を放つ瞳、中性的で端正な顔立ちだが、陰気な表情がそれを暗く彩っている。
小柄で痩せた身体には古びた胸甲と槍を手にし、どこか敗残兵めいた雰囲気である。

ユーリ:「……?」
    <…旧…まぁ、あるからには機能しているのだろう…>

    (旧ギルドへと入っていく)

踏み入れた屋内はさらに暗く、どこか旧という名に相応しい雰囲気ともいえる。

ユーリ:「…冒険者…或いは傭兵向けの仕事を探しているのだが……。
     今、どのような仕事があるだろう?」

     (職員らしき人物を探し質問)

受付:「ここで仕事を請けるのは初めてか?だったら、まず登録してもらわんとな」

ユーリ:「…登録…か…。数年前は身元を明かさなくとも使われることもあったが……。」
    <…私あたりの下っ端冒険者どもの評価は『如何でも良い』
     から『信用できない』と変わったか…?>

    (受付の言葉と自身の考えに納得したように、つまらなそうに頷き、自己紹介を始める。)

受付:「最近はそうもいかんのさ。ご時世ってやつでな・・・名前は?」
   (新しい用紙を脇から引き寄せつつ)

ユーリ:「…ユーリ…。」
    <…もうひとつの姿は…黙っていたほうが便利かも知れんな…。>
    (ぽつり、と、名前だけ名乗る。)

受付:「ユーリと。・・・これまではどんな仕事を?」
    (短く名前を欄に書き込み)

ユーリ:「先ほども言ったようにこの町で使われたことはある。
     ゴブリン退治が二度…下水探索、こそ泥拿捕の張り込み、
     誘拐された赤子の奪還が一度…。」

     (軽く記憶をたどりぽつりぽつりと答えていく。)

受付は頷きながらペン先を滑らせていく。

ユーリ:<…『仕事』だからこそ…これも話すべきか…。>
    「…骨肉店の殺し損ないの鼠退治…失敗。
     …冒険者狙いの辻斬り逮捕…失敗…。」

    (淡々と無表情に続ける。)

受付:「なるほど、律儀だな」
    (感心したように頷きペン先を進める)

ユーリ:<…他は『仕事』…ではない……。>
    「……以上…。」

    (単に巻き込まれただけの事件を省く。もう思い出せないので締めくくった。)

受付:「では、登録はこれで完了だ。貼り出してある依頼で気に入ったものがあったら申し込んでくれ。
    後、ここは色んな事情で本部じゃ受け付けられない依頼も受け付けることがあってな。
    その時は、白紙の依頼用紙を張り出しておくから、直接聞きに来るといい」


言うと、受付は書き上げた資料を登録者の冊子にまとめはじめた…

リリィ=リル・リロス・リロード・シトローエンスの章

天聖暦1048年 銀光の月 千年都市ガウディ

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。

かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一人の「少女」が訪れていた。
小柄な姿に暗灰色のフード付きローブを纏い、その繊手にはヴァイオリンのケースを提げている。
彼女の歩き過ぎた後には仄かな香が漂い、通り行く人々はそこに在る筈の無い花の姿を目で探すのだった。

リリィ:(控えめな軽い足音。少しあたりを見回した後、まっすぐ奥のカウンターへ向かう。
    人の姿を見つければフードを脱ぎ落として白く硬質な仮面をさらして見せる。
    白と黒と灰色で構成された姿に小さく整った唇と冷えた指先、髪に留めた飾り紐の赤さが目立つ)

受付:「!…」
    (不意をうたれ、思わず椅子の脚を鳴らす)

リリィ:「登録させて」
    (相手へ仮面の視線を向けたまま銀鈴のように声を響かせる)

受付:「あ、…ああ。…冒険者の登録だな」

受付は改めてリリィの姿を見直すと、ひとつ咳払いをして新たな書類を手元に引き寄せる。

受付:「じゃあ、名前から聞かせてもらおうかな」

リリィ:「…リリィ。リリィ=リル・リロス・リロード・シトローエンス=フォン=ファルスタ ッフ。
     …フォン、からは書かないで。……貴方が知っていてくれるなら、それでいい」

    (リロード、まで相手が書き留めたタイミングで腕を伸ばし、その手に触れてペンの
    動きを止めようとする。書く手を止めてくれるならすぐに手を離して半歩ほどさがる。
    風が動けば微かに香水めいた香りがするかもしれない)

受付:「!…わ、分かった。シトローエンス、まででいいんだな」
    (冷えた感触に、凍りついたように書く手を止めて、慌てて頷く)

リリィ:「…ありがとう」

受付は言われた通り、名前の所をシトローエンスまで記入し、顔を上げた。

受付:「ところで、これまでにはどんな仕事を?」

リリィ:(経験があるかと聞かれればうなずいて)
    「演奏と呪歌……『原始黙示録』とか…伝承を集めてるから古代語も読める…」
    (ヴァイオリンケースを両手で抱え、わずかに小首をかしげる。
     夢見るように唇を薄く開き、流れるような言葉を紡いで)

受付:「げ、原始…?…ふむ、吟遊詩人なんだな。他にはあるかい?」
    (何か歌のタイトルと思ったのか、そのまま書き連ねていく)

リリィ:「盗人の捕獲、事件の調査、地下水路の探索、アンテッドの鎮魂、身辺警護…
     ガウディの外へは護衛やお使いで…ライミ山、アンウィル、シーポート、センティア、
     ヴォンジア、タミンガルト…サーゲオルーグ…王都陥落時の王女護衛も…化粧都市…
     古代遺跡や貴族の城にも二度か三度……ファルクス城…それとクルーニクス…」


受付:「…驚いたな、歴戦の勇士じゃないか」
    (外見とは程遠い感想をもらしながらペン先を進めていく)

リリィ:「レースフラワー…竜弦の音と…過去の幻影…神滅の日…封じられた『シグルド』と千年の眠り…」
    (様々なものを見た。揺れるランプの明かりを仮面に受け、歌うように、ささやくように、
    小さな声で過去を綴る。しかし相手には伝わらないだろう言葉を自覚してか、声をとぎれさせて沈黙)

さすがに、受付はそれらに関しては単語的な記入で済ませているようだ。

受付:「しかし、随分前の話もあるようだな。見たところ十代半ば以上には見えないが…」
    (耳などを見て種族的なものも確認しながら、疑問を呈する)

リリィ:(相手の疑問には答えず、逆に問い返すように小首をかしげ片手を自分の胸に触れさせる動作で視線を誘う)
    「…経験不足?」

受付:「い、いや、そうは言っていないが」

リリィ:「…聴いてみる?」
    (机の空いたスペースに手にしていたケースを置く。留め金に手をかけ蓋を持ち上げようとして)

やや心配そうな顔をしながらも、受付はひとつ頷いた。

リリィ:「…呪歌じゃないから安心して」
    (弓を張り弦を弾いて軽く調音を行う。黒髪を背に流し取り出したヴァイオリンをぴたりと構え…
     二呼吸のちに明澄な一音で始まる音曲は、無限の階調からなる冷えた青を感じさせる。
     冬空の情景を歌った無伴奏ヴァイオリン・ソナタの一楽章)

いつの間にか事務職員や、施設内にある記録ギルド分室の2人も姿を見せて、演奏に聞き入っていた。

リリィ:(最後の音が消えて十数秒のちに弓を降ろしていく。静寂を乱さない静かな口調で)

演奏が終わると、ぱらぱらと聴衆の間から拍手が鳴る。

リリィ:「…気に、入った?」

受付:「あ、ああ。数年やそこらで出せる音じゃない事は良くわかったよ」

リリィ:「…」
    (仮面をうつむかせ、丁寧にヴァイオリンと弓とをケースへ収めていく)

受付:「呪歌はどんなものを?…いや、これは登録とは関係ないんだが」

リリィ:「平気」
    (うなずいてペンを受け取る。インクのついたペン先を紙面へ滑らせ、
    自らが使える呪歌のいくつかを丁寧に書き留めていく)

受付:「『月光』を奏でられるのか…」
    (項目のひとつに視線を留め、うなる)

受付は、ふと気付いたように視線をリリィに向けた。

受付:「ところで、フォン…とつくからには、貴族なのだろう?
    いや、ここに登録している冒険者の中にもいるが…何故こんな仕事を?」


リリィ:「…」
    (ヴァイオリンケースを抱えたまま黙り込む。無機質な仮面の下、淡い桜色をした唇を
    閉ざして考え込むかのような沈黙を数秒)

受付にとっては長い数秒だったろう。さすがに何となく身じろぎしている。

リリィ:「家計が厳しいから」
    (棒読み口調でぽつりと答えて、納得しただろうかと相手の表情を伺うように見返す)

受付:「そ、そうだよな。今のご時世じゃな」
    (急いで言い、慌てて頷く)

それからしばらく受付は言いにくそうにしていたが、やがて口をひらいた。

受付:「ところで、その仮面は…?」

リリィ:「傷があるから。…見たい?」
    (寒さで少し赤くなった指先を目許を覆う仮面に触れさせて、淡々と答える)

受付:「い、いやそういう事ならいいんだ。中を見たいって訳じゃない」

リリィ:「…」

受付は再びせきばらいをすると、頭部を装飾するもう一つのものを指摘した。

受付:「ところで…その髪飾りは?…見たことの無いような造形だな」
    (吸い寄せられるように髪飾りに視線を向けて)

リリィ:(指摘を受けて思い出したかの様子で銀の飾りに白い繊指を触れさせる)
    「貰い物。…ずっと昔の」

受付:「ふむ、貰い物…か」
    (納得したような微妙な表情で頷き、とりあえずペン先を進める)

やがて、必要事項で埋められた書類を見やって、受付はペンをペン立てに戻した。

受付:「では、登録はこれで完了だ。貼り出してある依頼で気に入ったものがあったら申し込んでくれ。
    後、ここは色んな事情で本部じゃ受け付けられない依頼も受け付けることがあってな。
    その時は、白紙の依頼用紙を張り出しておくから、直接聞きに来るといい」


リリィ:(理解した、というようにヴァイオリンケースを抱えてうなずきを見せる)
    「もう…おしまい?」

受付:「ああ、完了だ」
    (ひとつ頷いてみせる)

リリィ: 「…そう。じゃあ…さようなら」
    (涼しげな声音と仄かな香りを残し、ドアを押し開け外へと出て行く)

受付はそれを見送ると、軽く息をついてハンカチを取り出し、額を拭った。
どちらかといえば冷え込む室内での、その行為に首を傾げつつ、分室のルヴィが近づいて来る。

ルヴィ:「今の人は、冒険者さんなんですか?」

受付:「いや、貴族らしい。…名は明かせないらしいが」

ルヴィ:「ああ、それで珍しくそんなに緊張してたんですか」
    (ころころと面白そうに笑う)

受付:「ばかいえ、貴族なんぞに緊張するものか」

一喝して、受付はもっと別のものだ、と言う。

ルヴィ:「別の…?」

受付:「…それより、記録ギルドの方から催促がきてるぞ。分室の連中はまだ新年頭なのか、とな」

ルヴィ:「ああっ、そうでした!」

慌てて走り去るルヴィを見送って軽く息をつくと、受付は書き上げた資料を登録者の冊子にまとめはじめた…

フィアード=ルクス=カ・ザの章

天聖暦1048年 銀光の月 千年都市ガウディ

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。

かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一人の女性が訪れていた。
身には鮮やかな翡翠色のローブを着け、頭に乗せた帽子からは黒髪がまっすぐ腰まで伸びている。
華奢で線が細く、エルフのようにも見える。歩き方や表情からは、おっとりした雰囲気が漂っていた。

フィア:「・・・・・・・・。・・・・こんにちは。」
    <ここのはず・・・ですよね?・・・随分と寂れてしまっているけれど ・・・>

    (建物の前にしばし佇み、やがて静かに扉を開く。)

しばらくすると、部屋の奥のカウンターから声がかかる。

受付:「依頼を受けに来た冒険者かい?」
    (書類から顔を上げて)

フィア:「あ、こんにちは。あの・・・こちらで登録をしたいのですが、よろしいでしょうか」
    (柔らかな深緑の光沢を持つローブに、同色の)

受付:「ああ、じゃあまず名前から聞かせてもらおうかな」
    (脇から新たな書類を引き寄せながら)

フィア:「はじめまして・・・・、フィアード=ルクス=カ・ザと申します。
    中央広場で薬師をしています」

    (帽子をとって体の前に両手で持ち、にこ。と微笑む。)

受付:「薬師さんか…また、なんで冒険者稼業に?」

フィア:「わたしは、本業が薬師なのですが、魔術師としての修行もしましたので、
    古代語はある程度読めますし、遺跡や、古い都市の歴史などにとても興味を持っています。
    わたしが知りたい情報を得るには、こちらに登録するのが近道だと思ったものですから」

    (少し困ったように微笑みながら、言い訳のように言葉を継ぐ)

受付:「成る程ね。じゃあ、これまで何か冒険者の仕事をしたことも?」

フィア:(小さくため息をついて)
    「・・・何から話せば良いのか。
    正直、少しあやしい記憶もありますので、まずは、魔術師としての経験を中心にお話する、
    という事で良いでしょうか?」

    (駄目だ、と悪びれずに微笑み、少し落ち着いてからしっかり視線を据 える)

受付:「構わんよ、経験の目安として聞いているだけだからな」
    (頷いて書類を数枚増やす)

フィア:「昔からのギルドの仕事は・・・古くは15年、いえ、20年くらい前になりますね。
     初めての仕事は、農道に開いた奇穴を調査する、というものでした。まあ、お粗末な記憶も色々。
     その後、拙いながらも、魔術師として妖魔退治に協力をしたり、戦闘に巻き込まれたり。
     蒼狼の襲撃を最後に、一時は冒険者ギルドから退いて、中央広場にある喫茶店で給仕をしていました。
     閃光の悲劇と、その後に続いた常闇の後は・・・主に薬師として、時に知的好奇心を優先して
     様々な伝承をひもといたり、遺跡探索をしたりで生活してきましたね。」

    (記憶を探るようにして視線を彷徨わせる)

受付:「随分とまあ・・・向こうでは随分と名を馳せたんだろうな」
    (手近な資料をひもといて見ている)

フィア:「そうですね、ここ15年ほどに限って上げるのであれば・・・特に興味をもって関わっていたのは、
     古ファルクス王国に関わる事です。あの国の知識や、歴史を知りたくて、色々調べました。」

    (魔法学院や記録ギルドにも、良く顔を出していたんですよ、とおっと り微笑み)

受付:「ファルクス?というと、あの八国戦国時代の…か」
    (ふむふむと頷き)

フィア:「そのきっかけは、十数年前、一度開かれたクールニクスを訪れた事でしょうか。
     霧の中で、夢のようなひとに出会ったり、意志を持った植物に襲われたりもしました。
     あのころは・・・・まだ力が足りず、クールニクスへの道もすぐに閉じられてしまいましたが」
   <初めて咎人の・・・あの時は何もわからなかったけれど、あれからどれだけの事があったか・・・>

    (ふっと遠い視線になるが、すぐに穏やかな微笑みに戻る)

受付:「そうか、ファルクスの…ふむ、一足遅かったな…」
    (呟くと、気をとりなおしたようにペンを走らせ始める)

フィア:「元武器塾のジョンさんのつてで、ネティアに関する調査などで、星闇の民と遭遇した事もありました。
    その時手に入れたアダマンのカードは今もわたしの元にあります。
    竜弦の紡ぎ手と呼ばれるある詩人の方から、星詠の民の伝承を伺ったのは今でもよく覚えていますし、
    クリスさ・・・いえ、サー=クリスティ=アスタロツとの邂逅。『夜の貴族』というのでしょうか。
    わたし達とは違う世界に生きているひとの話も聞きました。」


受付:「ほう、『夜の貴族』とも関わった事があるのか」
    (感心したように頷き、ふと何かの記憶に触れたように首を傾げる)

フィア:「ファルクス王国の魔法都市、アデルハイムについては、神殿のヒデ=アザードに
    魔法学院の研究者を紹介してもらって、古文書にあたって当時の魔法技術者達についての
    研究のお手伝いをしていました。特殊金属についての情報も得ています。
    今ひとつ・・・ツメが甘いのか、調べ切れていないのが残念な所なんですが」


受付:「ふむ・・・それはまた興味深いな」
    (頷きながらペン先を進めていく)

フィア:「遺跡関係では、化粧都市には二度。ファルクス王国からは話がそれますが、
    常闇の時の緋色の迷宮、ネティアの神殿など様々な経験をさせてもらいました。」
    <70年以上も生きていれば、それなりに色々出てきますね・・・>

    (数だけは色々、と楽しそうに微笑む)

受付:「遺跡にも結構足を踏み入れているんだな」
    (頷きつつ)

フィア:「でも、その多くの成功は、何よりも、仲間に恵まれたこと、支えてくれる友人達がいたことで
     勝ち得たもので、決してわたしの力だけでなかった事をわきまえています。」

     (真面目な表情でうなずき、きっぱりと言い切る)

受付:「ふむ…」

フィア:「血霧があらわれた時も・・・どうも、気に入られたというか、やたらと狙われまして。はた迷惑な事に。
    ですが、友人達のおかげで、あのモノを倒し、生き残る事ができましたし。」

    (苦笑しつつも、古い記憶をたぐり、懐かしそうに瞳を細める。)

受付:「血霧に関しては聞いた事があるな…美女ばかり狙うという、あれだろう」
    (ふむふむと頷きながら)

フィア:「ですから、わたし自身が誇れること、というと、友人たちと・・・と、それから本業の
     薬剤に関して・・・つまり、植物や動物、鉱物の採集や同定。古代語の読み書きといったところです。」

    (髪をかき上げた拍子に、白い腕の肘から上があらわになり、珍しい意匠の腕輪が覗く)

受付:「成る程な。…ん、ところでその腕輪は?」
    (目ざとく見つけて尋ねる)

フィア:「これは・・・古い遺跡で得たものです。何で出来ているのか良くわかりませんが、
    何か不思議な加護の力が付与されているそうです。正式な鑑定にはかけていないのですが。
    気に入って、ずっと身につけています。」

    (左腕から腕輪をはずし、大切そうに手を添えて、相手に見えるように 腕輪を上げる)

受付:「ほう…正体が分からないというのも、ちょっとあれだが」
   (ちょっと首を傾げるが、まあ害は無さそうだなと記し始める)

フィア:「このローブと帽子もそうですね。ある仕事で手に入れた布と加護の魔法をかけて、
     特別に作って頂いたものです。
     やはり、わたし達術師は、戦闘に巻き込まれるとどうしても不利ですから。」

    (ローブの裾を軽く広げ、帽子を差し出す。細かい銀糸の飾り文字が灯りに映える)

受付:「良く出来ているな…」
    (その意匠に頷き、再び記し始める)

フィア:「最近?では、グランブルー商会の斡旋する遺跡探索に。ゲルズ島の洞窟なども行きました
     水の神殿では、色々な魔導具も見ることが出来て面白かったですね。それも懐かしい・・・」
    <アーシェさんやノッゼさん、アークさんも・・・お元気でしょうか>

    (共に行動した仲間の名前を小さく呟き、頬に指先を触れる)

受付は話に頷きながらペン先を紙面に滑らせている。

フィア:「・・・と、何だかとても長居をしてしまいましたね。
    すみません。懐かしさに誘われて拙い思い出話ばかりをしてしまって ・・・
    お付き合い下さいまして、ありがとうございます」

    (いつの間にか過ぎていた時間に、申し訳なさそうに一礼する)

受付:「なあに、こっちから尋ねた事だからな」

言って、受付は最後の事項を書き上げた。

受付:「登録はこれで完了だ。貼り出してある依頼で気に入ったものがあったら申し込んでくれ。
    後、ここは色んな事情で本部じゃ受け付けられない依頼も受け付けることがあってな。
    その時は、白紙の依頼用紙を張り出しておくから、直接聞きに来るといい」


言うと、受付は書き上げた資料を登録者の冊子にまとめはじめた…

ホレイショ=トレヴァーの章

天聖暦1048年銀光の月 千年都市ガウディ

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。

かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一人の男が訪れていた。
赤茶の髪で、整った顔立ちをしているが、だらけた雰囲気がそれをイマイチ生かしきれていない。
格好は至って軽装で、腰にトンファーが提がっているのを見れば、格闘を修めた者だろうと知れる。

ホリィ:「あ、ここだねェ」
    (看板を確認し、咥えていた煙草踏み消しらくーにテクテクと入っていく)

室内は閑散としており、客も依頼人も見えないが、奥のカウンターに受付らしい男の姿が見える。

ホリィ:「あ、ども。ボーケンシャトウロクはここでいいんスかィ?」
    (室内を軽く見回してから受付へと近づきニィっと笑い話しかける)

受付:「ああ、冒険者登録だな。じゃあ、まず名前から聞かせてもらおうか」
   (書き物の手を休め、新たな書類を手元に引き寄せる)

ホリィ:「ん、よかったよかった。じゃあ大人一枚頼むね。・・・ああ、名前か。
     名前はホレイショ=トレヴァー。ケチな若者ですよと。」

    (後頭部をくしゃくしゃと掻きながらにへらにへらと自己紹介。腰にはトンファーをぶら下げている。)

受付:「ホレイショ=トレヴァー、と。…これまではどんな仕事を?」

ホリィ:「ああ、ケイレキ?そういやそんなのいるんだねェ。
     ・・・ぁー、用心棒とかポン引きとかヒモとか色々やってはいたけど
     冒険者でやったのはどれだったかなぁ・・・ああ、どっかの商会の、確かクンタムとか言ったっけ?
     あんまり覚えてないけどそこの運び屋やってたかなぁ。・・・って、最初のは一応冗談だってばー。
     まぁいいや。ピカピカの新人さんだしそんなの関係ねェてことで?」

    (宙を見上げてひとしきり悩みながら言葉を吐いた後、アッハッハーと笑い飛ばした)

受付:「他の仕事はともかく、冒険者としては新人って訳だな。まあ、仕事では真面目にやれよ」
    (書き上げた書類をトントンとまとめて)

ホリィ:「あ、もう終わり?意外と簡単なのね。仕事が早いって好きよ?・・・っと、あんがとさん。」
    (ニヒヒと笑い、付け足したようにペコっと頭を下げる)


受付:「ああ、登録はこれで完了だ。貼り出してある依頼で気に入ったものがあったら申し込んでくれ。
    後、ここは色んな事情で本部じゃ受け付けられない依頼も受け付けることがあってな。
    その時は、白紙の依頼用紙を張り出しておくから、直接聞きに来るといい」


ホリィ:「そんじゃ、またよろしゅー。」
    (にへらにへらと揉み手をして笑いかけ、くるりと振り向き退出。煙草を取り出しながら去っていった)
 

見送ると、受付は書き上げた資料を登録者の冊子にまとめはじめた…

ルカ=レセルウィードの章

天聖暦1048年銀光の月 千年都市ガウディ

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。

かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一人の女性が訪れていた。
やや幼さの残る顔立ち。金色の髪は短くし、首には銀のクロスペンダントを下げている。
技量の高い剣士用の装備をまとっているが、最も目を引くのは腰に提げた、美しい白竜飾りの長剣だろう。

ルカ:「ども。冒険者ギルドはここでいいのかな。一応、本部の方でも登録してたんだけど」
   (目的の場所の前で足を止め、寂れた様子に建物を再度確認してから受付へと向かう)

受付:「ああ、本部で登録してるなら申し訳ない事だが、似ているようで別物なんでね。
    正確には旧冒険者ギルドだ。…じゃあ、名前から聞かせてもらおうかな」

    (脇から新しい用紙を引き寄せながら)

ルカ:「んと、名前はルカ=レセルウィード。よろしくね。
    一応、冒険者っていうのかな。荒事から遺跡探索まで大体何でもやるよ」
   
(にっこり笑って挨拶を。腰には白い剣を下げている)

受付:「ルカ=レセルウィード、ね。これまではどんな仕事を?」
    (名前の欄にペン先を滑らせて)

ルカ:「印象に残ってるのだと、謎の奇病の調査でゲルズ島に行って金色の悪魔を
    倒したりしたよ。あれは確か、魔導器に取り付かれた司祭が原因だったっけ。
    後、雪山で入り口を守るでっかいゴーレムと戦ったり、護衛で行った南の森で、
    邪神?なんかよくわかんないうねうねしたのを倒したり。
    ……やだなぁ。自分で言ってて、本気で死にかけた思い出が色々蘇ってきた」
    (口元に指を添え、視線を斜め上にやって考えながら話し出す。
     話すにつれ、そのポーズのまま段々と微妙な表情に)

受付:「じ、邪神?…そりゃまた、とんでもないモンと」
    (呆れたように顔を上げ、再び記述にかかる)

ルカ:「後は、万能薬って言われるらしいカヴェルを探してきたり、マルスの神官の依頼で
    聖炎の十字剣ってのを取りに行ったり、アークたちと一緒に化粧都市に行ったりもしたかな。
    もっと昔、ガウディに来た頃だと、下水道の鰐を捕まえたり、幽霊の体を探してあげたり
    孤児院の子供達の相手をしたり。ああ、例の騒動で煤が初めて出てきた時にも関わってたっけ」

受付:「なかなか経験豊かだな。…ところで、その剣は?」
   
(白竜飾りの長剣を指して)

ルカ:「ああ、コレ? 雪山で見つけた箱の中に、これでもかって程厳重に魔法のロックが
    かけられて入ってた。ホント解呪してくれたミネス様々だね。どうにかして開けないと
    持って帰れなかったし、他の人じゃなかなか無理だった気がする」
   
(白竜飾りの剣のことを聞かれれば、友人の名前を出して機嫌良さそうな笑みを浮かべる)

受付:「ほう…雪山の箱の中にね」
    (頷きながら記録している)

ルカ:「んー…、こんなとこかなぁ。 他にも色々あるけど細かいのは覚えてないし、
    言いにくいのもちょっと。や、悪い意味じゃないんだけど。
   (とか何とか付け足して) とりあえず、こんな感じでおっけー?」


受付:「ああ、登録はこれで完了だ。貼り出してある依頼で気に入ったものがあったら申し込んでくれ。
    後、ここは色んな事情で本部じゃ受け付けられない依頼も受け付けることがあってな。
    その時は、白紙の依頼用紙を張り出しておくから、直接聞きに来るといい」


ルカ:「じゃ、ありがとね。 何か仕事があったら、そのときはまた改めてよろしく」
   (軽く笑って礼を言い、ギルドを後にする)

それを見送ると、受付は書き上げた資料を登録者の冊子にまとめはじめた…

アウゴ=エイデスの章

天聖暦1048年星輝の月 千年都市ガウディ

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。

かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一人の男が訪れていた。
フードをかぶっているので良くわからないが、茶褐色の肌と左右の色が違う瞳が時折のぞく。
細身の身体に動きやすそうな衣装を纏い、手には何の変哲もない木の棒を持っている。

アウゴ:<...確かこの建物のはずだが...>
    
 (杖に身を預けるようにしながら、目深にかぶったフードをかすかにもたげ、周囲を見渡す黒い影)

周囲はさびれた市街地で、行きかう人もさほど見当たらない。

アウゴ:<...ままよ...>
     
(もう一度周囲を見回してから、わずかに扉を押し開け、静かにその身を建物の中へ滑り込ませる)

建物の中は薄暗く、静かで、依頼人や冒険者の姿はこれといって見当たらない。
ただ、奥のカウンターで書き物をしている男がひとりいるだけのようだ。

アウゴ:
(無言のまま、カウンターへ近づく)

受付:「ん…依頼を受けに来た冒険者かい?」

    (気配に気付いて顔を上げる)

アウゴ:「...ガウディよ、俺は帰ってきた...いや、なんでもない...そうだ。」
     
(受付の男の問いかけに、意味不明な言葉を発してから、言葉を濁しうなずく)

受付:「依頼を受けるには、まず登録をしてもらわんとな。…名前は?」

    (自然に聞き流して脇から新しい用紙を引き寄せる)

アウゴ:「名は、アウゴ=エイデス。見ての通り...」
     
(フードを取り、エルフ族特有の長い耳を見せるとともに、体を預けていた杖も軽く持ち上げてみせる)

受付:「エルフで、かつそっちの稼業な訳だな。・・・これまでにはどんな仕事を?」

アウゴ:「...語るほどの実績等は無いのだが...本部にも名ぐらいは残っているかもしれないが...」
    
 (男の問いかけに、言葉に詰まりつつぼそぼそと答えていく)

受付:「ん…ない事も無いだろう?」

    (トントンとペンの尻で机を小突きつつ)

アウゴ:「...探し物...尋ね人...調べ物...各種代行といったところか...記録にも残ってなどい
     ないだろう...」
     
(多くを語らず、男がペンを走らせる紙を見つめている)

受付:「…心配しなくとも、この頭には墓場まで持っていかなきゃならない話がいっぱい詰まってるよ。
    これまでここにきた冒険者達にも、ギルドの記録に残ってないことも一杯聞いたもんさ。
    …必要以外の事は書かんし、依頼の関係で腕前を知る上でも聞いておきたいんだがね」
   
(まあ無理にとは言わんが、とごく簡単に紙面に記述していく)

アウゴ:「...いや、三年前のあの失態だけは、記録があるかもしれないが...港湾地区に侵入した妖
     魔に囚われるなんていうへまだが...それでもどうにか生きている...俺の力とは言いがたい
     が...運だけはあると取ってくれ」
     
(こぶしに一瞬ぐっと力を込めたが、その先の言葉は続かない)

受付:「運も実力の内ではあるな」
   <まあ、口の堅さは確かだな…>

   (釈然としない表情ながら頷いて)

白紙同然の登録用紙に軽く息をつくと、受付はそれを乾かしながら言った。

受付:「登録はまあ、完了だ。貼り出してある依頼で気に入ったものがあったら申し込んでくれ。
    後、ここは色んな事情で本部じゃ受け付けられない依頼も受け付けることがあってな。
    その時は、白紙の依頼用紙を張り出しておくから、直接聞きに来るといい」


言うと、受付は書き上げた資料を登録者の冊子にまとめはじめた…

ルーシー=リュースの章

天聖暦1048年星輝の月 千年都市ガウディ

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。

かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一人の女性が訪れていた。
年の頃は二十代半ばであろう、少しウェーブのかかった金褐色の髪、紺碧色の瞳を有している。
彼女はしばらく旧冒険者ギルドの建物の前で立ち止まり、確かめる様に周囲を見回していた。

ルー:「ここでいいのよね?」
   (眼鏡を外して、改めて見上げており。
    一房の髪に緩く編み込んだリボンがそれに合わせて揺れており。
    意を決して中に入れば、まっすぐに受付にむかう。)

足を踏み入れた旧冒険者ギルド内は、驚くほど人気がなく、静けさに満ちていた。

ルー:「こんにちは。冒険者登録をするのはここでよろしいでしょうか?」
   (穏やかに笑みを向ける。)

受付:「ああ、登録だな?…じゃあ、名前から聞かせてもらおうかな」
    (近くの棚から新しい用紙を引き出して)

ルー:「ルーシー=リュースです。以前は冒険者もしていましたけど、2,3年ほど
    遠ざかってましたね。今は...うーん ...魔操師...かな。一応、封魔師を目標に。」

   (子供を産んだり、色々とごたごたしていたせいで、自分でも こんな感じでいいのよねと思いつつ。
    久しぶりではあったが、口元には小さな笑みが浮かぶのみ。)

受付:「ルーシ=リュースと。魔操師ね…これまではどんな仕事を?」
    (紙面にペン先を走らせながら)

ルー:「最初の仕事が確か...下水道で鰐退治をして、サテュロスの笛探しに行ったり...
    なんとかって船に乗ってあの時は確か潜入捜査か何かの筈がみんなでバリスタ操って
    大きな蛇かなんかを退治したような...私より、クーガの方が覚えてるかも。
    後、妖魔狩りに参加したりとか...壁の外に出て投石機壊す為の作戦に参加とか...」

   (眉根を軽く抑えながら考えており。)

受付:「ほう、お前さんも三つ目の酒場の…最近多いな。新しい流行りか何かかい?」
    (クーガの名前を聞くと、ほうという表情となり冗談ぽく笑いながら)

ルー:「後...木を伐採するのにその護衛でいったら大きな蟻と遭遇っていうのもあったかも。
    あ、ラーディと一緒に倉庫街で差し押さえ?じゃない・・・えーっと、なんだか大事になって
    腕のある戦士とラーディが一騎打ちになってとかいう事もあったわね。
    んー...それに、大きなお屋敷で珍しい動物が暴れたからそれを抑えたりとか...
    色々やったような気もするけど、とにかく私はそのサポートね。」


受付は、頷きながらペン先を進めていく。

ルー:「あまり思い出したくない所で雪の時によくわからない言葉の解読もしたけど...
    それはまあ、それで。」

    (顔を上げれば、年相応の笑みで淡く微笑んで。)

受付:「ふむ…。ところで、そのリボンは?見慣れない織物だが」
    (髪に編みこんだリボンを差して)

ルー:「これはゲルズ島に行ったあの人がくれた物よ。あそこは織物が名産らしいし、
    色々な意味で行ってみたい場所かも。」

    (リボンの端を手にすれば、小さく息を吐く様子は少し哀しげでもあり。)

受付:「ふむ…登録は完了だ。貼り出してある依頼で気に入ったものがあったら申し込んでくれ。
    後、ここは色んな事情で本部じゃ受け付けられない依頼も受け付けることがあってな。
    その時は、白紙の依頼用紙を張り出しておくから、直接聞きに来るといい」


ルー:「なかなか受けられそうな仕事ないかもだけど...ん 、実は私子供もいるから。
    家で大人しくしてればいいんだけどね。」

    (さすがに自覚があるのかないのか。小さく礼をすれば去っていく。)

見送ると、受付は書き上げた資料を登録者の冊子にまとめはじめた…

レイオン=アクリュウスの章

天聖暦1048年珀錫の月 千年都市ガウディ

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。

かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一人の男が訪れていた。
腰まである長い髪は金、若干細めの目に瞳は碧。ローブと外套は同系統の緑を用いている。
華奢な体格に、先の尖った耳とくれば、彼をエルフと見間違うものは居ないだろう。

レイオン:「二年…微妙な時間だね…お邪魔します、冒険者ギルド…っであってますよね?
       冒険者の登録をしにきたんですけど」

      (小さく呟けば不安そうに尋ねて)

受付:「ああ、頭に旧がつくがな…やってる事は変わらんよ。じゃあ、名前から聞かせてもらえるか」
   (脇から新たな用紙を引き寄せて)

レイオン:「レイオン=アクリュウス…年は220歳、精霊使いですが魔術も使えるので自称、
      双術士…そう言った方が二つの術が使えるということが分かると思うので
      そう名乗っています。あと、薬草の知識も少しだけあります」

受付:「精霊魔法に…魔術ね。双術士か、なるほど言い得て妙だな…これまでにはどんな仕事を?」
    (言い回しが気に入ったのか早速記入している)

レイオン:「これまでのやってきたことは…雪かきしたり、、鼠退治したり。
      あとは…ああ一つ目のガーディアンのいる遺跡行ってなんか特殊な石を
      取りに行ったりもしました…他には…」

      (思い出すように額に指を当てて)

受付は頷きながらペン先を紙面に滑らせていく。

レイオン:「あとは暴走した精霊を追い返したりとか空で雷の精霊とも戦いましたね…
      とはいっても殆ど役に立ちませんでしたが。ダークエルフが召喚したケルベロスと戦ったり、
      小さな村で起きた殺人事件を解決しにいったら犯人と戦うはめになったりとそんな感じです…
      ほとんど運だけで生きてますね」

      (小さく一つ頷いて間違いなく、と付け加えて)

受付:「運も実力の内というからな。…ところでその杖は?見慣れない品だが」

レイオン:「ああ、これはそれほど大したものでもないです。鍛冶屋の方で作っていただいた魔術を
      威力を少しばかり上げてくれる杖です、僕は使える術はそれなりありますがその分
      術の威力がないので少しでも強化できれば、と作っていただきました」

      (杖をくるくると回して見せて)

受付:「ふむ…登録はこれで完了だ。貼り出してある依頼で気に入ったものがあったら申し込んでくれ。
    後、ここは色んな事情で本部じゃ受け付けられない依頼も受け付けることがあってな。
    その時は、白紙の依頼用紙を張り出しておくから、直接聞きに来るといい。…他に何かあるかい?」


レイオン:「えっと、以上です。何か仕事があればお世話になるかもしれませんから
      その時はお世話になります」

      (頭を下げればギルドを後にして)

受付:「ああ、たまに来ると何かあるかもしれないぜ。よろしくな」

言って見送ると、受付は書き上げた資料を登録者の冊子にまとめはじめた…

カルロス=バンデラス

天聖暦1048年珀錫の月 千年都市ガウディ

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。

かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一人の男が訪れていた。
肩まである黒い巻き髪、二重瞼の垂れ目からのぞく大きな青い瞳、何より見事な胸毛が印象的である。
がっしりした肉体には、剣士の身に着ける胸甲を着け、腰には細身の剣を提げている。

カルロス:「昨晩場所を聞き忘れたせいで思わぬ大冒険になったものだ・・・」
      (疲れ切った様子で扉の前に立つと、服と胸毛の乱れを正して建物の中に入っていく)

ギルド内は閑散として静かで、冒険者も依頼人も見かけられない。
しばらく内部を歩くと、カウンターの奥に受付らしい男が座って書き物をしているのを見かけた。

カルロス:(内装を見回しながらカウンターの奥に向かって声をかける)
      「失礼。こちらで冒険者の登録というものをしたいんだが」

受付:「ああ、冒険者としての登録だな。まず、名前と…これまではどんな仕事を?」
    (脇から新たな用紙を引き出して)

カルロス:「俺の名はカルロス=バンデラス。年齢は秘密として、今までこなしてきた仕事は・・・
      さて、どこから話したものだか・・・」

      (記憶を掘り起こしているのか遠い目をする)

受付:「カルロス=バンデラスと。…思い出せる所からで構わんよ」
    (用紙に名前を書き込んで)

カルロス:「そうだね。色々あって、結果的に蟻の怪物と闘ったことがあったね。
      他には・・・画家の護衛をする仕事で結果的に菫色の回廊へ足を踏み入れて
      ナインテールに出会うことになったり、外周区へピクニックに出かけて愉快な
      『好青年』達が保護してくれていた有翼人のお嬢さんを引き受けたり・・・」


受付は頷きながら紙面にペンを走らせ始める。

カルロス:「珍しいエメラルドを探しにも行ったし、さるご令嬢を誘拐魔から奪還したこともあったね。
      ゴブリンの砦を掃討しに行ったこともあったか・・・。
      外周区戦争ではジャイアント相手に頑張ったりしてたよ。」

      (遠い目のまま蘇ってくる記憶に思わず笑みを浮かべる)

受付:「ほう、ジャイアントをね…他には?」
    (紙面に文字をつらつらと書き連ねつつ)

カルロス:「一番大きな所だと、ガウディに大雪が降った時、運良く『氷狼の申し子』なんて
      畏れ多い二つ名を頂いたりもしたねぇ・・・あの時は本当に死ぬかと思ったよ」

      (当時の戦いを思い出したのか顔をしかめて胸毛を触る)

受付:「『氷狼の申し子』か…なるほど」
    (新たな資料を引き寄せて、開いて見ている)

カルロス「まぁ、後はちょっとしたお使いや、恥ずかしい結果に終わった仕事が
      ちょこちょこあるくらいだから省かせて貰うよ」
    <流石に、いい年して『ヒヨコ?』なんて二つ名の由来を説明したりするのは
      恥ずかしすぎるしねえ・・・>


受付:「ああ、分かった。…ところで、その指輪は?見ない品だが」
    (指にはめたものを示して)

カルロス:「ああ、これは今話した珍しいエメラルド探しで手に入れた碧光玉をはめ込んだんだ。
      冒険の戦利品ってとこだね」

      (指輪を受付によく見えるように突き出す)

受付:「ふむ…そちらのマントもまた変わっているな」
    (背にまとったものに視線を向けて)

カルロス:「こっちはまぁ・・・酒場で買い取った飛竜の皮を使って仕立てて貰ったんだが、
      ちょっと普通より丈夫な皮の外套ってところだよ。気に入ってはいるんだけどねえ」

      (苦笑いを浮かべてマントを撫でる)

受付:「ほう、飛竜の皮ね…」
    (紙面に書き込む)

カルロス:「・・・こんなもので十分かな?」
      (記憶を掘り当てるのに疲れ切ったのか、目頭を押さえながら問いかける)

受付:「ああ、登録はこれで完了だ。気に入った依頼があったら申し込んでくれ。
    後、ここは色んな事情で本部じゃ受け付けられない依頼も受け付けることがあってな。
    その時は、白紙の依頼用紙を張り出しておくから、直接聞きに来るといい」


言うと、受付は書き上げた資料を登録者の冊子にまとめはじめた…

シャンクス=ファ=ルトの章

天聖暦1048年珀錫の月 千年都市ガウディ

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。

かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一人の男が訪れていた。
外見的に中肉中背、深々とフードを被った旅装で、古びた鞄を肩からかけている。
その雰囲気、立ち居振る舞い、歩き方などを見ても、そこからなにものも見抜く事は出来ないだろう。

シャンクス:「…………」
       (無言のまま、扉の開閉音を響かせながらギルド内へと足を踏み入れると、
       深々と被っていたフードを脱ぎ去り、雑多な物で溢れている店内を眺める)

足音に気付いたのだろう、カウンターの奥から声が投げかけられる。

受付:「依頼を受けに来た冒険者かね?…ここで依頼を受ける気なら、
    冒険者の登録手続きをしてもらなくてはならんよ。
    本部の方で登録してるかは知らんが、あっちと情報を共有し
    ている訳じゃないからな」


シャンクス:「……えぇ。知ってますよ。二重に登録しなければならないなんて
       面倒なことこの上ないですよね。ただ、必要な時に役所の都合で
       後回しにされて大事な仕事に参加できないのは困りますからね」

       (淡々とした口調で応えながら、近くのテーブルから椅子を一つ
        引っ張ってきて、受付の男の近くに運ぶ)

受付:「…まあ、ここには当分仕事そのものが来ないかもしれんがな」
    (わずかに苦笑して、自分の左肩を軽く揉み)

シャンクス:「……それにしても珀錫の月だというのに、妙に冷えると思ったら。
       戻った早々に雪とは参りましたね。あなたもご自身の肩を抑えるようだと、
       この寒さは堪えていそうですね」

      (体に薄っすらと積もった、春の雪の雫を叩き落とし、鞄から取り出した布で
       顔を拭くと、濡れた外套を椅子の背もたれにかけつつ、肩を揉む受付の男に告げる)

受付:「歳だな、年々きつくなる。そういう事で、悪いが名前などは自分で書いてくれ…
     これまでにはどんな仕事を?」

    (登録用紙を渡すと、手元には別の紙を用意してペン先をインク壷につっこむ)

シャンクス:「……記入すべきはこの書類ですね。経歴については口答ですか。
       肩が辛いのにわざわざ口頭で受けて記述するあたり、真面目な方のようで安心しました。
       記述だけならいくらでも嘘を並べ立てられますからね。っと、年なので座らせてもらいますよ」

      (ペンを借りて自身の名前を書類に記入すると、受付の男に書類を渡し、
       自分で引っ張ってきた椅子に腰掛ける)

受付:「ん…いや、嘘を並べるなら、口頭でも幾らでもできないか?」
    (言葉を聞くと、ちょっと笑って)

シャンクス:「……何をつまらないことを。口答なら見抜ける自信があるからこそ、
       受付をやっているのでは?」

       (髪の毛の先から滴る雫を布で丁寧に拭きながら告げる)

受付:「はっは、ごもっともだ」
    (軽くお手上げのポーズをして)

シャンクス:「……さて、経歴といっても、どこから話せば良いですかね。
       一番早いのは、多分本部に尋ねてもらうのが一番ですが、そうすると本部の人間に
       捕まえられる可能性があるのでこちらに来ているところがあります。
       曰く付き……と言えばいいんでしょうかね……うーん」

      (少し逡巡の様子を見せ、独り言のように呟き、ぼさぼさの頭をがさがさと掻く)

受付は、気になったのか書類の名前を改めて見直し、少し首をかしげた。
手近な書類を取ろうとして、そこで気付いたのか、分かりやすく表情を一変させた。

受付:「…こ、これはとんでもないのが来ちまったなあ…シャンクス=ファ=ルトか…
    ギルドから指名手配書が回っていたぞ、見かけたらすぐにギルドに連行するようにってな。
    まあ、腰が痛いからそんな事はやらんが…ところで、その装備は?流石に珍しいものばかりだな」

   (興味深そうに身に着けた様々なものを示しながら)

シャンクス:「……あぁ、こちらの方が答えやすいですね。
       どうぞ、実際に見てもらった方が早いと思いますし」

       (自分の腰にある二本の短剣を受付の男の前に鞘ごと置く)

受付:「…、むう…」
   (恐る恐る手を伸ばして)

受付はその”透き通った金属”製の短剣と”半透明な石”製の短剣を鞘から抜き、
しばらく眺めていたが、やがてその出来栄えに溜息をついて鞘に戻した。

受付:「この仕事をやっていると、たまにこういう機会があるからたまらんな。
    …どこかの遺跡かで手に入れた品物かい?」


シャンクス:「……ガウディの鍛冶屋であつらえて貰った一品です。
       多分、これ以上の獲物を手にする機会はないのかもしれませんね。
       本当はこちらの石も一緒に加工したかったのですが、このガウディでは
       この石を加工できるほどの腕の持ち主は見つけられませんでした」

       (闇月長石を取り出して見せつつ、ふと思い出したように銀色の十字架を取り出す)

受付:「…ただならぬ凄み、というか…”気配”が感じられるな」
    (十字架と不気味な石を見ながら)

シャンクス:「……その様子だと、随分長いこと冒険者を見てきているようですし、
       こんなのを加工できるような方に心当たりとかありませんかね?」

       (闇月長石と銀色の十字架を見せながら問いかけてみる)

受付:「…昔は凄腕がいたんだが、今は修行とやらに旅立っちまったらしい。
    ギルド推薦の工房はあるが、まあ…扱いきれないだろうな。…そういえば、
    最近の冒険者達の噂で、『黄昏の広場』に居を構える鍛冶師ってのがいる。
    知名度はさっぱりなんだが、武器塾長推薦って事で一部に人気があるらしい」

   (考えつつ答える)

シャンクス:「……ほかにも、旅をするときに便利なこんなのや、こんなのもありますよ。」
      (毛皮のコートや他の工芸品や指にある魔法の指輪などを見せる)

受付は、身を乗り出すようにしてそれらの品々を見たり触ったりしている。

受付:「凄いものだな…裏稼業で古物商でもやっているんだろう?」
    (腰を落ち着けると、改めて見やって)

シャンクス:「……そういうわけではないのですけどね」
      (少し困ったように返答を返すと、受付の男から一枚紙をもらって記入を始める)

・蒼竜亭のツケ事件
・黒熱病
・ハイデルン商会の香辛料の件
・化粧都市
・ハイデルンからのゼクスセクス方面調査
・アンウィルにおける妖魔との戦争
・ネティアでの探索
・クールニクス探索
・七星魔剣
・陽光の奪還のためのガウディ地下探索
・再び化粧都市

シャンクス:「……冒険者ギルドの本部にきちんと掲示されていたもののうち、
        冒険者としてきちんとお金を得たといえばそれくらいだと思いましたが……
        突発のものまで含めると、多分一日や二日で話しきれるとは思えませんよ」

       (記入した紙を受付の男に差し出す)

受付:「そうだろうな…。よし、登録はこれで完了だ。依頼で気に入ったものがあったら申し込んでくれ。
    後、ここは色んな事情で本部じゃ受け付けられない依頼も受け付けることがあってな。
    その時は、白紙の依頼用紙を張り出しておくから、直接聞きに来るといい。…他に何かあるかい?」


シャンクス:「……最後に一つよろしいですか?」
       (椅子から立ち上がり、背もたれにかけていた外套を手に取りながら告げる)

受付:「ん、何だい?」
    (シャンクスによって記された書類から顔を上げて)

シャンクス:「……私の名を語るような方でも出ているのでしょうか?。
       この街のギルド関係なら、名前を書けば大抵は何もしなくてすむのが当たり前に
       なっていたものですから。なにせ、私自身が把握している経歴よりも、他の方々が
       尾ひれをつけている経歴の方があまりにも立派なものですから」

      (最後に深々とため息をつきながら、外套を身にまとう)

受付:「…昔はそれで済んだんだがな…これから先、面倒ごとは増える事はあっても減る事はないさ。
    長い旅からの帰りのようだが…まあ丁度、いい慣らしになったと思ってくれよ」

    (わずかに苦笑し、書類をひらひらとやって)

シャンクス:「……まだ降ってますね。あ、そうそう、何か疑問はおありですか?。
       受付であるあなたと、ゆっくりと話ができる機会は多分これが最後になると思いますし」

      (チラリと窓の外を眺め、鞄を肩にかけながら告げる)

受付:「…多忙そうだものな。いや、こちらからは何も無い」
   (つられるように窓の外を眺めてわずかに逡巡し、首を振る)

シャンクス:「……それでは。たまには運動をしないと肩だけでなく腰に来ますよ」
       (ぼそりと別れの挨拶を残し、扉を開き外へ出て行く)

受付:「残念ながら、もう来ているよ」

苦笑して見送ると、受付は書き上げた資料を登録者の冊子にまとめはじめた…

メルディア=デュセスの章

天聖暦1048年緑薫の月 千年都市ガウディ

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。

かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一人の女性が訪れていた。
黒いベレーを被り、女性にしては大柄な背丈に、さらに大き目の外套を羽織り、無骨な大斧を背負っている。
夕日を受けて時折緑色に光る髪の下から深い紫色の瞳が覗いているが、その表情は今ひとつはっきりしない。

メルディア:「こんにちは。ギルドの仕事を受けるための登録をお願いしたいのだけど」
       (カウンターまで歩みを進めると、受付らしい人物に声を掛ける)

受付:「ああ、じゃあそこに掛けてくれ。…向こうでも登録してるなら手間かけて悪い事だが」
    (椅子を勧めながら)

メルディア:「ええ、聞いているわ。二重に書類を取るなんて、管理する側としても大変でしょう」
       (荷物を解いて勧められた椅子に浅めに腰掛ける)

受付:「はは、二重に取られて大変なのはそっちだろうに。…じゃあ名前から聞こうかな」
    (軽く肩をもんでから新たな書類を手元にのべて)

メルディア:「名前と年ぐらいはこっちで書いてもいいかしら?口に出すのはちょっと
        恥ずかしい年になったから。もちろん嘘はつかないわよ」

        (肩をしきりにもんでいる様子を見てぼんやり微笑みながら声を掛ける)

受付:「そりゃ助かる。ここに名前と、ここに年だ」
    (用紙をカウンターに置いて)

メルディア:(差し出された書類の氏名の欄に「メルディア=デュセス」「31歳」と記入して受付の男に渡す)
       「はい。それと以前は傭兵としてお仕事を戴いてたけど今はフリーで色々やってるわ」

受付:「どうも。…ん、デュセスというと…何か関係が?」
    (姓の欄に視線を落として)

メルディア:「さあ、どうかしら。あたしは親無しだし、昔からこう呼ばれてただけだから。
       それにもしそうだったとしても、そんなのが2人もいたら面倒ごとが増えるだけじゃないかしら」

       (何となく読みづらいぼんやりした表情を浮かべて答える)

受付:「ふむ…なるほどな。これまではどんな仕事を?」
    (頷くと、書類にペン先を向けて)

メルディア:「仕事・・・そうね、傭兵の頃はいろいろと荒事に関わったわね。
        フリーになってからも、お屋敷の様子見に行って住み着いてたゴブリンを叩きのめしたり、
        郊外の森まで人を護衛したり、ガメッツの倉庫警備をしたり、そういえば中央広場に現れた
        黒い騎士王の軍勢との戦闘にも参加したわね。やっぱり荒事が多いかしら」

        (唇に指を当てて思い出すような仕草をしながら話していく)

受付は時折頷きながらペン先を進めていく。

メルディア:「他に大きな仕事といえば、砦に巣くったゴブリン五十匹退治の仕事かしら、
        もちろん一人でじゃないわよ。第三次外周区攻防戦の時は黒狼狩りと一緒に右翼の
        ダークエルフを攻めたりしたわね。後は、三つ目一武道会にも参加したわね。
        下位の部だったけど、あれに優勝して以来怖い通り名を頂いたからよく覚えているわ」

        (自分が「冷徹なる刃」と呼ばれるきっかけになった決勝戦のことを思い出して目を細める)

受付:「ほう、武闘大会に優勝したことがあるのか」
    (軽く目を見張り、欄に記入していく)

メルディア:「他にもあったかもしれないけどだいたいこんなところかしら。
        概ねクライアントには満足していただいたけれど・・・とある人を助け出す仕事で
        下手を打ったりもしたわ」

        (今までと違い真摯さが伝わる表情を浮かべている)

受付:「まあ、仕事に失敗はつきものだからな。…所で、その帽子は?見ない品だが」
    (黒いベレー帽を差して)

メルディア:「ああ、これ?これは鍛冶屋につくってもらった特注品なのよ。
       魔糸っていう素材で作られてるらしくて敵意を持った魔法への抵抗を強めてくれるわ」

       (銀糸の紋様が刺繍されたベレーを受付に見せながら説明する)

受付:「なるほど、特注品か。…そいつは?」
    (次いで首飾りを差し)

メルディア:「これは、ある依頼人から報酬として戴いた物よ。
        もっとも、その時の成果はほめられた物じゃなかったけど。
        魔法の守りと力を強める加護を与えてくれるありがたい品よ」

        (苦笑しながら、手のひらに螺旋を描く二本の細剣の銀細工をのせて受付に見せる)

受付:「ふむ…守りと力の…面白い品だな」
    (頷きながら欄を埋めていく)

メルディア:「こんな所かしら、結構話し込んだわね」
        (ふと、窓から外を眺めた後受付に話しかける)

受付:「ああ、登録はこれで完了だ。貼り出してある依頼で気に入ったものがあったら申し込んでくれ。
    後、ここは色んな事情で本部じゃ受け付けられない依頼も受け付けることがあってな。
    その時は、白紙の依頼用紙を張り出しておくから、直接聞きに来るといい」


メルディア:「ええ。それじゃあ今日はもう失礼するわね、シニョーレ。
        荒事等のご依頼があれば是非ともご用命を」

        (受付に一礼をすると荷物を背負い、ギルドを後にした)

それを見送ると、受付は書き上げた資料を登録者の冊子にまとめはじめた…

リシル=クライストの章

蒼碧の月

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。

かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一人の若い女性が立っていた。
身にまとったローブ・首に下がる女神エリウスのロザリオ、エリウスの神官であることに疑いはない。
そんな彼女が、この場所を訪れた理由とは一体なんであろうか。

リシル:「失礼します、、、ここが冒険者ギルドでしょうか。」
(扉の軋む音と共に香る花の匂い、そして外の明かりと共に入ってくる女)

受付:「...えぇ、「旧」とつきますが、本家とやっていることは同じです」
(エリウスの神官を前に、少し改まった口調で応答をする男)

リシル:「私、エリウス神殿で神官を勤めているリシル=クライストと申します。 本日は冒険者登録の申請に訪ねさせていただきました。」
(言葉を言い終えると静かに会釈をする)

受付:「冒険者登録ですか。コレは意外なご用件で...リシル=クライストさん、と」

(依頼の用紙を準備していた男は、あわてて登録用紙を引き出しから取り出すと、記入の必要な項目についてたずねる)

リシル:「そうですね、、数年前の話になりますが、神官見習い兼冒険者として実地で学ぼうと活動していた頃があったんです。」

受付:「それはまた酔...いや、ご熱心ですね」
(思わず口にしかけた「酔狂な」という言葉を飲み込んで、続きを促す)

リシル:「その時に他の冒険者の方に助けられたり、神殿では行けないような場所へ行くなど貴重な体験をさせていただきました。」

リシル:「その恩をどこまで返せるかわかりませんが、昔のように学ぶだけではなく、1人の神官として皆さんの力になりにここへ来ました。」
(ギルドに入ってくる時のゆっくりとした物腰とは違い、手を胸に当て、凛とした声で受付の男に告げた。)

受付:「なるほど、ではこれまでのご経験を、お聞かせ願います。依頼を斡旋させていただく際の参考といたしますので」
(大きくうなずくと、ペンを持ち直し登録用紙に記入を始める)

リシル:「冒険者として何をやったか、、数年前の事なのでうろ覚えな部分もありますがそれでもよければ。」

リシル:「雑用、使いなどすることがありましたが鮮明に覚えていた事件はいくつかありますね。 双頭の黒狼、幽霊、ゾンビ、地下水路に出現した巨大なスライム、力を吸い取る術を持った二人組みの賊とも対峙したことがありました。」
(そういって顎に手をあて記憶の中を探る、出る記憶をつらつらと紡ぎだしていく)

リシル:「他にはシーポートから馬車で移動した森の奥の村でユニコーンと会ったりしましたね…空間を跳躍したのは初めての経験でした。」

受付:「な、なかなかに豊富な経験をお持ちで...いやおみそれを」
(かりかりとペンを走らせながら、所々に出てくる幽霊・ゾンビ・ユニコーンといった単語に、丸い囲みなどをつけていく)

リシル:「あとはガウディの街で広まりつつあった呪いを解く儀式でしょうか、、当時その儀式は中央広場一帯を使った儀式で、呪いを解く為にはある触媒に呪いを物体化させる必要があり、その呪いを殲滅する際にはクーガ=アディールさんも参加していました。」

(思い出すかのように言葉を続ける、儀式が厳しかったのか苦笑いを浮かべる)

リシル:「それと婚前を控えた新婦の方に狂言誘拐の手伝いをさせられそうになった挙句、新婦の方が本当に誘拐され助けるはめになった、、、といったかんじです。」
(帰りの馬車でいちゃいちゃされたときはどうしようかと思いました…と笑い零す)

受付:「ははは。それは難儀な。と、こんなところですか。受付はこれで完了です。
依頼はそちらの掲示板に貼り出され...今は何もありませんが...ますので、折々ごらんいただければ。
白紙のものが出ている場合には、内容は私どもまでお尋ねください」

(こちらも笑いで応えて、ペンを置き吸い取り紙でインクを乾かしている)

リシル:「それでは、今後ともよろしくお願いします、、。」
(受付の男に会釈をし、花の香を残しながら外へ出て行った)

ネロ=アベリノの章

陽炎の月 千年都市ガウディ

外壁近くの市街地の中にぽつんと立つ、古い石造りの建物。
絶えず変動していく周囲の風景の中で、そこだけが時に忘れ去られた様だった。

かつては純粋に「冒険者ギルド」と呼ばれたであろうその場所に、一人の男?が訪れていた。
疑問符がつくのは、その顔が人のそれではなく、猫のものだからだ。
そんな人目を引くはずの外見を持ちながら、行き交う人々が誰一人として注意を向けてこないのは、男?の鍛錬の賜物なのだろう。

ネロ:「……?お、ここか。」
(思わず通りすぎそうになったが、看板が視界に入り足をとめる)

ネロ:「失礼、冒険者ギルドの派出所はここで良いのかな?」
(静かに中へと入り、辺りを見回しながら、係りの者を探し、声を発する)

受付:「派出所、というわけではないんだが...まぁそんなようなものか。仕事を探しているのかい?」
(本家との違いを逐一説明するのに疲れたか、ネロの言葉をいったん否定しつつも、さらりと流して問いかける)

ネロ:「ああ、いや今日は登録だけでいいんだ。」
(受付におどけて手を振って見せると、苦笑しつつ、相手の様子をつま先から頭の先まで一瞥する)

受付:「おっと、こいつぁうっかり登録の確認もしてなかったな。まずはこっちか」
(手を振るネロのために、改めて登録用紙を机の引き出しから引っ張り出して、ペンを構える)

ネロ:「名前はネロ=アベリノ。種族は見ての通り猫の獣人で・・・性別は男だ。職種(クラス)・・・という
か、得意なのは探索や交渉、斥候だな。」

(言わせるなよ、とばかりに片手で錠前を外す仕草をしてみせる)

受付:「ネロ=アベリノ、と。外見はまぁ見たまんまか。得意分野は...そっち系か。ココにはあんまり大っぴらにそっち系の仕事が入ってくることは無いんだが。まぁ遺跡探索だのそういう系統でよければ、覗いてみてくれ。」
(ネロの自己紹介を、こまごまと書き留めて、一応の注意事項を伝える)

受付:「で、仕事を斡旋するためには、今までの経歴も聞いておかなきゃならないんだが...」
(ペンを止め、ネロの武勇談を促して待つ)

ネロ:「・・・う~む。あまり実績らしい実績は無いのだが。」
(本当に困ったように、腕を組み、頭を垂れて考える)

ネロ:「まずは、ガウディ市街での警備隊に参加した事。
あんたが覚えてるかどうか知らんが、一昔前に『人食い事件』というのがあったろう?
夜毎に、人間が何者かに食われたような死体が発見され続けた一連の事件さ。
その警備隊に参加してね。俺の担当は中央区の下水だった。
ま、面構えからネズミ捕りに適任だとでも思われたんだろう。
犯人が発見された日も俺は下水に居たんだが、
急に西地区の方が騒がしくなったと情報が入ってね。
・・・それで。」

(少し声を暗いトーンに落とし)

ネロ:「・・・普通、西地区に行くと思うだろう?それがな、そうしなかったんだ。
下水から上がってみたら、中央区商店街の様子がおかしくてね。
夜なのに戸が開いている店があった。
不審に思って入ってみれば、瀕死の男が1人・・・。
仲間の神官と人命救助にあたったわけさ。」

ネロ:「・・・結局、そいつは助からなかったがね。
いや、懐かしいな・・・ちなみに、これがそいつの形見さ。」

(と、腰に止めてあるミスリルダガーを見せる)

受付:「あまり縁起のいい代物じゃぁないね。気をつけなよ?」
(死者の形見を身につけるネロに、かすかに眉をしかめて、それっぽいアドバイスを返す)

ネロ:「ん?真犯人?・・・そりゃ、西地区のヤツらが捕まえたさ。」
(肩をすくめて、当然だろう?とばかりにおどけてみせる)

受付:「まぁ、当たり外れは誰だってあるさ。他は?」
(肩をすくめるネロに、励ましの言葉をかけて、次を促す)

ネロ:「あともう一つ。印象に残っているのは『夢遊病事件』だな。」

ネロ:「夢遊病のような症状が現れ、人々が夜な夜な街を徘徊する奇妙な事件だった。
ただの病気にしては不特定多数の患者が発生するんでね。冒険者の出番というわけだ。
酒場の知人たちとパーティを組んで、調査に乗り出したんだが、これが難航してね。
・・・たどり着いたのが、夢遊病患者を保護した紅獅子亭という酒場の主人。
元屈強な冒険者でオカマという変わり者だったんだが、腕は確かだった。
そいつがな、叩きのめされたんだよ・・・・夢遊病の患者に。」

ネロ:「おかしいと思うだろう?元冒険者が一般市民に叩きのめされる・・・。
で、俺はその叩きのめした患者を追っていったわけさ。
そして、東地区の墓地にたどり着いた。」

ネロ:「そこに居たのは、謎の少年と夢遊病患者だった。
あんたもギルドの職員なら分かるかと思うが、その少年は人間じゃなかった。
おそらく『魔族』さ。
で、どうしたと思う?相手は魔族と化け物じみた夢遊病患者だぞ。」

ネロ:「・・・・逃げたよ!ボロボロになりながらな!」
(机に身を乗り出し、ヤケクソのような自信たっぷりに)

受付:「無理に突っ込むばかりが能じゃないとは思うけどね。ただ逃げるだけってのは問題だが...」
(逃げた、という叙述のところでいったん筆を止める)

ネロ:「結局のところ、事件の真相は分からずじまい。
魔族の言ってた『儀式』とか『時が来た』みたいな話は当時のギルドに伝えたが、
ま、解決への手がかりはほど遠かったというわけだ。」

(机から身を引き、ため息混じりに言葉を結ぶ)

受付:「まぁギルドへの報告が出来てたんなら、後の対処はこっちの問題だからな」
(「報告・対応」と言う記述で締めくくり、二枚目の用紙を取り出す)

ネロ:「あ~、すまん。情け無い話ばかりした。
生来、自分を過小評価するタチでね。・・・登録情報としては適切でないな。
まあ、他の仕事は・・・言える範囲なら、アウラ湖に薬草を取りに行ったり、
ライミ山に茸を取りに行ったり、荷降ろしの仕事中に白狼団という珍妙な盗賊団を追っ払ったり、
やっぱりアウラ湖に行って水の精霊とやらに会って来たり、という感じだな。
他はスマンが言えん。・・・文字通り『地下』の事なんだ。」

受付:「過大評価よりは助かるが、「何が出来るか」だけはきっちり示した方がいいと思うね、依頼を受けるには。口が堅いのはいいことだと思うし、「そっち」の仕事聴かされても困るといえば困る。」
(ネロの列挙する「仕事」を次々と書き留め、いくつかのアドバイスを返すと、登録用紙に日付と署名を入れる)

ネロ:「と、こんな感じでよろしいかな?」

受付:「あぁ、コレで十分。依頼はそこの掲示板に貼りだされたり、こちらから斡旋したりというところだ。時々覗きに来てくれればいい」

(吸い取り紙をあてて、インクを乾かした登録用紙を、いくつかに区分けされたキャビネットに収納しつつ、ネロを見送る)

ネロ:「では、よろしく頼む」
(静かな足取りでギルドを後にする)

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