茸狩り(第一話)
地吼の月 千年都市ガウディ 旧冒険者ギルド
「…ご用件は承りました。この依頼は本部の方には?」
旧冒険者ギルドの受付は、用紙を書き上げると、依頼人である魔術師の青年に問うた。
「あっちにも依頼は行っている。…そもそも、あっちとは毎日行き来があるから、
わざわざこうして出向いて依頼に来なくても、何かのついでで済むんだ。
あっちとは連絡とりあってないのか?本当に冒険者ギルドなのか、ここは」
どうやら、こんな辺鄙な場所にある出張所に来させられた愚痴を言いたいらしい。
受付はその件についてはそれ以上問わず、依頼の内容の再確認だけ口にした。
「霊薬の材料となる茸を御所望との事。場所はライミ山麓で、報酬は茸の種類と量による。
…これでよろしいですか?」
受付の確認に、魔術師の青年は鷹揚に頷いてみせた。
「ああ、結構だ。親切ついでに言っておけば、今年は腹を空かせた野生動物が時々出るそうだ。
それに対する追加手当てなどはないぞ。後、熊を狩って持ち帰れたらギルドで買い取る。以上だ」
「では、その件追加しておきます」
若い魔術師が立ち去った後、用件を依頼用紙に書き写している受付の所に、事務職員が茶を差し入れに来た。
「や、ありがとう」
「どういたしまして。…それにしても、何様なんですかね連中は。聞きました?あの言い草」
魔術師の態度が気に入らなかった様子で、事務職員はやや語気を強めた。
「自分達で集めるのが面倒だからお願いします、ってはっきり言って頭下げればいいんです」
「まあ、そのくらいにしておきなさい。依頼人様だよ」
むっつりと黙り込む事務職員に、受付は苦笑して仕上がった依頼用紙を渡した。
栗色の髪を怒りに揺らして、掲示板に歩いていく事務職員を見ながら、受付は茶を一口すすった。
「…若いねえ、どっちもどっちも」
「…ご用件は承りました。この依頼は本部の方には?」
旧冒険者ギルドの受付は、用紙を書き上げると、依頼人である魔術師の青年に問うた。
「あっちにも依頼は行っている。…そもそも、あっちとは毎日行き来があるから、
わざわざこうして出向いて依頼に来なくても、何かのついでで済むんだ。
あっちとは連絡とりあってないのか?本当に冒険者ギルドなのか、ここは」
どうやら、こんな辺鄙な場所にある出張所に来させられた愚痴を言いたいらしい。
受付はその件についてはそれ以上問わず、依頼の内容の再確認だけ口にした。
「霊薬の材料となる茸を御所望との事。場所はライミ山麓で、報酬は茸の種類と量による。
…これでよろしいですか?」
受付の確認に、魔術師の青年は鷹揚に頷いてみせた。
「ああ、結構だ。親切ついでに言っておけば、今年は腹を空かせた野生動物が時々出るそうだ。
それに対する追加手当てなどはないぞ。後、熊を狩って持ち帰れたらギルドで買い取る。以上だ」
「では、その件追加しておきます」
若い魔術師が立ち去った後、用件を依頼用紙に書き写している受付の所に、事務職員が茶を差し入れに来た。
「や、ありがとう」
「どういたしまして。…それにしても、何様なんですかね連中は。聞きました?あの言い草」
魔術師の態度が気に入らなかった様子で、事務職員はやや語気を強めた。
「自分達で集めるのが面倒だからお願いします、ってはっきり言って頭下げればいいんです」
「まあ、そのくらいにしておきなさい。依頼人様だよ」
むっつりと黙り込む事務職員に、受付は苦笑して仕上がった依頼用紙を渡した。
栗色の髪を怒りに揺らして、掲示板に歩いていく事務職員を見ながら、受付は茶を一口すすった。
「…若いねえ、どっちもどっちも」
依頼内容:霊薬の材料となる茸集め
依頼者:初等魔術学院
場所:ライミ山麓に広がる森全体
報酬:採取してきた茸の種類と量による(詳細は下記)
期間:地吼の月いっぱい
募集定員:なし
追記:なお、空腹の野生動物が出没しているとの事
熊を狩り、持ち帰れば追加報酬あり
・今回希望する茸(これ以外のものも種類によっては買い取り)
エンジェルマッシュルーム(1G):年に数本しか産出されない貴重な茸。採取場所は毎年変わる。
ヤミウツロライミタケ(50S):ライミ山麓でしか採れない。暗がりで闇の胞子を発しているという。
虹キクラゲ(30S):ある種の鉱石に生える茸。半透明で、光に透かすとほのかに虹色を呈する。
ヒスイウワヅメタケ(10S):翡翠の森のものが有名。ライミ山麓でもまれに採れる。鮮やかな翡翠色の茸。
水精茸(5S):清流の岩陰に時々見つかる、透明感のある水色の茸。ひんやりつめたい。
魔レイシ(1S):霊薬を作る際、ベースとなる茸の一つ。森気の濃い場所でよく見つかる。
チャシマキノコ(50C):朽ちた木の脇に群生している、茶色の縞模様が特徴の茸。食用にもなる。
ゴブノコシカケ(1C):木の幹の側面に生える。比較的どこでも見かけるが、大きくてかさばる。
依頼者:初等魔術学院
場所:ライミ山麓に広がる森全体
報酬:採取してきた茸の種類と量による(詳細は下記)
期間:地吼の月いっぱい
募集定員:なし
追記:なお、空腹の野生動物が出没しているとの事
熊を狩り、持ち帰れば追加報酬あり
・今回希望する茸(これ以外のものも種類によっては買い取り)
エンジェルマッシュルーム(1G):年に数本しか産出されない貴重な茸。採取場所は毎年変わる。
ヤミウツロライミタケ(50S):ライミ山麓でしか採れない。暗がりで闇の胞子を発しているという。
虹キクラゲ(30S):ある種の鉱石に生える茸。半透明で、光に透かすとほのかに虹色を呈する。
ヒスイウワヅメタケ(10S):翡翠の森のものが有名。ライミ山麓でもまれに採れる。鮮やかな翡翠色の茸。
水精茸(5S):清流の岩陰に時々見つかる、透明感のある水色の茸。ひんやりつめたい。
魔レイシ(1S):霊薬を作る際、ベースとなる茸の一つ。森気の濃い場所でよく見つかる。
チャシマキノコ(50C):朽ちた木の脇に群生している、茶色の縞模様が特徴の茸。食用にもなる。
ゴブノコシカケ(1C):木の幹の側面に生える。比較的どこでも見かけるが、大きくてかさばる。