丘の下に眠るもの(第一話)
天聖暦1048年 緑薫の月 コーザス村
早く、高い鐘の音が村内に響き渡る。
ある者は家の中に逃げ込んで扉を固く閉じ、ある者は扉を開いて飛び出してくる。
槍や剣で武装した村の自警団に、弓を手にした狩人達が加わり、緊迫した声をかわしながら、
それぞれの役割に応じて村内を右に左にと駆けて行く。
「バーソンの牧場だ!牛と羊、それを守ろうとしたマリーにケーンがやられてる」
駆けつけた一行が見たものは、派手に暴れている牛とそれを傷付け押さえようとしているゴブリン、
防戦一方ではあるが意外にコボルトとの戦いに善戦しているマリーとケーンの姉弟の姿であった。
それも逃げながら一体を二人で相手しているからで、今駆けつけているゴブリン2体が加われば、
一瞬でそこは惨状に変わるに違いなかった。
狙いすまされた、熟練の狩人の放った矢が的確にゴブリンの胸板を貫く。
喚声を上げながら、自警団の若い団員達が槍先を揃えて牧場の中に突入していく。
浮き足立った妖魔達は、せめて羊だけでもと思ったか、暴れ牛を放棄して倒れた羊に殺到していく…
「…結局、被害らしい被害は羊1頭だけでした。あの状況では、幸運とも言えるでしょう」
自警団長でもある、交易商の若主人はそう言って村長への報告を締めくくった。
「そうか、それは良かった。…しかし、最近増えたのう…いかに春になったからとはいえ」
「…やはり、あれが?」
言いつつ、若主人は窓の外からも見える、郊外の丘を眺めた。
最近では、その周辺で妖魔の姿を見ることも多く、そちら方面へは立ち寄り禁止となっている。
「やはり、さっさと潰してしまった方が良かったのでは…」
「…難しいところじゃな」
村長は、若主人の言葉に目を閉じ、そうぼかしてしまう。
若主人は、そうやって本心を隠す村長の打算も手に取るように分かっていた。
何故騎士団ではなく、冒険者ギルドにこの話を持っていったのか、その理由も。
<…こうなったら、さっさとその冒険者とやらに来てもらうしかないな…>
嘆息を胸の内に隠して、若主人は仕事に戻るため立ち上がり、別れを告げて村長宅を後にした。
早く、高い鐘の音が村内に響き渡る。
ある者は家の中に逃げ込んで扉を固く閉じ、ある者は扉を開いて飛び出してくる。
槍や剣で武装した村の自警団に、弓を手にした狩人達が加わり、緊迫した声をかわしながら、
それぞれの役割に応じて村内を右に左にと駆けて行く。
「バーソンの牧場だ!牛と羊、それを守ろうとしたマリーにケーンがやられてる」
駆けつけた一行が見たものは、派手に暴れている牛とそれを傷付け押さえようとしているゴブリン、
防戦一方ではあるが意外にコボルトとの戦いに善戦しているマリーとケーンの姉弟の姿であった。
それも逃げながら一体を二人で相手しているからで、今駆けつけているゴブリン2体が加われば、
一瞬でそこは惨状に変わるに違いなかった。
狙いすまされた、熟練の狩人の放った矢が的確にゴブリンの胸板を貫く。
喚声を上げながら、自警団の若い団員達が槍先を揃えて牧場の中に突入していく。
浮き足立った妖魔達は、せめて羊だけでもと思ったか、暴れ牛を放棄して倒れた羊に殺到していく…
「…結局、被害らしい被害は羊1頭だけでした。あの状況では、幸運とも言えるでしょう」
自警団長でもある、交易商の若主人はそう言って村長への報告を締めくくった。
「そうか、それは良かった。…しかし、最近増えたのう…いかに春になったからとはいえ」
「…やはり、あれが?」
言いつつ、若主人は窓の外からも見える、郊外の丘を眺めた。
最近では、その周辺で妖魔の姿を見ることも多く、そちら方面へは立ち寄り禁止となっている。
「やはり、さっさと潰してしまった方が良かったのでは…」
「…難しいところじゃな」
村長は、若主人の言葉に目を閉じ、そうぼかしてしまう。
若主人は、そうやって本心を隠す村長の打算も手に取るように分かっていた。
何故騎士団ではなく、冒険者ギルドにこの話を持っていったのか、その理由も。
<…こうなったら、さっさとその冒険者とやらに来てもらうしかないな…>
嘆息を胸の内に隠して、若主人は仕事に戻るため立ち上がり、別れを告げて村長宅を後にした。
天聖暦1048年 緑薫の月 記憶亭
出発の前日…道中の食料調達の為、ライトは記憶亭を訪れていた。
ライト:「親父さん、一週間分の食事を用意してもらってもいいでしょうかね?」
(記憶亭に行き親父さんに食料を用意してもらう)
親父:「わかりました。お出かけですか?」
(厨房から顔を出して)
ライト:「えぇ、また馬車での遠出なので・・・なるべくおいしくお願いしますね。」
(親父さんから食事を受け取り店を後にする)
食料を受け取ったライトが立ち去ってからしばらくして、メルディアが姿を現す。
メルディア:「お邪魔するわね。ちょっと保存食を用意してほしいの。
ええ、ちょっと遠出をすることになったから多めにね」
(保存食の購入をする)
親父:「はい、承りました。しばらくお待ちくださいね」
メルディアは調理されたものを受け取り、日付ごとに食べるよう親父に言われ、店を後にした。
天聖暦1048年緑薫の月 オルドー商会前
出発の当日、一行は三々五々オルドー商会前に集まってくる。
天候は薄曇りで、春にしては肌寒い空気がガウディにたちこめていた。
最初に到着したのはメルディアで、扉を開け商会内に入っていく。
メルディア:「おはようございます。以前馬車のことでお話をさせてもらった者だけど。
オルドー行きの馬車というのはどこに止まっているのかしら?」
(ほほえんだ表情を浮かべて話しかける)
受付:「おはようございます。みなさんがこちらに集合との事でしたので、
今日は商会前に馬車をつけさせていただきます」
(一礼してから、応答する)
メルディア:「そう、ありがとう」
(礼を言うと馬車の方に歩いていく)
次いで、ゼロとライトがやや前後して商会の前にやってきた。
ゼロ:「・・メモは持ってますよね・・。・・キャンプセットも。・・あとは・・。」
(自分の荷物を確認しながら、先日こっそり確認したオルドー商会の
前へと歩いてくる)
ライト:「オルドー商会・・・・ここですね。」
(記憶を頼りに商会の場所までたどり着く)
メルディア:「おはよう、ゼロ。お願いしていた地図はどうなったかしら?」
(ゼロの方により地図の確認をする)
ゼロは、ギルドで書き写した地図をメルディアに示す。
そこには簡単ながら、村、森、丘、川の位置などが分かるように記されていた。
それからしばらくして、ユーリが黒山羊の獣人の姿で現れる。
ユーリ:「…」
(集合場所、オルドー商会に到着しチームメンバーに目礼)
メルディア:「おはよう。よい朝ね。お仕事の間中ずっとこうだといいのだけど」
(他のメンバーを見つけると声をかける)
いつの間にか探索者のフェスも到着しており、一行に挨拶の言葉と微笑を向けると、
その後は壁に寄りかかって馬車を待っていた。
やがて、荷と傭兵達を乗せた馬車4台からなる商隊が商会前に到着する。
メルディア:「おはようございます。オルドーまで相乗りをさせてもらう
手筈になってる者だけど、話はちゃんときてるかしら」
(御者らしき人物に挨拶をして軽く礼をする)
ゼロ:「・・あ。ここですね。・・・すみません。・・本日お世話になるゼロと言います。
・・メルディアが・・お話しを通して下さっていると・・思いますが・・。」
(商会の関係者と思われる人物を見つければ声を掛け、微笑と会釈)
御者:「ああ、聞いてるよ。…ええと、全員で6人って話だったよな?」
(一行にざっと視線を向けつつ)
その頃、エルは中央地区を重武装に重い荷を負い走りに走っていた。
エル:「やっべ、寝坊したっ?!あーくそ、怠けてんなーにゃろー!」
(荷物を背に朝食の林檎を頬張りつつ駆ける重戦士。案の定、遅い)
ゼロ:「・・結構・・活気があります・・・?・・今の時期は・・どちらまで行かれるんですか?
・・どんなものが・・物資の主流になっているのでしょうか?」
(適当に声を掛けながら、商会の扱っているものを失礼にならないように観察をし)
御者:「今回の行き先はオフィスコだよ、道中の村でも自警団やらに武具を卸してる」
(荷は木箱ばかりだが、槍やら剣やら長いものは包みに巻かれて置いてある)
エル:「でー…間に合ったかな…?」
(汗を垂らしながら周囲を見回し、同行メンバーを探す)
道の遠く先、商会前には馬車が数台止まっており、どうやらメンバーの姿もまだそこに見える。
ゼロ:「・・もし宜しければ・・今回の馬車の責任者に・・会わせて頂けませんか?」
ゼロの声に、商会の者と話していた男が振り向き、一行の所にやってきた。
腰に剣を吊った三十台後半の男で、使い込まれた胸甲を身につけている。
カーム:「お前達が、コーザス村まで同乗するという冒険者達か。
俺は、今回の警備担当のカームだ」
(ざっと一行に視線を向け)
ゼロ:「・・今回お世話になる・・ゼロと言います。・・ご一緒するメンバーは・・
二つ名もちの方が多いので・・ご安心下さい。
・・もし・・道中で・・何かあっても・・きっと彼らが対処してくれる事でしょうから。」
(責任者に挨拶を行い、自分たちのメンバーをアピール)
ユーリ:「…」
(他の面子の挨拶に合わせ、商会の者に黙礼)
カーム:「ああ、噂は聞いている。何なら、オフィスコまで同行してもらいたい程だ」
(頷くと、白い歯を見せて)
ゼロ:「・・馬車での移動で・・最近・・妖魔や動物に襲われたりしてませんか?
・・もしあれば・・どんなモノに出くわしたのか・・教えて頂いておくと・・嬉しいですけど。
特にコーザスの方向へ言った時の武勇伝などありましたら・・お聞かせ下さい。」
(ふと思い出した様に、微笑で話しかける)
カーム:「やはり、妖魔がほとんどだな。特にコーザス村周辺は今妖魔が多いらしい…
陣容はほとんどがコボルドやゴブリン、思い出したようにホブゴブリンって所だ。
妖魔軍というよりも、ゴブリンの巣でもあるんじゃないかと思ってるんだが」
(現地の者じゃないから詳しくは分からんがね、と両手を軽く広げて)
早速、カームは一行が乗り込む馬車を示す。
大型の馬車で、10人は乗れそうだ。其処にはすでに先客の姿もある。
メルディア:「それじゃあ道中お世話になるわね。そうそう、もちろんあなたたちにも」
(馬の首をそっとなでながら馬の様子を見る)
馬は毛並みも良く、元気そのもので、旅に備えて十分大事にされてきたに違いなかった。
ライト:「みなさん、改めてよろしくお願いしますね。」
(集まったメンバーに挨拶していく)
そこへ、ようやくエルが一行の所へ到着した。
エル:「いやー、ごめん、遅くなったーっ。初めて仕事する人も居るかな?
えっと、前衛担当のエルディアス。簡単にエルでいいよー。
や、半数が前衛だけど改めて宜しくねー。」
(汗を拭った天幕を頭に縛りつけ、汗の流出を防ぎつつ挨拶)
フェス:「あら、真打がご登場ね。お久しぶり」
(微笑を向けて)
エル:「フェスー。久しぶり、かな?今回もその凄腕で宜しくね?
って、頼りっぱなしじゃあいけないんだけどさ。
今回はドジ踏まないように頑張る、というか気を付けるよー。」
(軽く笑いながら挨拶を投げる)
ユーリ:<さて…崩落で見つかった遺跡とのことだが…道中の地形は変化していないのか…?>
「…そちらがお持ちの…コーザス村までの地図を見せて頂きたいのだが…。」
御者:「ああ、はい。どうぞ」
(道中の地図を手渡す)
ユーリ:「…感謝いたします…。」
(御者の地図から進行ルート周辺の地形及び野営、休憩地点、緊急時の迂回ルート等を確認する)
エル:「あ、地図地図。俺も見せて見せてー。」
(ひょっこり顔を覗かせ、地図を見やり頭に入れようと)
きちんと野営地点や休憩地点の場所などは記されており、安全な場所が選ばれているようだ。
明らかに遠回りと思われる場所もあるが、危険を避けてのことなのだろうという事が分かる。
やがて出発の時刻が近づき、一行も馬車に乗るように告げられる。
エル:「さーて、お邪魔しまーす。」
<―の前に。>
(この馬車を狙っているような者が居ないか、周辺に対して
素早く視線を送り、神経を一度尖らせる)
どうやら、それらしい人影は見当たらないように思える。
メルディア:「お邪魔するわね」
(馬車の様子を見回してから乗り込むと積み荷などの配置を確認する。
あまり邪魔にならない位置に自分の荷物を置く)
人員専用のようで、積荷はこの馬車には乗せられていないようだ。
馬車には先客がおり、商人らしき姿が1人、傭兵が3人見える。
ライト:「あ、このたびは乗せていただいて本当にありがとうございます。
よろしくお願いします。」
(乗せていってもらう馬車の人たちに頭を下げる)
メルディア:「おはよう、あなたが護衛の人ね。聞いてるかもしれないけど
途中まで相乗りさせてもらう者よ。短い間だけど仲良くやっていきましょう」
(ガントレットを外して左手を差し出し、握手を求めてみる)
傭兵:「ああ、よろしく。…タダ働きなんだってな、気の毒に。ここの連中はケチだからさ」
(苦笑を浮かべ、親指で商会を示してから、革の手袋を外して握手に応じる)
やがて、4台の馬車からなる商隊は、2台の荷馬車を挟むようにして進み始める。
ライト:「う〜ん、なんかもうおなじみの感覚ですね。」
(馬車に乗り込むと呟く)
エル:「街道かぁ。襲われるなんてことはあまり考えたくないけど、
留意しておいた方がいいかもしんないねー。気張っていこー。」
(一人テンションを保ちつつ声を掛け)
ゼロ:「・・おしり・・痛くなりそうですけど・・。
・・今回は3日ですし・・我慢しましょう・・。」
(荷物を下に敷くと衝撃をなるべく和らげる準備を行う)
馬車は街中を走り、やがて市門を抜け北の街道に乗っていく。
エル:「やーおはよーございますー。いい天気ですねー?どちらまで行かれるんです?
あ、すみません、今回同じ馬車に乗り合うエルディアスっていいますー。」
(他に同乗する客へ挨拶しつつ会話を切り出す)
商人:「今回はオフィスコまで行くそうで…道中の村でも幾つか荷をやりとりする予定です」
(おずおずと頭を下げ)
エル:「あ、そうなんですか。やー、最近は景気はいいっすか?。
や、僕らも傭兵なんてその場その場の仕事やってるもんで。
何かお困り事とかありましたらガウディの記憶亭に是非、ちょっとしたお使い、
猫の捜索から警護、調査、人探しまでなんでも承りますよー。」
(へへへーとか笑って記憶亭の名を売り始める)
商人:「ほう、記憶亭…あなた方の様な、二つ名持ちが一杯いらっしゃるという事ですか。
それにしては、噂は特に…や、失礼。記憶亭、ちと覚えておきますね」
(やや打ち解けた笑顔で頷き)
北の街道に入ると、正面遠くにライミ山が姿を現す。
メルディア:「さすが、馬車は楽でいいわ。そういえばあなたはこの仕事は長いの?
コーザスの方にもいったことがあるならあのあたりの話を聞きたいわ」
(馬車が出発し始めると御者の方に行き、警戒を忘れないようにしながら御者に声をかける)
御者:「あの辺りは鄙びた、どこにでもあるような牧歌的な地域だったんだがなあ。
最近は何かと出現する妖魔に苦しめられてるようだよ。
ただコーザスの村の顔役でもある交易商さんが、まだ若いのに切れ者でね。
自警団を効率よく動けるよう制度を改めてから、随分と被害は減ったらしいがね」
(のんびりと馬車を操りながら世間話のように語る)
馬車は春の若草萌える平原を進む。
月の名にあるような、緑の薫る風が馬車内に爽やかに吹き込んでくる。
ゼロ:「・・・出立に・・取り巻くこの風は・・この後・・・・どうかわるのでしょう・・。」
(馬車内に少し吹く風に髪を抑えて、静かに目を閉じると、精霊の
気配を感知しようと両耳に意識を集中してみる)
風の精霊は、春の到来を楽しむかのように軽やかに舞っていた。
ただ、薄曇りの空は相変わらず晴れず、その身には冷たい空気をまとっているようだった…
出発の前日…道中の食料調達の為、ライトは記憶亭を訪れていた。
ライト:「親父さん、一週間分の食事を用意してもらってもいいでしょうかね?」
(記憶亭に行き親父さんに食料を用意してもらう)
親父:「わかりました。お出かけですか?」
(厨房から顔を出して)
ライト:「えぇ、また馬車での遠出なので・・・なるべくおいしくお願いしますね。」
(親父さんから食事を受け取り店を後にする)
食料を受け取ったライトが立ち去ってからしばらくして、メルディアが姿を現す。
メルディア:「お邪魔するわね。ちょっと保存食を用意してほしいの。
ええ、ちょっと遠出をすることになったから多めにね」
(保存食の購入をする)
親父:「はい、承りました。しばらくお待ちくださいね」
メルディアは調理されたものを受け取り、日付ごとに食べるよう親父に言われ、店を後にした。
天聖暦1048年緑薫の月 オルドー商会前
出発の当日、一行は三々五々オルドー商会前に集まってくる。
天候は薄曇りで、春にしては肌寒い空気がガウディにたちこめていた。
最初に到着したのはメルディアで、扉を開け商会内に入っていく。
メルディア:「おはようございます。以前馬車のことでお話をさせてもらった者だけど。
オルドー行きの馬車というのはどこに止まっているのかしら?」
(ほほえんだ表情を浮かべて話しかける)
受付:「おはようございます。みなさんがこちらに集合との事でしたので、
今日は商会前に馬車をつけさせていただきます」
(一礼してから、応答する)
メルディア:「そう、ありがとう」
(礼を言うと馬車の方に歩いていく)
次いで、ゼロとライトがやや前後して商会の前にやってきた。
ゼロ:「・・メモは持ってますよね・・。・・キャンプセットも。・・あとは・・。」
(自分の荷物を確認しながら、先日こっそり確認したオルドー商会の
前へと歩いてくる)
ライト:「オルドー商会・・・・ここですね。」
(記憶を頼りに商会の場所までたどり着く)
メルディア:「おはよう、ゼロ。お願いしていた地図はどうなったかしら?」
(ゼロの方により地図の確認をする)
ゼロは、ギルドで書き写した地図をメルディアに示す。
そこには簡単ながら、村、森、丘、川の位置などが分かるように記されていた。
それからしばらくして、ユーリが黒山羊の獣人の姿で現れる。
ユーリ:「…」
(集合場所、オルドー商会に到着しチームメンバーに目礼)
メルディア:「おはよう。よい朝ね。お仕事の間中ずっとこうだといいのだけど」
(他のメンバーを見つけると声をかける)
いつの間にか探索者のフェスも到着しており、一行に挨拶の言葉と微笑を向けると、
その後は壁に寄りかかって馬車を待っていた。
やがて、荷と傭兵達を乗せた馬車4台からなる商隊が商会前に到着する。
メルディア:「おはようございます。オルドーまで相乗りをさせてもらう
手筈になってる者だけど、話はちゃんときてるかしら」
(御者らしき人物に挨拶をして軽く礼をする)
ゼロ:「・・あ。ここですね。・・・すみません。・・本日お世話になるゼロと言います。
・・メルディアが・・お話しを通して下さっていると・・思いますが・・。」
(商会の関係者と思われる人物を見つければ声を掛け、微笑と会釈)
御者:「ああ、聞いてるよ。…ええと、全員で6人って話だったよな?」
(一行にざっと視線を向けつつ)
その頃、エルは中央地区を重武装に重い荷を負い走りに走っていた。
エル:「やっべ、寝坊したっ?!あーくそ、怠けてんなーにゃろー!」
(荷物を背に朝食の林檎を頬張りつつ駆ける重戦士。案の定、遅い)
ゼロ:「・・結構・・活気があります・・・?・・今の時期は・・どちらまで行かれるんですか?
・・どんなものが・・物資の主流になっているのでしょうか?」
(適当に声を掛けながら、商会の扱っているものを失礼にならないように観察をし)
御者:「今回の行き先はオフィスコだよ、道中の村でも自警団やらに武具を卸してる」
(荷は木箱ばかりだが、槍やら剣やら長いものは包みに巻かれて置いてある)
エル:「でー…間に合ったかな…?」
(汗を垂らしながら周囲を見回し、同行メンバーを探す)
道の遠く先、商会前には馬車が数台止まっており、どうやらメンバーの姿もまだそこに見える。
ゼロ:「・・もし宜しければ・・今回の馬車の責任者に・・会わせて頂けませんか?」
ゼロの声に、商会の者と話していた男が振り向き、一行の所にやってきた。
腰に剣を吊った三十台後半の男で、使い込まれた胸甲を身につけている。
カーム:「お前達が、コーザス村まで同乗するという冒険者達か。
俺は、今回の警備担当のカームだ」
(ざっと一行に視線を向け)
ゼロ:「・・今回お世話になる・・ゼロと言います。・・ご一緒するメンバーは・・
二つ名もちの方が多いので・・ご安心下さい。
・・もし・・道中で・・何かあっても・・きっと彼らが対処してくれる事でしょうから。」
(責任者に挨拶を行い、自分たちのメンバーをアピール)
ユーリ:「…」
(他の面子の挨拶に合わせ、商会の者に黙礼)
カーム:「ああ、噂は聞いている。何なら、オフィスコまで同行してもらいたい程だ」
(頷くと、白い歯を見せて)
ゼロ:「・・馬車での移動で・・最近・・妖魔や動物に襲われたりしてませんか?
・・もしあれば・・どんなモノに出くわしたのか・・教えて頂いておくと・・嬉しいですけど。
特にコーザスの方向へ言った時の武勇伝などありましたら・・お聞かせ下さい。」
(ふと思い出した様に、微笑で話しかける)
カーム:「やはり、妖魔がほとんどだな。特にコーザス村周辺は今妖魔が多いらしい…
陣容はほとんどがコボルドやゴブリン、思い出したようにホブゴブリンって所だ。
妖魔軍というよりも、ゴブリンの巣でもあるんじゃないかと思ってるんだが」
(現地の者じゃないから詳しくは分からんがね、と両手を軽く広げて)
早速、カームは一行が乗り込む馬車を示す。
大型の馬車で、10人は乗れそうだ。其処にはすでに先客の姿もある。
メルディア:「それじゃあ道中お世話になるわね。そうそう、もちろんあなたたちにも」
(馬の首をそっとなでながら馬の様子を見る)
馬は毛並みも良く、元気そのもので、旅に備えて十分大事にされてきたに違いなかった。
ライト:「みなさん、改めてよろしくお願いしますね。」
(集まったメンバーに挨拶していく)
そこへ、ようやくエルが一行の所へ到着した。
エル:「いやー、ごめん、遅くなったーっ。初めて仕事する人も居るかな?
えっと、前衛担当のエルディアス。簡単にエルでいいよー。
や、半数が前衛だけど改めて宜しくねー。」
(汗を拭った天幕を頭に縛りつけ、汗の流出を防ぎつつ挨拶)
フェス:「あら、真打がご登場ね。お久しぶり」
(微笑を向けて)
エル:「フェスー。久しぶり、かな?今回もその凄腕で宜しくね?
って、頼りっぱなしじゃあいけないんだけどさ。
今回はドジ踏まないように頑張る、というか気を付けるよー。」
(軽く笑いながら挨拶を投げる)
ユーリ:<さて…崩落で見つかった遺跡とのことだが…道中の地形は変化していないのか…?>
「…そちらがお持ちの…コーザス村までの地図を見せて頂きたいのだが…。」
御者:「ああ、はい。どうぞ」
(道中の地図を手渡す)
ユーリ:「…感謝いたします…。」
(御者の地図から進行ルート周辺の地形及び野営、休憩地点、緊急時の迂回ルート等を確認する)
エル:「あ、地図地図。俺も見せて見せてー。」
(ひょっこり顔を覗かせ、地図を見やり頭に入れようと)
きちんと野営地点や休憩地点の場所などは記されており、安全な場所が選ばれているようだ。
明らかに遠回りと思われる場所もあるが、危険を避けてのことなのだろうという事が分かる。
やがて出発の時刻が近づき、一行も馬車に乗るように告げられる。
エル:「さーて、お邪魔しまーす。」
<―の前に。>
(この馬車を狙っているような者が居ないか、周辺に対して
素早く視線を送り、神経を一度尖らせる)
どうやら、それらしい人影は見当たらないように思える。
メルディア:「お邪魔するわね」
(馬車の様子を見回してから乗り込むと積み荷などの配置を確認する。
あまり邪魔にならない位置に自分の荷物を置く)
人員専用のようで、積荷はこの馬車には乗せられていないようだ。
馬車には先客がおり、商人らしき姿が1人、傭兵が3人見える。
ライト:「あ、このたびは乗せていただいて本当にありがとうございます。
よろしくお願いします。」
(乗せていってもらう馬車の人たちに頭を下げる)
メルディア:「おはよう、あなたが護衛の人ね。聞いてるかもしれないけど
途中まで相乗りさせてもらう者よ。短い間だけど仲良くやっていきましょう」
(ガントレットを外して左手を差し出し、握手を求めてみる)
傭兵:「ああ、よろしく。…タダ働きなんだってな、気の毒に。ここの連中はケチだからさ」
(苦笑を浮かべ、親指で商会を示してから、革の手袋を外して握手に応じる)
やがて、4台の馬車からなる商隊は、2台の荷馬車を挟むようにして進み始める。
ライト:「う〜ん、なんかもうおなじみの感覚ですね。」
(馬車に乗り込むと呟く)
エル:「街道かぁ。襲われるなんてことはあまり考えたくないけど、
留意しておいた方がいいかもしんないねー。気張っていこー。」
(一人テンションを保ちつつ声を掛け)
ゼロ:「・・おしり・・痛くなりそうですけど・・。
・・今回は3日ですし・・我慢しましょう・・。」
(荷物を下に敷くと衝撃をなるべく和らげる準備を行う)
馬車は街中を走り、やがて市門を抜け北の街道に乗っていく。
エル:「やーおはよーございますー。いい天気ですねー?どちらまで行かれるんです?
あ、すみません、今回同じ馬車に乗り合うエルディアスっていいますー。」
(他に同乗する客へ挨拶しつつ会話を切り出す)
商人:「今回はオフィスコまで行くそうで…道中の村でも幾つか荷をやりとりする予定です」
(おずおずと頭を下げ)
エル:「あ、そうなんですか。やー、最近は景気はいいっすか?。
や、僕らも傭兵なんてその場その場の仕事やってるもんで。
何かお困り事とかありましたらガウディの記憶亭に是非、ちょっとしたお使い、
猫の捜索から警護、調査、人探しまでなんでも承りますよー。」
(へへへーとか笑って記憶亭の名を売り始める)
商人:「ほう、記憶亭…あなた方の様な、二つ名持ちが一杯いらっしゃるという事ですか。
それにしては、噂は特に…や、失礼。記憶亭、ちと覚えておきますね」
(やや打ち解けた笑顔で頷き)
北の街道に入ると、正面遠くにライミ山が姿を現す。
メルディア:「さすが、馬車は楽でいいわ。そういえばあなたはこの仕事は長いの?
コーザスの方にもいったことがあるならあのあたりの話を聞きたいわ」
(馬車が出発し始めると御者の方に行き、警戒を忘れないようにしながら御者に声をかける)
御者:「あの辺りは鄙びた、どこにでもあるような牧歌的な地域だったんだがなあ。
最近は何かと出現する妖魔に苦しめられてるようだよ。
ただコーザスの村の顔役でもある交易商さんが、まだ若いのに切れ者でね。
自警団を効率よく動けるよう制度を改めてから、随分と被害は減ったらしいがね」
(のんびりと馬車を操りながら世間話のように語る)
馬車は春の若草萌える平原を進む。
月の名にあるような、緑の薫る風が馬車内に爽やかに吹き込んでくる。
ゼロ:「・・・出立に・・取り巻くこの風は・・この後・・・・どうかわるのでしょう・・。」
(馬車内に少し吹く風に髪を抑えて、静かに目を閉じると、精霊の
気配を感知しようと両耳に意識を集中してみる)
風の精霊は、春の到来を楽しむかのように軽やかに舞っていた。
ただ、薄曇りの空は相変わらず晴れず、その身には冷たい空気をまとっているようだった…