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丘の下に眠るもの

丘の下に眠るもの(第一話)

天聖暦1048年 緑薫の月 コーザス村

早く、高い鐘の音が村内に響き渡る。
ある者は家の中に逃げ込んで扉を固く閉じ、ある者は扉を開いて飛び出してくる。
槍や剣で武装した村の自警団に、弓を手にした狩人達が加わり、緊迫した声をかわしながら、
それぞれの役割に応じて村内を右に左にと駆けて行く。
「バーソンの牧場だ!牛と羊、それを守ろうとしたマリーにケーンがやられてる」
駆けつけた一行が見たものは、派手に暴れている牛とそれを傷付け押さえようとしているゴブリン、
防戦一方ではあるが意外にコボルトとの戦いに善戦しているマリーとケーンの姉弟の姿であった。
それも逃げながら一体を二人で相手しているからで、今駆けつけているゴブリン2体が加われば、
一瞬でそこは惨状に変わるに違いなかった。
狙いすまされた、熟練の狩人の放った矢が的確にゴブリンの胸板を貫く。
喚声を上げながら、自警団の若い団員達が槍先を揃えて牧場の中に突入していく。
浮き足立った妖魔達は、せめて羊だけでもと思ったか、暴れ牛を放棄して倒れた羊に殺到していく…

「…結局、被害らしい被害は羊1頭だけでした。あの状況では、幸運とも言えるでしょう」
自警団長でもある、交易商の若主人はそう言って村長への報告を締めくくった。
「そうか、それは良かった。…しかし、最近増えたのう…いかに春になったからとはいえ」
「…やはり、あれが?」

言いつつ、若主人は窓の外からも見える、郊外の丘を眺めた。
最近では、その周辺で妖魔の姿を見ることも多く、そちら方面へは立ち寄り禁止となっている。
「やはり、さっさと潰してしまった方が良かったのでは…」
「…難しいところじゃな」

村長は、若主人の言葉に目を閉じ、そうぼかしてしまう。
若主人は、そうやって本心を隠す村長の打算も手に取るように分かっていた。
何故騎士団ではなく、冒険者ギルドにこの話を持っていったのか、その理由も。
<…こうなったら、さっさとその冒険者とやらに来てもらうしかないな…>
嘆息を胸の内に隠して、若主人は仕事に戻るため立ち上がり、別れを告げて村長宅を後にした。

天聖暦1048年 緑薫の月 記憶亭

出発の前日…道中の食料調達の為、ライトは記憶亭を訪れていた。

ライト:「親父さん、一週間分の食事を用意してもらってもいいでしょうかね?」
    (記憶亭に行き親父さんに食料を用意してもらう)

親父:「わかりました。お出かけですか?」
   (厨房から顔を出して)

ライト:「えぇ、また馬車での遠出なので・・・なるべくおいしくお願いしますね。」
    (親父さんから食事を受け取り店を後にする)

食料を受け取ったライトが立ち去ってからしばらくして、メルディアが姿を現す。

メルディア:「お邪魔するわね。ちょっと保存食を用意してほしいの。
       ええ、ちょっと遠出をすることになったから多めにね」

       (保存食の購入をする)

親父:「はい、承りました。しばらくお待ちくださいね」

メルディアは調理されたものを受け取り、日付ごとに食べるよう親父に言われ、店を後にした。


天聖暦1048年緑薫の月 オルドー商会前

出発の当日、一行は三々五々オルドー商会前に集まってくる。
天候は薄曇りで、春にしては肌寒い空気がガウディにたちこめていた。

最初に到着したのはメルディアで、扉を開け商会内に入っていく。

メルディア:「おはようございます。以前馬車のことでお話をさせてもらった者だけど。
       オルドー行きの馬車というのはどこに止まっているのかしら?」

       (ほほえんだ表情を浮かべて話しかける)

受付:「おはようございます。みなさんがこちらに集合との事でしたので、
    今日は商会前に馬車をつけさせていただきます」

    (一礼してから、応答する)

メルディア:「そう、ありがとう」
       (礼を言うと馬車の方に歩いていく)

次いで、ゼロとライトがやや前後して商会の前にやってきた。

ゼロ:「・・メモは持ってますよね・・。・・キャンプセットも。・・あとは・・。」
   (自分の荷物を確認しながら、先日こっそり確認したオルドー商会の
    前へと歩いてくる)

ライト:「オルドー商会・・・・ここですね。」
    (記憶を頼りに商会の場所までたどり着く)

メルディア:「おはよう、ゼロ。お願いしていた地図はどうなったかしら?」
       (ゼロの方により地図の確認をする)

ゼロは、ギルドで書き写した地図をメルディアに示す。
そこには簡単ながら、村、森、丘、川の位置などが分かるように記されていた。

それからしばらくして、ユーリが黒山羊の獣人の姿で現れる。

ユーリ:「…」
    (集合場所、オルドー商会に到着しチームメンバーに目礼)


メルディア:「おはよう。よい朝ね。お仕事の間中ずっとこうだといいのだけど」
       (他のメンバーを見つけると声をかける)

いつの間にか探索者のフェスも到着しており、一行に挨拶の言葉と微笑を向けると、
その後は壁に寄りかかって馬車を待っていた。

やがて、荷と傭兵達を乗せた馬車4台からなる商隊が商会前に到着する。

メルディア:「おはようございます。オルドーまで相乗りをさせてもらう
       手筈になってる者だけど、話はちゃんときてるかしら」

       (御者らしき人物に挨拶をして軽く礼をする)

ゼロ:「・・あ。ここですね。・・・すみません。・・本日お世話になるゼロと言います。
    ・・メルディアが・・お話しを通して下さっていると・・思いますが・・。」

   (商会の関係者と思われる人物を見つければ声を掛け、微笑と会釈)

御者:「ああ、聞いてるよ。…ええと、全員で6人って話だったよな?」
    (一行にざっと視線を向けつつ)

その頃、エルは中央地区を重武装に重い荷を負い走りに走っていた。

エル:「やっべ、寝坊したっ?!あーくそ、怠けてんなーにゃろー!」
   (荷物を背に朝食の林檎を頬張りつつ駆ける重戦士。案の定、遅い)

ゼロ:「・・結構・・活気があります・・・?・・今の時期は・・どちらまで行かれるんですか?
    ・・どんなものが・・物資の主流になっているのでしょうか?」

   (適当に声を掛けながら、商会の扱っているものを失礼にならないように観察をし)

御者:「今回の行き先はオフィスコだよ、道中の村でも自警団やらに武具を卸してる」
    (荷は木箱ばかりだが、槍やら剣やら長いものは包みに巻かれて置いてある)

エル:「でー…間に合ったかな…?」
    (汗を垂らしながら周囲を見回し、同行メンバーを探す)

道の遠く先、商会前には馬車が数台止まっており、どうやらメンバーの姿もまだそこに見える。

ゼロ:「・・もし宜しければ・・今回の馬車の責任者に・・会わせて頂けませんか?」

ゼロの声に、商会の者と話していた男が振り向き、一行の所にやってきた。
腰に剣を吊った三十台後半の男で、使い込まれた胸甲を身につけている。

カーム:「お前達が、コーザス村まで同乗するという冒険者達か。
     俺は、今回の警備担当のカームだ」

    (ざっと一行に視線を向け)

ゼロ:「・・今回お世話になる・・ゼロと言います。・・ご一緒するメンバーは・・
    二つ名もちの方が多いので・・ご安心下さい。
    ・・もし・・道中で・・何かあっても・・きっと彼らが対処してくれる事でしょうから。」

   (責任者に挨拶を行い、自分たちのメンバーをアピール)

ユーリ:「…」
    (他の面子の挨拶に合わせ、商会の者に黙礼)

カーム:「ああ、噂は聞いている。何なら、オフィスコまで同行してもらいたい程だ」
     (頷くと、白い歯を見せて)

ゼロ:「・・馬車での移動で・・最近・・妖魔や動物に襲われたりしてませんか?
    ・・もしあれば・・どんなモノに出くわしたのか・・教えて頂いておくと・・嬉しいですけど。
    特にコーザスの方向へ言った時の武勇伝などありましたら・・お聞かせ下さい。」

    (ふと思い出した様に、微笑で話しかける)

カーム:「やはり、妖魔がほとんどだな。特にコーザス村周辺は今妖魔が多いらしい…
     陣容はほとんどがコボルドやゴブリン、思い出したようにホブゴブリンって所だ。
     妖魔軍というよりも、ゴブリンの巣でもあるんじゃないかと思ってるんだが」

     (現地の者じゃないから詳しくは分からんがね、と両手を軽く広げて)

早速、カームは一行が乗り込む馬車を示す。
大型の馬車で、10人は乗れそうだ。其処にはすでに先客の姿もある。

メルディア:「それじゃあ道中お世話になるわね。そうそう、もちろんあなたたちにも」
       (馬の首をそっとなでながら馬の様子を見る)

馬は毛並みも良く、元気そのもので、旅に備えて十分大事にされてきたに違いなかった。

ライト:「みなさん、改めてよろしくお願いしますね。」
    (集まったメンバーに挨拶していく)

そこへ、ようやくエルが一行の所へ到着した。

エル:「いやー、ごめん、遅くなったーっ。初めて仕事する人も居るかな?
    えっと、前衛担当のエルディアス。簡単にエルでいいよー。
    や、半数が前衛だけど改めて宜しくねー。」

   (汗を拭った天幕を頭に縛りつけ、汗の流出を防ぎつつ挨拶)

フェス:「あら、真打がご登場ね。お久しぶり」
    (微笑を向けて)

エル:「フェスー。久しぶり、かな?今回もその凄腕で宜しくね?
    って、頼りっぱなしじゃあいけないんだけどさ。
    今回はドジ踏まないように頑張る、というか気を付けるよー。」

    (軽く笑いながら挨拶を投げる)

ユーリ:<さて…崩落で見つかった遺跡とのことだが…道中の地形は変化していないのか…?>
    「…そちらがお持ちの…コーザス村までの地図を見せて頂きたいのだが…。」


御者:「ああ、はい。どうぞ」
    (道中の地図を手渡す)

ユーリ:「…感謝いたします…。」
    (御者の地図から進行ルート周辺の地形及び野営、休憩地点、緊急時の迂回ルート等を確認する)


エル:「あ、地図地図。俺も見せて見せてー。」
    (ひょっこり顔を覗かせ、地図を見やり頭に入れようと)

きちんと野営地点や休憩地点の場所などは記されており、安全な場所が選ばれているようだ。
明らかに遠回りと思われる場所もあるが、危険を避けてのことなのだろうという事が分かる。

やがて出発の時刻が近づき、一行も馬車に乗るように告げられる。

エル:「さーて、お邪魔しまーす。」
   <―の前に。>

   (この馬車を狙っているような者が居ないか、周辺に対して
    素早く視線を送り、神経を一度尖らせる)

どうやら、それらしい人影は見当たらないように思える。

メルディア:「お邪魔するわね」
       (馬車の様子を見回してから乗り込むと積み荷などの配置を確認する。
        あまり邪魔にならない位置に自分の荷物を置く)

人員専用のようで、積荷はこの馬車には乗せられていないようだ。
馬車には先客がおり、商人らしき姿が1人、傭兵が3人見える。

ライト:「あ、このたびは乗せていただいて本当にありがとうございます。
     よろしくお願いします。」

    (乗せていってもらう馬車の人たちに頭を下げる)

メルディア:「おはよう、あなたが護衛の人ね。聞いてるかもしれないけど
        途中まで相乗りさせてもらう者よ。短い間だけど仲良くやっていきましょう」

       (ガントレットを外して左手を差し出し、握手を求めてみる)

傭兵:「ああ、よろしく。…タダ働きなんだってな、気の毒に。ここの連中はケチだからさ」
    (苦笑を浮かべ、親指で商会を示してから、革の手袋を外して握手に応じる)

やがて、4台の馬車からなる商隊は、2台の荷馬車を挟むようにして進み始める。

ライト:「う〜ん、なんかもうおなじみの感覚ですね。」
    (馬車に乗り込むと呟く)

エル:「街道かぁ。襲われるなんてことはあまり考えたくないけど、
    留意しておいた方がいいかもしんないねー。気張っていこー。」

    (一人テンションを保ちつつ声を掛け)

ゼロ:「・・おしり・・痛くなりそうですけど・・。
    ・・今回は3日ですし・・我慢しましょう・・。」

   (荷物を下に敷くと衝撃をなるべく和らげる準備を行う)

馬車は街中を走り、やがて市門を抜け北の街道に乗っていく。

エル:「やーおはよーございますー。いい天気ですねー?どちらまで行かれるんです?
     あ、すみません、今回同じ馬車に乗り合うエルディアスっていいますー。」

    (他に同乗する客へ挨拶しつつ会話を切り出す)

商人:「今回はオフィスコまで行くそうで…道中の村でも幾つか荷をやりとりする予定です」
    (おずおずと頭を下げ)

エル:「あ、そうなんですか。やー、最近は景気はいいっすか?。
    や、僕らも傭兵なんてその場その場の仕事やってるもんで。
    何かお困り事とかありましたらガウディの記憶亭に是非、ちょっとしたお使い、
    猫の捜索から警護、調査、人探しまでなんでも承りますよー。」

    (へへへーとか笑って記憶亭の名を売り始める)

商人:「ほう、記憶亭…あなた方の様な、二つ名持ちが一杯いらっしゃるという事ですか。
    それにしては、噂は特に…や、失礼。記憶亭、ちと覚えておきますね」

    (やや打ち解けた笑顔で頷き)

北の街道に入ると、正面遠くにライミ山が姿を現す。

メルディア:「さすが、馬車は楽でいいわ。そういえばあなたはこの仕事は長いの?
       コーザスの方にもいったことがあるならあのあたりの話を聞きたいわ」

       (馬車が出発し始めると御者の方に行き、警戒を忘れないようにしながら御者に声をかける)

御者:「あの辺りは鄙びた、どこにでもあるような牧歌的な地域だったんだがなあ。
    最近は何かと出現する妖魔に苦しめられてるようだよ。
    ただコーザスの村の顔役でもある交易商さんが、まだ若いのに切れ者でね。
    自警団を効率よく動けるよう制度を改めてから、随分と被害は減ったらしいがね」

    (のんびりと馬車を操りながら世間話のように語る)

馬車は春の若草萌える平原を進む。
月の名にあるような、緑の薫る風が馬車内に爽やかに吹き込んでくる。

ゼロ:「・・・出立に・・取り巻くこの風は・・この後・・・・どうかわるのでしょう・・。」
    (馬車内に少し吹く風に髪を抑えて、静かに目を閉じると、精霊の
    気配を感知しようと両耳に意識を集中してみる)

風の精霊は、春の到来を楽しむかのように軽やかに舞っていた。
ただ、薄曇りの空は相変わらず晴れず、その身には冷たい空気をまとっているようだった…

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丘の下に眠るもの(第二話)

天聖暦1048年 緑薫の月 街道

同じ方向へ向かう商隊の一時の傭兵として、コーザス村へ旅立つ一行。
平原を行く馬車内にはゆるやかな風が吹き込み、春の粒子がその場に満ちる。

メルディア:「今日は天気晴朗なれど風強し。それにしてもほんとに歩行に比べたら天国ね」
       (力を抜きながらも周辺には気を配りつつ待機している)

メルディアは、御者からコーザス周辺の状況と若い交易商の話を聞く。

メルディア:「そういえばその若旦那さんはどういう商売をしてる人なの?
       気付けの薬草なんかを取り扱ってるなら買い足しておきたいところなんだけど」
      <やり手、ね。どんな人なのかしら>

       (周辺を見渡し、危険がないか確認すれば御者に話しかける)

御者:「村の特産などの交易品を扱っているよ。
    旅人向けの品物も少しは置いてあったかとは思うが…
    彼に代替わりしてから、店の規模も大きくなって色々手広くやってるみたいだよ」

    (のんびりとした口調で応じる)

メルディア:「そう、若いのに優秀なのねその若旦那は。
       それじゃあ村長さんや他の顔役さんはおもしろくないんじゃないかしら?」
      <さて、村長さんや他の顔役さんはどんな器量の人かしら>

       (世間話のような軽い口調で話を進める)

御者:「そんな感じはしなかったな…それも含めて、立ち回りも上手い人だから」
    (どちらかというと苦労人だな、と付け加える)

メルディア:「ふーん。コーザスでは交易商の若旦那さんが自警団をうまく仕切ってるみたいね。
       おかげで村の被害も少ないそうよ」

       (唇に指を当てながら世間話の結果を仲間に話す)

馬車内には、幾人かの傭兵と商人がおり、一行の格好の話し相手となっている。

ゼロ:「・・何故・・コーザスの方で妖魔が目撃されるようになったんでしょうね・・。
    ・・何かお聞きになってますか?・・それに・・いつ位からそんな事が・
    ・起こっているんでしょう・・。」

    (揺られる馬車に体を預けながら、商人や傭兵へ微笑で話しかける)

傭兵:「んー、それは単に情勢なんじゃねえかな。
    ガウディの周辺でも、普通に妖魔が出るようになってるしな」

   (曲剣の刃先に砥石を軽くかけながら)

メルディア:「シニョーレはここでの稼業は長いの?
       だったらこの先でどのあたりが危険だとかどんな相手に襲われたかだとか
       教えてほしいのだけど。お互いずっと気を張っているわけにはいかないのだから」

       (馬車内の傭兵に話しかける)

傭兵:「一応街道だからな、基本的には見晴らしもいいし、コーザス辺りまでなら…
    この辺の林と、この岩場でそれぞれ妖魔に襲われた事があったな」

    (地図でその場所示しながら)

ゼロ:「・・コーザスでは・・何か名産の様なモノがあるんでしょうか・・?
    ・・・・・特に妖魔が好む何かが・・あったりして・・。」

   (相手の返答も待たずに、不吉なこと呟き、勝手に両耳を垂らして凹んでみる)

メルディア:「あら、それはあたしも興味があるわね、特に名産のあたりが」
       (会話をしているゼロたちに近づきながら声をかける)

商人:「羊毛に織物が特産品ですね。コーザス織はガウディでも人気がありますよ」
    (羊でも好きなんですかね、と笑って)

やがて馬車はライミ山に近づき、東西に分かれた道を西に折れていく。
右手にはライミ山と、その麓に広がる森が視界一杯に見える。

午後に入り、前の馬車からカームが様子を見に後ろの馬車にやって来た。

カーム:「変わりないか?」
     (馬車の荷台に軽く足を掛けて)

エル:「よっと。えーと、警護の隊長さん?あ、俺エルディアスっていうんだ。
    簡単にエルでいいよ。オフィスコに向かうんだって?」

   (ひょうひょうとカームへ声を掛け)

カーム:「ああ、『不屈の蒼』だな。カームだ」
    (蒼い装備を眺め、軽く片手を挙げて)

エル:「や、最近妖魔の襲撃に加え野生の動物の凶暴化も加わって大変だからね。
    本来なら俺たちも今回のオフィスコまで行きたいぐらいなんだけどね。
    …状況はどうだい?芳しくない?」

   (相手の様子を伺うように)

カーム:「ん、野生の動物ね…ガウディではそんな噂が流れてるのか?
     まあ妖魔は相変わらず元気さ、春になって益々活動が活発化してる。
     オフィスコ周辺でも、連日妖魔軍との小競り合いが続いているらしい」

     (時折馬車の周囲に視線を走らせながら)

エル:「ふむ、そっか。やー、しかしこう、妖魔以外にもこう脅かされるってのもアレだね。
    気分悪いね。何か噂とか聞いてない?何かしら原因はあると思うんだけどさ。」

   (隊長以外にも周りの傭兵、商人らにも話題を振り)

商人:「ガウディでも、その手の噂は聞きませんでしたが…
    これまで何往復もしましたが、野生動物に関する被害はほとんどありませんよ」

    (首を傾げつつ応じて)

エル:「なるほどね…。ん、や、えーと、頑張ろう!まずは、無事に目的地に到着することだねー。」
   (口元に手を当て、何かしら考えた後、笑んで空気を和ませようと)

カーム:「じゃあ、警戒もあわせて宜しく頼むぞ」

カームはそう言うと、荷台から降り、再び前の馬車に戻っていく。

エル:「そうそう、誰か剣のことについて面白い話や噂話とか知ってる?こんな凄い剣があるーとか、
    こんな変わった剣があるーとか、いやー、剣の話凄い好きなんですよー。
    こう、夢があるよね!ね!」

   (ぐぐっと拳を握り、剣について情報を収集する)

傭兵:「そんな凄い剣があったら、俺が欲しいぜ」
    (笑いながら応じる)

馬車は小休止を入れながら街道を進んでいく。
やがて陽は西に傾き、馬車も一日目の野営地に近づいていた。

ゼロ:「・・あ。そうでした・・。・・道中・・特に夜間は2人一組・・交代で・・
    警戒にあたりましょう・・。・・前衛と後衛で組むとして・・・。
    ・・Aチームをメルディアとライト・・Bチームをエルとフェス・・
    Cチームをユーリと僕で・・どうでしょうか?
    ・・1チームが大体・・4時間程で交代としておけば・・休息は取れるでしょうから・・。」

   (馬車と共に両耳を揺らしながら、メンバーに提案)

メルディア:「わかったわ。ローテーションはどうなってるの?」
       (ゼロの問いに頷いて答える)

ゼロ:「・・大体3日間ありますので・・1チームずつ翌日は順番がずれる形にして
    おきましょう。・・ライトがそう言うのであれば、まずはAチームが一番に警戒にあたって
    貰いますね。・・まずはA→B→Cの順ですね。そして・・翌日はB→C→A、3日目はC→A→Bで
    行きましょうか・・。・・何かあったらすぐに・・他のメンバーにも声を掛けて・・起こして下さい・・。」


ユーリ:「…了解した。…3日と言ったがそれは行きだけのこと…。
     …目的地探索中、帰還中もそれが続く…。」

     (メンバー分けに頷き、補足する)


ライト:「えぇ、それでいいですよ。
     あ、なるべくなら私は昼の警戒がいいですね夜は眠くて」

    (ゼロの提案に冗談を交えながら答える)

エル:「ん。フェスとだね。やー、心強いなー。あ、寝てたらごめんね?」
   (軽い冗談を交えながらも承諾)

フェス:「ええ、優しく起こしてあげるわ」
    (微笑して)

ゼロ:「・・夜の戦闘の時に・・もし灯りが必要なら・・松明もありますし・・・・ウィルオーウィスプも・・。
    ・・ライトにも・・・「ライト」をお願いすることになるかもしれません。」


やがて馬車は今日の野営地に入り、傭兵達がてきぱきとテントを張っていく。
食事は共同のようで、一行もそれに呼ばれ大鍋から食事を分けてもらった。

そうこうしている内に夜も更け、野営地に篝火がたかれる。
空は相変わらず曇天で、月の光もなく周囲には濃い闇がおりていた。

野営地はこの辺りでも広い場所が選ばれ、篝火の範囲なら視界が十分にとれる。
傭兵達もローテーションを組み警戒を始め、一行も独自に警戒を始めた。

ライト:「やっぱり夜の警備は眠いですよねぇ・・・
     あ、もし寝ちゃったらたたき起こしてくださいね・・・
     いや訂正優しく起こしてください。」

    (欠伸を漏らしながら軽口をたたいていたが、相手の二つ名を思い出し目が覚めた様子)

メルディア:「大丈夫よ、ちゃんと起こしてあげるから。もちろん「優しく」ね。
        ところでライトは甘いのときついの、どっちがお好みかしら?」

       (ライトの問いにぼんやりほほえみながら冗談交じりで答える)

Aチームの時間は何事も無く過ぎ、Bチームに交代となる。

エル:「そーいえばフェスって、武器塾の師範なの?いや、昔お世話になってねー。
    皆凄腕だったから、フェスもそうかなーって。」

   (周囲を明かりで照らし警戒しつつ会話を切り出す)

フェス:「まさか、武器塾の師範だったらこうやって自由に旅には出られないわ。
     私の短剣の師匠が塾で師範をしていてね、それで私も出入りしてるの」

    (ナイフで器用にリンゴをくるくると剥いて、エルに手渡す)

エル:「そうなんだ。また今度、フェスや塾長達と飲みたいなぁ。こう、馬鹿騒ぎしながらさ?」
   (片手で酒を飲むジェスチャーをすると笑って)

フェス:「そうね」
    (微笑して頷き、自らもリンゴを齧る)

Bチームの時間も過ぎ、Cチームに交代となった。

ゼロ:「・・・ちゃんとした仕事でご一緒するのは・・初めて・・になりますか・・。
    ・・何か・・嬉しいですね・・。・・僕の・・成長した所を・・見て貰いたいですが・・。」

   (無視されても一方的に話しかけ、眠気を誤魔化している)

ユーリ:「………」
    (ゼロの世間話には応じず、寂々と周囲を睨み、耳を澄ませている)


一方的に話しかけるゼロ、無視するユーリ、それを遠くから気の毒そうに眺める傭兵、
といった奇妙な構図のまま、夜は次第に明けていき、やがて何事も無く朝を迎える。

野営を畳んだ一行は再び馬車に乗り、街道を進み始める。

ライト:「ふぅ・・・穏やかですねぇ。このまま何もないといいですが。」
    (馬車内でなるべく楽な姿勢をとりつつ、外の景色を眺めている)

午後になり、馬車は以前襲撃を受けた事があるという林の中に入っていく。
さすがに傭兵達も表情を引き締めて入念に周囲の警戒にあたり始める。

林の中ほどに至ると、不意に前の馬車から鋭い警戒の声が飛ぶ。

カーム:「敵襲!敵位置は左右の林、各員応戦せよ!」

その声に応じるかの様に、馬車の周囲に林の奥から飛来した矢が降り注ぐ。
火矢も混じっているようで、くすぶった臭いが周囲に満ちる。

ライト:「やっぱり、何もないと言うわけには行きませんか。」
    (のんびりモードから戦闘モードへ移行)

メルディア:「何も無し、とはいかなかった訳ね。御者さんは馬をお願いね。
       帰る場所が無くなると困るから。さあ、お仕事の時間よ」

       (馬車から飛び出し敵を見定めながら臨戦態勢になろうとする)

御者:「ああ、よろしく頼むよ!」
    (ともすれば暴れそうになる馬をおさえつつ)

エル:「!っと、まずいね。戦えない人は外に出ないように!
    俺達も動くけど、最悪自分の身は自分で!いいね!?」

   (馬車が止まれば馬車内に一言告げ、両腰に挿してある剣を抜き放ち外へと躍り出る)

商人:「お気をつけて、ご武運お祈りしていますよ」
    (微笑して頷き、姿勢を低くして見送る)

一通り矢の雨は終わり、馬車の周囲に敵の気配が満ちていく。

ゼロ:「・・馬車を中心に陣を。・・エルは馬車の守備を。メルディアとユーリは周囲を見て
    馬車から離れすぎないように相手の方へ・・お願いします。
    ・・フェスも・・エルと守備を中心にお願いします。
    ・・ライト・・反対方向からも来ていないか・・注意して下さい。」

    (馬車から降りると、御者の横へ乗り込み高い位置から少しでも見渡せる様に位置を取り
     メンバーへ指示を出す)

メルディア:「了解。契約の分しっかりやらせてもらうわ」

エル:「守備、了解っ!皆も気を付けて。油断せず行こう!」
    (ゼロの言葉に頷くと、面々を見回し)

一行は、ゼロの指示に従って馬車の周囲に展開していく。

ライト:「敵の規模はどのくらいでしょうかね。」
    (周囲を見回し、敵の数や装備を確認する)

ユーリ:「…」
    (最初に、敵の規模と武装、こちらの被害を受けた場所と損害の規模を確認)

エル:「どれだけ居る…?火の手は…?」
    (ざっと周辺を見回し、敵の数、種類、体制を把握しようと試みる)

一人、二人と林の中から相手が姿を現す。…どうやら、相手は人間のようだ。
様々な装備に身を包んだ盗賊達が、ざっと見える範囲で右に9、左に12。
さらに奥にも気配があり、それらが弓を放ってきたと思われた。
幸い、馬車に命中した火矢もあるが、燃えにくい素材な上、傭兵が既に取り払い被害は無い。

盗賊は合図と共に、一斉に左右から襲いかかってきた。
それと共に、奥から弓を手にした者達が姿を現す。右に6、左に5といったところだ。

前の馬車にはカームを含めて傭兵が6人、後ろの馬車には2人。
そして一行の6人を合わせて、14人が総戦力である。
どうやら、数にして倍以上の敵を相手にしなければならない様だった。

ライト:「とりあえず、任せますか。」
    (馬車付近で待機し、戦況を見守る)

ゼロ:「・・降りかかる厄災の種から・・守りし水の調べを今ここに奏でよ・・。・・ゆらゆらと
    ・・空に大地に海原に・・たゆたう水を集め求めん・・。・・ウォータースクリーン。」

   (胸の前で、片手に持ったロッドで”水”の印を描き出し、掲げた先をそのまま回しながら
    振り下ろし周囲にスクリーンを張ろうと)

ゼロの詠唱が成り、馬車を中心に直径10mの半球状の高密度な水の膜が形成される。
後方の馬車に向かってきた盗賊たちはぎょっとした様子で、幾分その足も鈍る。

それでも右から5、左から6の盗賊が襲い掛かってくる。
これにより、一行は少ない戦力をさらに二分しなくてはならない。

右にはメルディアとユーリ、左にはエルとフェスが展開する。
ゼロとライトは、それぞれがどちらにも対応できる位置で様子を窺う。

メルディア:「お足の分くらいは・・・といっても今回はサービスなのよね」
       (馬車付近の敵を殲滅しようとする)

長大な黒き両手斧が風を巻いて唸り、かわしそこねた盗賊は尋常ならざる打撃を受けてよろめく。
そこへユーリが槍を突き出し、とどめを受けた盗賊は血をまいて倒れ込んでいく。

ユーリは後衛の弓部隊を見やるが、今は前衛が厚く突破は難しそうだ。
弓部隊は遠慮会釈無く矢をゼロやライトめがけ撃ち放ってくるが、水の膜がその威力を減殺する。

ライト:「弓ですか、厄介ですね。潰しておきましょうか」
    (敵に狙いを定め、スティールマジックを放つ)

弓を持った盗賊は、その術で物も言わずに急に倒れ込み、周囲の盗賊はやや恐慌状態となる。

エル:「このぉ!飛べオラァ!!」
   (ショートソードを振り下ろし、空振って間合いを把握、牽制。
    瞬間、長剣の横薙ぎから相手の首を狙う)

二刀の動きに幻惑され、盗賊はそれを受けきれずにまともに受け、首筋から血を噴出して倒れ込む。
それでも、一人で6人は押さえられたものではなく、3人ばかりが中衛に立つフェスに飛び掛っていく。

向かってくる間に、フェスの投剣を眉間に受けて一人が倒れ、到達した盗賊は剣を突き込んだが、
剣を地にえぐらせたかと思えば、次の瞬間には首から血を噴き出し、ゆっくりと前のめりに倒れる。

それでも、さらにそれを突破した残りの一人が、得物を手にライトとゼロ向けて駆け寄ってきた。

ライト:「結構やりますね・・・。それならこれで!!」
    (鋭く杖を振り、スティールマジックを放つ)

水の膜の内側に飛び込もうとした盗賊は、ライトの術を受け、そのまま意識を失って地面に倒れ込んだ。

相手の攻撃は連携されたものではなく、単調だが何しろ数が多い。
メルディアやユーリは複数方向からの攻撃を受け、少しずつ手傷を負っていく。

前方の馬車でも数の差から苦戦はしているものの、カームの働きで左方は壊滅しつつある。
後の左方でも残る前衛はエルの前の2人に過ぎず、しかもその攻撃はエルの装甲を貫けない。

エル:「…引けよ…。そうそう俺を崩せると思うなよ…。引けェ!」
   (両の剣を複数に向け、牽制しつつ目的を守る)

盗賊たちは明らかに及び腰となったが、右方でまだ味方が残っている為か壊走には至らない様だ。
間合いをとって牽制するが、フェスの容赦ない投剣やライトのスティールマジックで、結局倒れた。

その間にメルディアとユーリは手傷を負いながらもさらに二人を倒し、後ろから弓を放ってくる連中に目を向ける。
ライトの魔法により左右ひとりずつが倒れているが、右に5、左に4の盗賊は前後ろに弓を放ち続けている。

ユーリ:<…放置できんな…。>
    (敵前衛は無視して突破し、後衛の襲撃を試みる)

残り二人となった敵前衛は、その動きにつられて後方へ動き出しそうになる。
メルディアはその気を引くため、声をかけつつ敵前衛に突貫していく。

メルディア:「さーて、のろまなドンガメさん。そんなふうにぼーっと脇見をしていていいのかしら?
       うっかりそのひしゃげた間抜け面と、女も押し倒せないひ弱な体が泣き別れても知らないわよ?
       もっとも、押し倒されたところで坊やじゃあたしを満足なんてさせられないでしょうけど」

      <これであっちが少しは手薄になるといいんだけど。さて、うまくやってちょうだいよ>
       (突貫しながらあざけるような笑みを浮かべて挑発する)

盗賊達はあからさまに激昂し、口汚く罵りながらメルディアに向き直り武器を振り上げた。
そのがら空きとなった胴に、”闇の虎”がその黒々とした牙を突き立てる。

一方、ユーリは背後からの危険も無く後衛に槍を突き入れ始めていた。
そもそも弓以外の武器を持たない盗賊たちは、間合いを取ろうとばらばらに逃げ惑う。

やがて壊滅した左方から右方へと援軍がそれぞれ駆けつけ、戦いは一方的な展開となっていく。
盗賊にしては随分と粘り、やがて逃げ散ったのは2、3人に過ぎなかった。

そして戦いは終わり、元通りの静寂が林の中に戻ってくる。

ライト:「ふぅ・・・・疲れました。」
    (戦闘が終わると気が抜けたのかぐでっと馬車に寄りかかる)

ゼロ:「・・・・一難去りましたか・・。・・みなさん・・大丈夫でしょうか・・。」
   (額に流れる汗を拭き取ると、メンバーや商人、傭兵へ視線を戻し被害を確認)

商人や積荷に被害は無い様子だが、傭兵は1人重症を負い、4人ほどが大小の手傷を負っていた。
こちらの被害としては、ユーリとメルディアがそれなりの手傷を負っている。

馬車の周囲では傭兵達が盗賊の遺体を調べている。
中には気を失っただけのもの、致命傷を負いながら息のある者もいる。

盗賊:「…た…助け…て…」
   (血の泡を口角から流しつつ)

メルディア:「助けて?残念だけど無理ね、そんな余裕無いもの」
       (使えそうな物を回収しつつ、死にきれず取り残された者たちに
       止めを刺して安全を確保していく)

装備品などは、どれもガウディでは二束三文にもならない粗悪・中古品ばかりである。
小銭があるといえばあるが、衣服を全部ひっくり返して回収している時間は無さそうだ。

一通り調査が済むと、傭兵達は再び馬車に乗り込み、一行もそれに続く。
再び馬車は走り出し、戦闘の場所を後にした。

しばらく進むと、一行は燃え、壊れた馬車が街道脇に放置されているのを見つけた。
馬車の具合、側に放置された死体の状況から、一両日中のものであると知れる。
どうやら先程の盗賊団にやられたものらしく、二匹目の泥鰌を狙い潜伏していたものと思われた。

ややペースを早めて林を抜け、日の暮れる頃には予定の野営地に着く事が出来た。
その夜も何事も無く、明け…

いよいよ、到着の日である三日目となる。
話では、今日の午後にも村に到着するとの事だ。

特に何事も無く昼を過ぎ、丘を超えると、遠くに村の姿が見えた。
背後に森を抱え、牧草地が一面に広がり、なだらかな丘がずっと続いている。
牧草地には牛や羊がおり、羊飼いに牛追い、犬の姿なども遠くに見える。

ユーリ:<…どの丘だ…?>
    「…件の丘は何処だ…?…地図はあるか…?」

    (周囲を眺め、ゼロに視線向ける)

ゼロ:「・・・見ます?・・・これが・・僕が一応写してきた地図です・・。
    ・・・急いでいたので・・余り綺麗には・・出来ていないのですが・・。
    ・・結構上手くできてると思いますよ。」

   (嬉しそうに両耳が上がると、懐から急いで地図を出し、ユーリへ差し出す)

ユーリ:「…」
    (礼は言わず、地図を睨み、村周辺にある物の方角や距離を覚えていく)

ゼロ:「・・・・・・・ありがとう位・・言っても罰は当たりませんよ。」
   (ぶすっとして、無反応のユーリに呟く)


地図はおおむね合っており、それにより例の丘の場所も知れる。
ここからは頭しか見えず、村をはさんで反対側にあるようだ。

さらに馬車は進み、門番の立つ村入り口に近づいていく。

近づくと分かるが、村の周囲には柵や、川から引いた水堀が効率よく配置されている。
また鐘楼や物見櫓なども所々に設置されており、やや物々しい風景ではあるが、
村の雰囲気そのものは至ってのどかなようだ。

ユーリ:<…大層な…。>
    (村に一見不釣合いな鐘楼などを一瞥、さらに周囲を見渡し、不審な物が無いか探す。)


さしあたり、この辺りで目を引くようなものはないようだ。

ライト:「やっとつきましたね。コーザス村。」
    (村が見えてくるとうれしそうな表情をする)

ゼロ:「・・ここが・・コーザス村・・。・・・そして・・あちらに・・例の・・・・。」
   (村に着くと村の様子を見回し、丘のある方向へと視線を投げる)

この位置からだと、森の向こうにその丘があるはずだ。
村の入口を抜けた所で馬車は止まり、一行はここで商隊と別れることとなる。

商人:「皆さんとはここまでですね。短い間でしたが、ありがとうございました」
    (会釈しながら)

ゼロ;「・・この村の宿は・・どちらがお勧めですか?・・暫くそちらでご厄介になりたいと思います・・。」
   (馬車内の商人や傭兵に、ふと思いついたように声を掛けて)

傭兵:「お勧めというか、一軒しかないからな。そこそこ大きいし、メシは美味いぜ」

ゼロ:「・・・なるほど・・。・・・そうですか・・。
    ・・では・・ここでお別れですね・・。・・どうもありがとうございました。
    ・・この先の道中もお気を付けて。・・・もし帰り道が心配でしたら・・また・・
    ・・ご一緒しましょうか?・・まだ・・こちらに僕たちがいる時は・・声を掛けて下さい。」

    (相手に冗談を交えて、微笑を向けると、この先の無事を祈りつつ会釈)

メルディア:「ここでお別れね。もし、また何かお仕事があれば是非ご用命を」
       (馬車の面々に礼を述べる)

商人:「次に立ち寄るのは二週間後ですしね…『記憶亭』でしたね。覚えておきますよ」
    (微笑して応じる)

ライト:「今までありがとうございました。では、さようなら。」
    (商隊の人たちに別れの挨拶をつける)

前の馬車からカームが降りてきて、ゼロに皮袋を押し付けながら言う。

カーム:「道中は助かった、…お前さん達が居なければ、少なからぬ被害が出ただろう。
     これだけで悪いが、むしりとれるだけむしってきた。また何かあったら頼む」

     (軽く片手を挙げると、前の馬車に小走りで戻っていく)

皮袋には銀貨が詰まっており、どうやら一人頭10銀貨にはなりそうだ。
カームを乗せると、馬車は再びゆっくりと走り出した。

エル:「ん〜。着いたねー。のどかな所で良い感じじゃん。っと、ありがとねー。
    何かの縁の際にはよろしくー。」

   (馬車から降りると伸びをして。
    同行させてもらった一同にお礼を述べ、手を振って見送った)


天聖暦1048年緑薫の月 コーザス村

馬車は去り、一行の前にはのどかな村の風景が広がっている。
さしあたって、一行はこれからの方針について話し合う。

ゼロ:「・・さて。・・・これから僕は・・村長さんの所へ行きますが・・
    皆さんは・・どうされますか?・」

    (荷物をまとめた後に、振り返るとメンバーへ呼びかけ)

エル:「お。俺も行くよ。これから世話になるし、挨拶も兼ねて色々聞きたいしねー。」
    (ゼロの発言に手を挙げ、村長宅へ同行する)

ライト:「まずは、村長さんに挨拶しに行きますか。
     あ、ゼロさんも行くのですねじゃあ一緒に。」

    (ゼロの後についててくてく村長さん家へ歩いていく)

ゼロ:「・・では・・ご一緒しましょう・・。」

メルディア:「あたしは、交易商の所に行ってみようと思うわ」
       (ゼロの問いに自分の行動を宣言する)

ゼロ:「・・分かりました。・・・また後ほど・・。・・気をつけてくださいね。
    ・・宿で合流しましょう・・。・・夜食を食べながら・・・情報交換と行きますか・・。」


メルディア:「ええ、また後で」
       (ゼロたちを見送ると行動を開始する)

ユーリ:<…物見櫓なら自警団辺りが居るだろう…。妖魔のことを尋ねるには良いだろうな…。>
     (黙って一行と別れ、物見櫓へ移動)


三方向に別れ、一行はそれぞれ動き始めた。

ゼロ達は、村長宅へ向かうためまず近くを通りかかった村人にその所在を尋ねる。

ゼロ:「・・すみません、村長さんの所へ行きたいのですが・・。
    僕たちはギルドから派遣されたものです。・・えぇ、例の・・あの・・丘の事を
    調査にやって来ました・・。」

    (村人を見つければ声を掛けて村長宅を尋ねる)

村人:「ああ、あの丘の…ええと、村長の家へはここをまっすぐ行って…」
    (指差しながら説明する)

教えられて進む道は、建物にしろ風景にしろ、鄙びて自然に満ちている。
時折挨拶しながら行き交う人々も、そう思ってみるからか随分のびやかに見える。

エル:「こんにちわー。しばらくお世話になりますねー。」
   (道中、笑んで挨拶を投げる)

明るい声で挨拶に応じた娘達は、行き過ぎてからきゃあきゃあとさえずっている。

教えられた道を行くと、やがてそれらしい家が目に入ってきた。
それらしい、といっても他の家より少し大きいというだけの事だが…

ゼロ:「すみません。・・・冒険者ギルドから派遣されてやって来ました。
    ・・ゼロと申しますが・・。村長さんはいらっしゃいますか・・?」

    (教えられた家につくと、入り口で扉をたたき中を伺う)

青年:「はい、いらっしゃい。父は中に居ます」
   (扉を開き、応対する)

村長の息子らしき青年に案内され、三人は一室に足を踏み入れた。
そこには、初老の男が椅子に掛けており、一行を見ると立ち上がった。

村長:「遠くからようこそ。私がこの村の村長ジアーロです」
    (軽く手を広げて)

ゼロ:「・・・どうも、初めまして。・・冒険者ギルドより派遣されて参りました・・
    ゼロと言います。・・まずはこちらに来るように言われておりました。
    ・・・詳しいお話しを少し伺っても・・・?」

    (相手の様子をジッと見つめて、微笑と笑顔で会釈を向ける)

エル:「ども。同じく派遣されました傭兵のエルディアスです。やー、良い村ですねーっ。」
   (ゼロらの挨拶に続き自分も挨拶。さっくりと村長宅の中を視線のみで見回す)

村長:「そうですか、気に入っていただけて何よりです」
    (莞爾として応じる)

ライト:「あ、こんにちは。私、ライト=フィークスというものです。
     よろしくお願いします。」

     (村長さんに挨拶をする)

村長:「よろしくお願いします。…で、詳しい話…でしたな」

ライト:「それで、ここの現状を話してくださいますか?
     あと、見つかった建物について新たに分かったことなどは?」


村長:「あれから、丘の周囲に妖魔が増えた…という事くらいですかな。
    危険ですので、村人達へは周囲への立ち入りを禁じております。
    ご依頼の件に差し支えるかもしれませんが、何卒よろしくお願いします」

    (机に手をついて頭を下げ)

ライト:「そうですか、分かりました。最善を尽くします。
     では、これで失礼します。」

    (挨拶と質問が終わるとその場を後にする)

ライトが去り、その場にはゼロとエルが残された。

一方ユーリは、物見櫓に足を運んでいた。
物見櫓はそれなりに使い込まれてはいるが、古びているという程ではない。
造りもしっかりとしており、壊そうとすれば随分と労力を使う事だろう。

櫓の一方に梯子がかけてあり、ユーリはそれを登っていく。

ユーリ:<…此処からでどれ程の事が解るか…?>
    (物見櫓に登り、俯瞰から村周辺と件の丘を探る)


高いところに設置されたもののようで、村全体がここから見ることが出来る。
ここからも丘は見えるが、森が邪魔をして肝心の入口付近が見えない。
反対側にももう一つ櫓があり、そこからなら森を越えて見られそうな気もする。

自警団員:「何か用かい?」
       (見張りを続けながら)

ユーリ:「…私は丘の調査を依頼された冒険者だ…。…幾つか質問に答えて頂きたい…。」
     (見張りの兵に声をかける) 

自警団員:「話は聞いてるよ。俺で分かる事なら何でも」

ユーリ:「…妖魔が頻繁に目撃されるとの事だが…奴等の規模、攻めてくる方向、被害の状況は…?」
    <…すでに占拠されているのだろうか…?>


自警団員:「規模は小さいし、散発的だね。だから俺達でもしのげてるんだが…
       せめて来る方向は、最近は森からが多いかな。例の丘の方向でもあるね。
       被害らしい被害は、最近はないな…でも家畜がぼちぼち被害を受けてる」

       (別の方向に視線を向けなおして)

ユーリ:<…何処ぞの城のような特殊な物であれば、もう少し騒ぎになるだろうが…。
      …念のためだな…。>
     「…丘の建築物…発見前後で何か変化したことはあるか…?」


自警団員:「最近立ち入り禁止になったから、詳しくは分からないかな」

ユーリ:<…村は建造物があることまで知っているはず…。
      …中に踏み込もうとしなかった事のほうが不自然にも思えるが…?>
     「…最後に…そちらで調査した際…何があった…?」


自警団員:「外から見ただけだから何ともね…確かに丘が崩れて穴が開いてたよ。
       自警団内で詳しく調べようって話もあったんだけど、村長の命令で中止になってね。
       冒険者が来るまで待て、って一点張りでね。だからそれを内部まで見たのは発見者だけさ」


ユーリが物見櫓に登り始めた頃、メルディアは通りがかった村人に声を掛けていた。

メルディア:「こんにちわ、交易商の若旦那さんはどこにいるかご存じないかしら?
        ああ、あたしはギルドの依頼で最近見つかった建物の調査に来た者なの。
        この村の顔役さんに挨拶をと思って探してるんだけど」

        (村の様子を観察しながら移動し、適当な村人を見つければにっこり笑って話しかける)

村人:「ああ、村長が依頼したっていう…ええと、交易商の店なら、ここを曲がって…」
    (指で示しながら説明する)

メルディア:「ありがとう、早速訪ねてみるわ」
       (笑みを浮かべて礼を言うと若旦那の元に向かう)

メルディアが到着した頃、ちょうど先程の馬車がその店を離れる所だった。
どうやら、ここの交易商でも取引をしたらしい。

店は村の規模にしてはそれなりに大きく、交易以外にも手広く色々とやっているようだ。
店内に入り、店員に案内を請うと、やがて二十代後半の青年が姿を現した。

メルディア:「初めまして、今回ギルドの施設調査隊に護衛として同行したメルディアといいます。
        お見知りおきを」
      <さてさて、どんな人なのかしら>

       (自分の立ち位置を明かし深く礼をすると若旦那に目を向ける)

交易商:「これはご丁寧に、初めまして。私はこの村の交易商をしておりますターツと申します。
      …お一人ですか?」

     (穏やかな声音で言って一礼し、軽く背後を見やって)

メルディア:「ええ、もちろん他の仲間もいますよ、彼らは村長の所に挨拶に行っているはずですわ」
       (他のメンバーについて聞かれれば状況を話す)

ターツ:「そうですか。…ところで、どういったご用件で?」
     (村長の所へ行った、と聞けば軽く首をかしげて)

メルディア:「護衛として状況の確認をしておこうと思いまして。
        道中であなたが自警団が動きやすいようにいろいろ働きかけていると聞いたものですから。
        それで、やはり妖魔が現れだしたのは施設が見つかってからなのですか?
        頻度や種類などもわかれば教えていただきたいのですが」

        (若旦那を観察しながら笑顔を浮かべて質問を行う)

ターツ:「いえ、最近妖魔の動きが活発になってきていまして…この村だけでなく、
     また遺跡が発見されたというのも関係なく、大陸全体の流れなのだと思います。
     頻度は、今のところ散発的で、幸いこれといった被害もありません。
     種類は…コボルド、ゴブリン、まれにホブゴブリンといったところでしょうか」

     (丁寧に答えていく)

メルディア:「その施設なのですが、最初に見つけたのはどなただったのでしょうか?
       できれば見つけたときの施設の状況やどのあたりまであなたたちが立ち入ったのかも
       聞いておきたいのですけれど」

       (依然笑みを浮かべたまま質問を行う)

ターツ:「最初の発見者は、村の狩人のチェスクさんですよ。彼は中にも入ったらしくて、
     石造りの部屋と柱、扉のようなものがあった、と仰っていました。
     我々も立ち入ろうとしたのですが、村長から危険だと止められまして…
     外観しかみていないのですよ。確かに、丘に穴があいているのは分かりました」

     (少し視線を宙に向け、思い出しながら答える)

メルディア:「なるほどなるほど。ところで、その施設が見つかったときにすぐにつぶしてしまおうという
        意見は無かったのでしょうか?いえ、こんなご時世ですから危険は最小限にとどめたいと
        考える村があたしの依頼先では多かったので」

        (他意はないのですよという風なジェスチャーをして質問を続ける)

ターツ:「ごもっともな意見です」
     (軽く頷きながら応じ、それ以上は語らず)

メルディア:「最後に。旦那さんはどういったペースでガウディと交易を?
        いえ、もしついでの便が調査が終わったあたりにあるのなら便乗させてもらえると
        ありがたいとおもったもので」

        (苦笑し、わずかにおどけた様子で話をする)

ターツ:「定期的なものは月に2、3回といった所でしょうか。その他、不定期に行っています。
     帰りに声を掛けていただければ、便があるかどうかお教えしますよ」

     (微笑して応じる)

メルディア:「貴重なお時間をありがとうございました。
        これで調査中の護衛もスムーズに行えると思いますわ」

        (ほほえんで感謝の意を述べると礼をして立ち去っていく)

ターツ:「何かお役に立てたのならば幸いです。皆さんのご無事をお祈りしております」
     (丁寧に一礼して見送る)

メルディア:「ところで・・・若旦那としてはこの件に対して我々にどう処理してほしいとお考えかしら?」
       (ふと足を止めて若旦那に質問を投げかける)

ターツ:「…早急な解決を。それのみです」
     (顔を上げると、真摯な表情で告げる)

メルディア:「そう、心にとめておくわ。それじゃあまた」
       (宿の方に向かって歩き出す)

村長の家を辞したライトは、その足で村内の聞き取り調査に回っていた。

ライト:「あの、ちょっといいですか?
     わたし、ここにある不審な建造物の調査に来た冒険者のものですが。
     いろいろとお話を聞きたいのでこの村で人がたくさん集まる場所なんてありますかね?」

          (村の中を歩き適当な人に声をかける)

村人:「昼間は皆仕事に行ってるからなあ…夜だったら、酒場に沢山人が集まるよ」

酒場は、村の宿屋と隣接して建っているのだという。

ライト:「あ、ありがとうございます。」
     (礼を言いその場を去る)

空を見上げるが、どうやら陽が沈むにはまだ時間がありそうだ…

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